記憶も記録もありません…全てを消された放浪者(わたし)は、わけもわからずスローライフしてます❗️

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23話

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**第二十三話: 記憶のかけら**

ライラは、フィオナと共に見つけた手紙と写真を大切に持ち帰り、自分の小さな家でそれらをじっくりと見直していた。手紙には優しい言葉が綴られ、写真には懐かしい風景や人々が写っていた。ライラは一枚一枚を手に取り、過去の記憶を辿りながら心を落ち着かせていった。

ある日、フィオナが村の市場で新鮮な野菜を買いに出かけている間、ライラは一人で手紙を読み進めていた。すると、ある手紙の中に、彼女の記憶を揺り動かす一文があった。

「ライラ、あなたがいつも言っていたあの場所に行きたいわ。あの美しい湖のほとりでまた会いましょう。」

ライラの心に何かが引っかかるような感覚が広がった。その美しい湖のほとりという言葉が、彼女の中で深い意味を持っているように思えた。だが、その具体的な場所の記憶はまだ曖昧だった。

その夜、フィオナが帰宅すると、ライラは手紙を見せてその一文について話した。

「フィオナ、この湖のほとりって、一体どこなんだろう?」ライラは問いかけた。

フィオナは手紙をじっくりと読み、しばらく考え込んだ後に答えた。「この村の近くに美しい湖はないけれど、少し離れた場所に、昔から伝説として語られる湖があるわ。『クリスタルレイク』という名前で、その水面はまるで宝石のように輝くと言われているの」

「クリスタルレイク…」ライラはその名前を口に出しながら、心の中で響く何かを感じた。「そこに行ってみたい」

フィオナは微笑み、「もちろんよ、ライラ。私も一緒に行くわ」と答えた。

翌日、二人はクリスタルレイクを目指して旅立った。道中、ライラは村でののんびりとした日常とは異なる新たな風景に心を躍らせた。森を抜け、丘を越え、ついにその美しい湖にたどり着いた。

湖のほとりに立つと、ライラはその輝く水面に見とれ、心が安らぐのを感じた。まるで自分の魂がここに帰ってきたかのようだった。湖のそばに腰を下ろし、ライラは静かに目を閉じた。

突然、彼女の頭の中に鮮明な映像が蘇った。過去の自分が、この湖のほとりで誰かと過ごしている場面だった。その人は笑顔で彼女に語りかけ、優しい手で髪を撫でていた。

「思い出した…」ライラは目を開け、涙が頬を伝って流れた。「ここは、私の大切な場所だった」

フィオナはそっとライラの肩に手を置き、「大丈夫よ、ライラ。あなたの記憶は少しずつ戻ってきているわ」と励ました。

ライラはその夜、湖のほとりでキャンプをしながら、過去の記憶が戻る喜びをかみしめた。そして、これからもフィオナと共に新たな冒険を続け、失った記憶を取り戻していく決意を新たにした。

次回は、ライラがクリスタルレイクでさらに深い記憶を掘り起こし、新たな手掛かりを見つける話が描かれます。ライラの心の旅は、まだまだ続いていきます。
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