「聞いた聞いた？？ お前なんて産まれてこなければ良かった！と言われ続けた無能な非行少年！？ 実は、神の末裔の生まれ変わりだったんだって！？」

21話

第21話：闇の目覚め

四つの聖なる遺物を集めた蓮たちは、いよいよ闇の支配者との最終決戦に向かう準備を整えた。エリスが導く地図には、封印の地として指定された場所が示されていた。それは、「闇の峡谷」と呼ばれる場所だった。

「闇の峡谷か…この場所は、古代の戦争で闇の力が封じ込められたとされる地ね。」エリスは地図を指しながら説明した。「この峡谷に四つの遺物を持ち込み、封印を強化することが私たちの目的よ。」

「でも、闇の支配者が目覚める前に封印を完成させるのは至難の業だろうな。」亮が険しい表情で言った。

「そうね。闇の力が強まっているのを感じるわ。時間がないかもしれない。」エリスは緊張した様子で応じた。

蓮たちはすぐに準備を整え、闇の峡谷へと向かった。道中、徐々に空が暗くなり、異様な気配が漂い始めた。闇の支配者の目覚めが近いことを感じた彼らは、一刻も早く峡谷に到達しなければならないと悟った。

ついに彼らは闇の峡谷の入口にたどり着いた。そこには、巨大な黒い門が立ちはだかっていた。門の上には古代の文字が刻まれており、その文様が奇妙に輝いていた。

「この門をくぐれば、闇の支配者が封じられている場所へと続いているわ。」エリスが言った。

「気を引き締めていこう。ここからが本当の戦いだ。」蓮が門を押し開けながら言った。

門を通り抜けた先は、暗く深い峡谷の中で、風が不気味に唸りを上げていた。峡谷の奥には、巨大な石の祭壇があり、その中心に闇の支配者が封印されているとされる古代の装置があった。

「ここが…闇の封印が施された場所か。」翼が恐る恐る言った。

「早く、四つの遺物を祭壇に置くのよ。そうすれば、封印を強化できるはず。」エリスが急かした。

蓮たちはそれぞれの遺物を取り出し、祭壇の四隅に置いていった。遺物が祭壇に触れると、祭壇全体が光り輝き始めた。その光は次第に強さを増し、闇の力を抑え込むように広がっていった。

しかし、その時、地面が激しく揺れ始めた。「なんだ!?」亮が驚いて叫んだ。

祭壇の中央から、黒い霧が立ち上り、封印が破られるような感覚が広がった。「闇の支配者が目覚めようとしている！」エリスが叫んだ。

「急げ、封印を完成させるんだ！」蓮が声を張り上げたが、霧の中から巨大な影が現れた。それは、闇の支配者だった。

闇の支配者は人の形をしていたが、その身体は漆黒に包まれ、瞳からは冷たい光が放たれていた。「我が名はアビス。永き眠りから覚めた今、再びこの世界を闇で覆い尽くす。」

「そんなことはさせない！」蓮は勇気を振り絞り、アビスに立ち向かった。

だが、アビスは強力な闇の力を操り、蓮たちに襲いかかった。その力は圧倒的で、彼らは防戦一方となった。

「どうすれば…」彩が困惑する中、エリスが冷静に言った。「蓮、四つの遺物を使ってアビスの力を封じるのよ！」

「わかった！」蓮は即座に行動に移り、遺物の力を解放した。すると、遺物から光が放たれ、アビスの闇を打ち消し始めた。

「なぜだ…封印は破ったはずだ！」アビスが苦悶の声を上げた。

「これで終わりだ！」蓮が遺物の力を最大限に引き出し、アビスに向けて放った。光がアビスを包み込み、その姿は次第に消えていった。

「お前たち…この戦いが終わりではない…真の闇が…」アビスの言葉が消えた瞬間、彼の姿は完全に消滅した。

蓮たちは力を使い果たし、その場に倒れ込んだ。「終わった…のか？」亮が息を切らしながら呟いた。

「ええ、アビスは封じられたわ。でも、彼が言っていた『真の闇』という言葉が気になる…」エリスが不安そうに答えた。

「でも今は、勝利を喜ぼう。」蓮が微笑んだ。

こうして、蓮たちは闇の支配者アビスを封じ、世界に一時の平和をもたらした。しかし、彼らの旅はまだ続くことになる。真の闇との戦いが、まだ彼らを待ち受けているのかもしれない。