記憶も記録もありません…全てを消された放浪者（わたし）は、わけもわからずスローライフしてます❗️

7話

**第七話: 闇の襲来**

ライラとエリオットが泉の力を使って村の防御魔法を強化してから数週間が経過した。エルムウッド村は一見平穏を取り戻したかのように見えたが、ライラの不安な予感は消えることがなかった。

ある夜、村の防御壁の外で不気味な動きが感じられた。黒い霧が再び村を包み始め、住民たちの間に不安が広がった。ライラはすぐにエリオット、アーロン、リリアを呼び集め、緊急会議を開いた。

「やっぱり、何かが近づいている…」ライラはその不安を共有しながら、エリオットに言った。「私たちの準備はまだ足りていないのかもしれません」

エリオットはライラの肩に手を置き、冷静に答えた。「大丈夫だ、ライラ。私たちは準備をしてきた。今こそ、その力を発揮するときだ」

アーロンが拳を握りしめて言った。「防御壁の強化は万全だ。僕たちも戦う準備はできている」

リリアも力強く頷き、「村の避難場所も確保した。住民たちの安全は私たちにかかっている」と言った。

その時、村の防御壁の外から大きな音が響き渡り、黒い影が村に迫っているのが見えた。ライラはすぐに行動に移り、エリオットと共に防御魔法を発動させた。泉の力を取り込んだ魔法のバリアが、黒い影を防ぐように光を放った。

「みんな、準備はいいか？」ライラは声を張り上げ、村の戦士たちに呼びかけた。

「はい！」村の若者たちが一斉に応じ、防御壁に向かって走り出した。

黒い影が防御壁にぶつかると、強力なバリアがそれをはね返した。しかし、影は次々と現れ、村を包囲するかのように攻撃を続けた。

「このままでは持たない…」ライラはそう感じながらも、必死に防御魔法を強化し続けた。

その時、エリオットがふと思い出した。「ライラ、あの泉の力はまだ使い切っていないはずだ。もう一度、あの場所に戻って力を引き出せないだろうか？」

ライラは一瞬迷ったが、すぐに決意を固めた。「分かりました、もう一度泉に行ってみます。エリオットさん、村を頼みます」

エリオットは力強く頷いた。「君を信じている。気をつけて行ってきてくれ」

ライラは急いで村を抜け出し、森の奥深くへと向かった。夢に導かれた道を進み、再び光り輝く泉にたどり着いた。

「この泉の力よ、私たちを救って…」ライラは心の中で祈りながら、泉に手を差し伸べた。

泉の水が再び輝き始め、その力がライラの中に流れ込んできた。彼女はその力を感じ取り、村を守るための新たな魔法を覚醒させた。

ライラはすぐに村へ戻り、新たに得た力で防御魔法をさらに強化した。輝くバリアが黒い影を完全に防ぎ、村は一時的な安堵を得た。

「やったわ、ライラ！」リリアが歓喜の声を上げた。「あなたのおかげで村は守られた！」

しかし、エリオットは依然として緊張を解かなかった。「この影が何者なのか、まだ分からない。これからも警戒を怠らないようにしよう」

ライラは仲間たちと共に未来のための準備を続けることを決意した。彼女の中に眠る古代の力は完全には目覚めていないが、その一端を感じ取ることができた。

次なる試練がいつ訪れるか分からないが、ライラとエリオット、そしてエルムウッド村の人々は一丸となって立ち向かう準備を整えていた。黒い影の正体を明らかにし、真の平和を取り戻すために。