記憶も記録もありません…全てを消された放浪者(わたし)は、わけもわからずスローライフしてます❗️

Ⅶ.a 

文字の大きさ
上 下
22 / 39

22話

しおりを挟む
**第二十二話: 小さな発見**

エルムウッド村に戻ったライラとフィオナは、日々の生活を続けながら、ライラの記憶を取り戻すための日記帳を読み進めていた。日記帳にはライラの過去の断片が少しずつ書かれており、それを解読するたびに彼女の記憶が蘇ってきた。

ある日、ライラは日記帳の中に挟まれていた小さな鍵に気づいた。その鍵は古びていて、何か特別な箱を開けるためのもののようだった。

「この鍵、一体どこに使うのかしら?」ライラは不思議そうにフィオナに尋ねた。

フィオナは鍵を手に取り、しばらく考えた後に言った。「村の古い倉庫に、鍵のかかった箱があったのを思い出したわ。もしかしたら、それに使えるかもしれない」

二人は村の古い倉庫へと向かった。その倉庫は長い間使われておらず、埃まみれだった。倉庫の奥には、フィオナが言っていた通り、鍵のかかった古びた箱があった。

ライラは小さな鍵を取り出し、慎重に鍵穴に差し込んだ。鍵はすんなりと回り、箱の蓋が開いた。中には、いくつかの手紙と古い写真が入っていた。

「これは…」ライラは手紙を取り出し、読み始めた。手紙にはライラの家族や友人たちからのメッセージが書かれていた。彼女の過去の断片がさらに蘇り、胸が熱くなった。

「ライラ、これらの手紙を通じて、あなたの過去がもっとわかるかもしれないわ」とフィオナは言った。

ライラは手紙を丁寧に読み進めながら、過去の記憶が次第に鮮明になっていくのを感じた。写真には、彼女が笑顔で写っている場面が多く、どれも大切な思い出だった。

「これらの写真と手紙が、私の過去の手掛かりになるわ」とライラは決意を新たにした。「フィオナ、ありがとう。あなたがいなければ、この鍵に気づかなかったわ」

フィオナは微笑んで、「一緒に頑張りましょう、ライラ。あなたの過去を取り戻すために、私も力を貸すわ」と励ました。

その後、ライラとフィオナは村の図書館に戻り、手紙や写真に関する情報を調べることにした。村の古い記録や書物を読みながら、ライラの過去に関する手掛かりを少しずつ集めていった。

エルムウッド村でののんびりとした生活の中で、ライラは自分の過去を取り戻す旅を続ける一方で、村の人々との絆も深めていった。村の人々はライラの話を聞き、彼女を支えながら共に過ごすことで、さらに温かい絆が生まれていった。

次回は、ライラが手紙や写真を通じてさらに過去の記憶を取り戻し、新たな発見をする話が描かれます。のんびりとした日常の中にも、ライラの冒険と成長は続いていきます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました

しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。 自分のことも誰のことも覚えていない。 王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。 聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。 なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

処理中です...