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27_着物の色だけでも、恐ろしい駆け引きがありそうです
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そして、閻魔の花嫁達が国柱神宮に参拝に行く日がやってきた。
「見て、花嫁達が来たわ!」
美しい花嫁達を一目見ようと、その日も沿道には、大勢の人々が集まっていた。
行列は、人々が生みだした道の中央を、一歩一歩ゆっくりと進んでいく。
「綺麗ねえ」
閻魔の花嫁達は、今日は白無垢ではなく、赤や青、緑など、色鮮やかな着物に身を包んでいる。彼女達の実家が用意した着物は、松竹梅や七宝、鶴や檜扇、鴛鴦などの模様が、色とりどりの糸で施されていた。
「見てよ、あの着物!」
町人だけじゃなく、随伴の女中達も、花嫁達の豪華絢爛な着物に目を奪われていた。
「きっと正絹よ。あの着物だけで、一体いくらするのかしら。・・・・考えただけでも目眩がするわ」
「数回着るだけの着物に、あんなにお金をかけるなんて、信じられないわよね」
「あの着物は、彼女達の実家が、自分達の財力を見せつけるために用意したものだから、あれだけ豪華なのよ」
元は同じ常宮家だったのに、今の七家は、競い合っているようなところがある。花嫁の衣装は、財力を町人に披露できる、絶好の機会でもあるから、年々派手になっていくばかりだった。
(・・・・諒影に見つからないようにしないと)
刑門部省の武官が、行列を警護している。
当然、列の中には諒影の姿もあった。
諒影は列の前方に、私は後方にいる。これだけの大人数だから、顔を合わせる確率は低いけれど、用心するに越したことはない。
行列の脇には、鬼久頭代や、詠誓御主の姿もあった。鬼峻隊は、近づこうとする野次馬を遠ざける役目を担ってくれている。
「・・・・ねえ、あれ、見てよ」
こっそりお喋りしていた女中の声は、なぜか低くなっていた。
「あの子、久遠鳴よ。こんな日に、黒い着物を選ぶなんて・・・・」
色鮮やかな着物が並ぶ中、一つだけ、奇妙な色があった。
――――黒。佳景様のお付きの女中、久遠鳴さんが着ているのは、灰色や群青ではなく、黒い着物だった。目が眩みそうな鮮やかな色が並ぶ中、彼女の着物の色だけ、暗く沈んでいる。
だからなのか、その着物は花嫁の衣装に比べて地味なのに、彼女はとても目立っていた。花嫁の姿に見入っていた町人達も、今は久遠さんに目を釘付けにしている。
この辺りの国では、黒は喪服の色だ。国によっては、白が喪服の色の国もあるけれど、この周辺では白を喪服にする国はあまりない。だからその色を、誰もが不吉に感じていた。
「あの人、佳景様のお付きの女中でしょ? だったら、目立たない色を選ぶべきなのに、なんで黒い着物なんて、選んだんだか・・・・考えが足りない子だわ」
「いや、それは違う。むしろ、考えた末の行動だと思うぞ」
「え?」
突然、誰かが会話に入ってきた。
驚いて、声がした方向を見ると、行列の横を歩く男性を見つけた。
男性は僧衣をまとい、錫杖を持っていた。身形からして、僧侶だろうか。
頭髪には白髪が混じり、顔には皺が浮き出ているけれど、老人と呼ぶには、背も曲がっていないし、足取りもしっかりしている。外見からは、年齢が読み取りにくい人だった。
「ちょっとお坊さん! 行列に近づいちゃ、駄目ですよ!」
身分の高い方々の行列には、近づいてはならないというのが、この国の不文律だ。だから町人達はもっと近くで見たいと思っていても、行列に近づこうとしない。
なのに、僧侶はそれを知らないのか、堂々と列の横を歩いているのだ。
「あの女が気になるかい? お嬢さん方」
注意されたのに、僧侶は聞いていなかった。
「まったく、肝が据わった女だ。あの女は黒を選ぶことで、自分を主役にしようとしたんだろう」
「主役? 黒を選ぶことで、どうして主役になれるのよ」
追い払わなければならないのに、女中は、僧侶の話に興味を持ってしまったようだ。僧侶は、にやりと笑う。
「よく見比べてみな、お嬢さん。花嫁と付き人達は、色鮮やかな衣を纏っておる。だが、目を引きつけられるのはどの女性じゃ?」
「それは、えっと・・・・」
女中の視線は、久遠さんと花嫁の間を交互に彷徨った後、久遠さんのほうに留まる。
「今日は、自分の美しさを国民に見せつけることができる、絶好の晴れ舞台じゃ。こんな日に、誰も黒なんて選ばない。それよりも、より艶やかさを競って、しかも女性の清純さを引き立ててくれる、淡い色の着物を選んでおる。だが、それらの色よりも、黒のほうが強く、人の目を引き付けるんじゃ。黒には鮮やかさはないが、黒よりも濃い色はないからの」
