記憶も記録もありません…全てを消された放浪者（わたし）は、わけもわからずスローライフしてます❗️

21話

**第二十一話: 記憶の欠片**

ライラとフィオナがエルムウッド村でのんびりとした日々を過ごしてから数日が経過した。ある朝、ライラは不思議な夢から目覚めた。夢の中で見た光景はぼんやりとしか覚えていないが、何か大切なことを思い出しかけたような感覚が残っていた。

「フィオナ、今朝見た夢がとても気になるの」とライラは食卓で言った。「何かを思い出しかけた気がするのよ」

フィオナは心配そうにライラを見つめた。「どんな夢だったの？」

「はっきりとは覚えていないけれど、古い塔のような場所が見えたわ。そこには何か重要なものが隠されている気がするの」とライラは答えた。

その日、ライラとフィオナは村の長老に相談することにした。長老はライラの話を聞き、静かに頷いた。「それはもしかすると、ライラの記憶の一部が戻りつつあるのかもしれない。古い塔のことを調べてみる必要があるわね」

村の長老の助言を受け、ライラとフィオナはエルムウッド村の古い文献を調べ始めた。村の図書館には多くの古文書や地図が保管されており、彼女たちはその中から塔に関する情報を探し出すことにした。

数時間の捜索の末、ライラは古い地図の中に目を引くものを見つけた。「ここにあるわ、この塔のことが書かれている。『忘れられた塔』と呼ばれている場所ね」

フィオナも地図を覗き込みながら、「ここからそんなに遠くない場所みたいね」と言った。「明日、調査に行ってみましょう」

翌朝、ライラとフィオナは「忘れられた塔」に向けて出発した。道中は静かで、鳥のさえずりが心地よく響いていた。塔に近づくにつれ、ライラの胸は高鳴り、何か重要なものがそこにあると確信していた。

塔に到着すると、そこは古びていて、長い間誰も訪れていないようだった。ライラとフィオナは慎重に塔の中に入った。中は薄暗く、蜘蛛の巣が至る所に張り巡らされていた。

「ここは…」ライラは不思議な既視感に包まれた。「何かを思い出しそう」

塔の内部を進むと、ライラは一つの部屋に足を止めた。部屋の中央には古い石の台があり、その上には一冊の古びた日記帳が置かれていた。ライラはその日記帳に手を伸ばし、開いてみた。

「これは…私の日記？」日記帳の中には、ライラがかつて書いたと思われる記述が残されていた。そこには彼女の過去の断片が書かれており、記憶が蘇り始めた。

「フィオナ、見て。これが私の記憶の欠片よ」とライラは感動しながら言った。「ここには私の過去が書かれている」

フィオナも驚きと共に日記帳を見つめ、「ライラ、これで少しずつ自分を取り戻せるわね」と励ました。

ライラは日記帳を大切に抱きしめながら、「これからもこの村での生活を大事にしながら、自分の過去を取り戻していきたい」と決意を新たにした。

その日、ライラとフィオナはエルムウッド村に戻り、村の人々と再び穏やかな日常を過ごしながら、ライラの記憶を少しずつ取り戻す旅を続けることにした。

次回は、ライラが日記帳の記述を頼りにさらに記憶を取り戻していく中で、新たな発見と感動が待ち受けている話が描かれます。のんびりとした日常の中にも、ライラの冒険は続いていきます。