「聞いた聞いた？？ お前なんて産まれてこなければ良かった！と言われ続けた無能な非行少年！？ 実は、神の末裔の生まれ変わりだったんだって！？」

16話

### 第16話：古代の予言

村に平和が戻り、蓮たちはしばしの休息を取っていた。しかし、闇の勢力との戦いは終わったわけではない。エリスが持ってきた一冊の古い書物が、次なる試練の存在を示していた。

「この書物には、古代の予言が記されているわ。」エリスは慎重にその書物を開いた。「闇の力が再び目覚める時、神々の末裔と精霊の力を持つ者たちが協力し、真の敵に立ち向かうことになる。」

「真の敵？」彩が不安そうに尋ねた。

「そう。カゲロウは単なる先駆けに過ぎない。本当の闇の支配者が目覚めようとしているの。」エリスの言葉に、蓮たちは再び緊張感を取り戻した。

老人もその予言を読み、深い思索に沈んだ。「真の敵…それは我々が想像していた以上に強大な存在かもしれん。しかし、予言には一筋の希望も記されている。」

エリスがそのページをめくると、次のような記述が現れた。「四つの聖なる遺物を集め、それを使って闇の支配者を封じることができる。」

「その遺物を探しに行く必要があるのか。」亮が決意を新たにした。

「はい、まずは最初の遺物が隠されている場所に向かいましょう。」エリスは地図を広げ、その指で一つの地点を指し示した。「ここに、風の遺物があると伝えられている。」

その場所は遥か遠く、険しい山岳地帯に位置していた。蓮たちは早速準備を整え、旅立つことを決意した。村人たちもその決意を支え、感謝の言葉を贈った。

「皆さんのおかげで、村は守られました。本当にありがとう。そして気をつけて行ってください。」村の長老が涙ながらに見送った。

「必ず戻ってくるよ。そして、真の平和をもたらすために戦い続ける。」蓮が力強く答えた。

旅は厳しく、山道は険しかった。風は冷たく、吹雪が彼らの進行を阻んだ。しかし、蓮たちは決して諦めなかった。精霊たちの力を駆使し、困難を乗り越えていった。

ある晩、彼らは小さな山小屋で休息を取っていた。焚き火の明かりが揺れる中、エリスが静かに語り始めた。「私たちが向かっている場所は、かつて精霊たちの聖域とされていた場所。そこには風の精霊が宿ると言われている。」

「風の精霊…それが遺物を守っているのか。」翼が感心しながら聞いた。

「ええ、風の精霊との契約を結ぶことができれば、その遺物を手に入れることができるでしょう。でも、その試練は一筋縄ではいかないわ。」

翌朝、彼らは再び旅を続けた。ついに、目的の地にたどり着いた。そこは広大な山岳地帯の頂上で、風が常に吹き荒れる場所だった。中央には巨大な石の祭壇があり、その上には古代の文様が刻まれていた。

「ここだ。」エリスがその祭壇に近づき、手をかざして呪文を唱えた。

すると、祭壇が輝き始め、風がさらに強く吹き荒れた。風の精霊が姿を現したのだ。「我が名はゼフィール。風の守護者だ。君たちの目的は何か？」

「私たちは風の遺物を手に入れ、闇の支配者と戦うために来た。精霊ゼフィール、我々に力を貸してほしい。」蓮が真摯に訴えた。

「その決意が本物かどうか、試練を通じて証明してもらう。」ゼフィールが語りかけると、周囲の風が渦を巻き、彼らを試練の場へと誘った。

試練の場は強風が吹き荒れる険しい道だった。彼らは風に立ち向かいながら、互いの力を合わせて進んでいった。エリスの知識が彼らを導き、精霊たちの力が彼らを守った。

最後にたどり着いたのは、一つの大きな風の結界だった。そこに遺物が輝いていた。「これが風の遺物…」彩が感動しながら手を伸ばした。

「見事だ、君たちは風の試練を乗り越えた。遺物を受け取るがよい。」ゼフィールが認め、遺物を彼らに授けた。

「ありがとうございます、ゼフィール。」蓮たちは深く感謝の意を示し、その遺物を大切に持ち帰ることを決意した。

こうして、蓮たちは新たな力を手に入れ、次なる遺物を求めて旅を続けることになった。闇の勢力との戦いは続くが、彼らの絆は一層強固なものとなり、新たな試練に立ち向かう準備が整ったのだった。