「黒より濃い色はない・・・・」
「それに、まわりと違うというだけで、人はそれに目を引きつけられるものだからな。・・・・あの女は自分を清純に見せたい女達の心理と、目立つものに心を引き付けられる民衆の心理を逆手にとって、まわりの女達を引き立て役にしてしまったのだよ」
かかか、と僧侶は高く笑った。
赤や桃色、黄色や緑、青や群青。色とりどりの華やかな着物は、まるで花畑のように綺麗だ。でも、綺麗だからこそ、美しい女性達はその輝きの中に埋没して、一人一人の個性がなくなってしまっている。
でも、久遠鳴さんだけは違う。黒い衣装は、淡い色の着物の中でも強さを失わずに、さらに、金や銀の着物の模様や、彼女の真っ白な肌を際立たせていた。
「それじゃ、目立つためにあんな色を着ているの?」
「そうだ。美しさに恵まれていても、天下の桜の廓ともなれば、美しいことは当然のこと、そこから頭一つ抜きんでるには、さらに一味、何かを加えなきゃならんのさ。・・・・あの女の顔を見ろ。自分には何も恥じることはないと、毅然と顎を上げて、前を見すえておるじゃろう? あのふてぶてしくも思える堂々とした態度もまた、人々の心を引き付けるのじゃ」
「なんて子なの・・・・」
「末恐ろしいじゃろ?」
僧侶は、また笑った。
「そこのお前!」
その時、鋭い声が飛んでくる。
「行列に近づくんじゃない! 今すぐ離れろ!」
「おっとまずい。見つかってしまった」
僧侶はそそくさと、人垣の中に戻っていく。
「我伝(がでん)長老!」
僧侶の姿が、人の渦の中に埋没しそうになった時に、相違を纏った若い男性が、僧侶に近づいていくのが見えた。
「こんなところで油を売っていたんですか? 急いでいるっていうのに、なにをしているんですか、あなたは」
「少しぐらい、行列を鑑賞してもいいじゃないか。北鬼中から美女が集まってくる、貴重な日じゃぞ?」
「まったく、いくつになっても色ボケジジイなままなんですから・・・・ほら、行きますよ」
「わかった、わかった。それじゃあな、お嬢さん方」
老人は若い男に引っ張られて、路地の中に入っていった。
「・・・・なんだったのかしら、あの人」
「・・・・よくわからないけど、勉強になったわね」
女中達はいつまでも、久遠鳴さんの後ろ姿を見つめていた。
「見て、花嫁達が来たわ!」
美しい花嫁達を一目見ようと、その日も沿道には、大勢の人々が集まっていた。
行列は、人々が生みだした道の中央を、一歩一歩ゆっくりと進んでいく。
「綺麗ねえ」
閻魔の花嫁達は、今日は白無垢ではなく、赤や青、緑など、色鮮やかな着物に身を包んでいる。彼女達の実家が用意した着物は、松竹梅や七宝、鶴や檜扇、鴛鴦などの模様が、色とりどりの糸で施されていた。
「見てよ、あの着物!」
町人だけじゃなく、随伴の女中達も、花嫁達の豪華絢爛な着物に目を奪われていた。
「きっと正絹よ。あの着物だけで、一体いくらするのかしら。・・・・考えただけでも目眩がするわ」
「数回着るだけの着物に、あんなにお金をかけるなんて、信じられないわよね」
「あの着物は、彼女達の実家が、自分達の財力を見せつけるために用意したものだから、あれだけ豪華なのよ」
元は同じ常宮家だったのに、今の七家は、競い合っているようなところがある。花嫁の衣装は、財力を町人に披露できる、絶好の機会でもあるから、年々派手になっていくばかりだった。
(・・・・諒影に見つからないようにしないと)
刑門部省の武官が、行列を警護している。
当然、列の中には諒影の姿もあった。
諒影は列の前方に、私は後方にいる。これだけの大人数だから、顔を合わせる確率は低いけれど、用心するに越したことはない。
行列の脇には、鬼久頭代や、詠誓御主の姿もあった。鬼峻隊は、近づこうとする野次馬を遠ざける役目を担ってくれている。
「・・・・ねえ、あれ、見てよ」
こっそりお喋りしていた女中の声は、なぜか低くなっていた。
「あの子、久遠鳴よ。こんな日に、黒い着物を選ぶなんて・・・・」
色鮮やかな着物が並ぶ中、一つだけ、奇妙な色があった。
――――黒。佳景様のお付きの女中、久遠鳴さんが着ているのは、灰色や群青ではなく、黒い着物だった。目が眩みそうな鮮やかな色が並ぶ中、彼女の着物の色だけ、暗く沈んでいる。
だからなのか、その着物は花嫁の衣装に比べて地味なのに、彼女はとても目立っていた。花嫁の姿に見入っていた町人達も、今は久遠さんに目を釘付けにしている。
この辺りの国では、黒は喪服の色だ。国によっては、白が喪服の色の国もあるけれど、この周辺では白を喪服にする国はあまりない。だからその色を、誰もが不吉に感じていた。
「あの人、佳景様のお付きの女中でしょ? だったら、目立たない色を選ぶべきなのに、なんで黒い着物なんて、選んだんだか・・・・考えが足りない子だわ」
「いや、それは違う。むしろ、考えた末の行動だと思うぞ」
「え?」
突然、誰かが会話に入ってきた。
驚いて、声がした方向を見ると、行列の横を歩く男性を見つけた。
男性は僧衣をまとい、錫杖を持っていた。身形からして、僧侶だろうか。
頭髪には白髪が混じり、顔には皺が浮き出ているけれど、老人と呼ぶには、背も曲がっていないし、足取りもしっかりしている。外見からは、年齢が読み取りにくい人だった。
「ちょっとお坊さん! 行列に近づいちゃ、駄目ですよ!」
身分の高い方々の行列には、近づいてはならないというのが、この国の不文律だ。だから町人達はもっと近くで見たいと思っていても、行列に近づこうとしない。
なのに、僧侶はそれを知らないのか、堂々と列の横を歩いているのだ。
「あの女が気になるかい? お嬢さん方」
注意されたのに、僧侶は聞いていなかった。
「まったく、肝が据わった女だ。あの女は黒を選ぶことで、自分を主役にしようとしたんだろう」
「主役? 黒を選ぶことで、どうして主役になれるのよ」
追い払わなければならないのに、女中は、僧侶の話に興味を持ってしまったようだ。僧侶は、にやりと笑う。
「よく見比べてみな、お嬢さん。花嫁と付き人達は、色鮮やかな衣を纏っておる。だが、目を引きつけられるのはどの女性じゃ?」
「それは、えっと・・・・」
女中の視線は、久遠さんと花嫁の間を交互に彷徨った後、久遠さんのほうに留まる。
「今日は、自分の美しさを国民に見せつけることができる、絶好の晴れ舞台じゃ。こんな日に、誰も黒なんて選ばない。それよりも、より艶やかさを競って、しかも女性の清純さを引き立ててくれる、淡い色の着物を選んでおる。だが、それらの色よりも、黒のほうが強く、人の目を引き付けるんじゃ。黒には鮮やかさはないが、黒よりも濃い色はないからの」
「黒より濃い色はない・・・・」
「それに、まわりと違うというだけで、人はそれに目を引きつけられるものだからな。・・・・あの女は自分を清純に見せたい女達の心理と、目立つものに心を引き付けられる民衆の心理を逆手にとって、まわりの女達を引き立て役にしてしまったのだよ」
かかか、と僧侶は高く笑った。
赤や桃色、黄色や緑、青や群青。色とりどりの華やかな着物は、まるで花畑のように綺麗だ。でも、綺麗だからこそ、美しい女性達はその輝きの中に埋没して、一人一人の個性がなくなってしまっている。
でも、久遠鳴さんだけは違う。黒い衣装は、淡い色の着物の中でも強さを失わずに、さらに、金や銀の着物の模様や、彼女の真っ白な肌を際立たせていた。
「それじゃ、目立つためにあんな色を着ているの?」
「そうだ。美しさに恵まれていても、天下の桜の廓ともなれば、美しいことは当然のこと、そこから頭一つ抜きんでるには、さらに一味、何かを加えなきゃならんのさ。・・・・あの女の顔を見ろ。自分には何も恥じることはないと、毅然と顎を上げて、前を見すえておるじゃろう? あのふてぶてしくも思える堂々とした態度もまた、人々の心を引き付けるのじゃ」
「なんて子なの・・・・」
「末恐ろしいじゃろ?」
僧侶は、また笑った。
「そこのお前!」
その時、鋭い声が飛んでくる。
「行列に近づくんじゃない! 今すぐ離れろ!」
「おっとまずい。見つかってしまった」
僧侶はそそくさと、人垣の中に戻っていく。
「我伝(がでん)長老!」
僧侶の姿が、人の渦の中に埋没しそうになった時に、相違を纏った若い男性が、僧侶に近づいていくのが見えた。
「こんなところで油を売っていたんですか? 急いでいるっていうのに、なにをしているんですか、あなたは」
「少しぐらい、行列を鑑賞してもいいじゃないか。北鬼中から美女が集まってくる、貴重な日じゃぞ?」
「まったく、いくつになっても色ボケジジイなままなんですから・・・・ほら、行きますよ」
「わかった、わかった。それじゃあな、お嬢さん方」
老人は若い男に引っ張られて、路地の中に入っていった。
「・・・・なんだったのかしら、あの人」
「・・・・よくわからないけど、勉強になったわね」
女中達はいつまでも、久遠鳴さんの後ろ姿を見つめていた。
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