「聞いた聞いた？？ お前なんて産まれてこなければ良かった！と言われ続けた無能な非行少年！？ 実は、神の末裔の生まれ変わりだったんだって！？」

3話

第3話：未知なる力の片鱗

朝の光が差し込む中、楠本蓮はいつもよりも早く目を覚ました。昨夜の神社での体験がまだ鮮明に頭に残っており、彼は自分の力をもっと確かめたいという強い衝動に駆られていた。家を出るとき、母親はまだ寝ていたが、蓮はそれを気にせずに家を後にした。

学校への道を歩きながら、蓮は護符をポケットに忍ばせ、昨日感じた内なる力を思い出していた。「本当に僕にそんな力があるのか…」彼は自分に問いかけながら、力の使い方について考えていた。

教室に入ると、クラスメートたちの冷たい視線がいつものように蓮に向けられた。だが、今日はそれが以前ほど気にならなかった。自分には特別な力があるという確信が、彼の心を強くしていた。

授業中、蓮はふと手元に護符を握りしめ、心の中で集中を試みた。すると、教室の雰囲気が一瞬変わり、周囲の音が遠のくような感覚に包まれた。彼は驚きながらも、その感覚を楽しんだ。だが、集中を解くとすぐに元の騒がしい教室に戻り、蓮はその経験を自分だけの秘密として胸にしまった。

放課後、蓮は再び町外れの神社に向かった。彼の内なる声が、再びそこへ行くことを促していたのだ。神社に着くと、老人がすでに待っていた。

「お帰り、蓮。力の片鱗を感じたようだね。」老人は微笑みながら言った。

「はい。でも、どうやってこの力を使えばいいのか、まだ分かりません。」蓮は正直に答えた。

老人は頷き、蓮を神社の奥へと導いた。そこには古代の石碑があり、その表面には複雑な紋様が刻まれていた。「この石碑には、神の力を使うための秘訣が記されている。だが、それを解読するには君自身の努力と修練が必要だ。」

蓮は石碑に手を触れ、その冷たさと古代の力を感じ取った。「僕にできるでしょうか…？」

老人は静かに答えた。「君にはその資質がある。だが、全ては君自身の手で掴み取らなければならない。まずは、内なる力をコントロールする訓練を始めよう。」

その日から、蓮の訓練が始まった。老人は彼に基本的な瞑想法や呼吸法を教え、内なる力を集中させる方法を伝授した。最初は難しく感じたが、蓮は諦めずに続けた。毎日少しずつ、彼は自分の力を感じ取ることができるようになっていった。

ある日、訓練中に蓮は不思議な感覚に包まれた。目を閉じて瞑想していると、体が軽くなり、周囲の世界が遠ざかるように感じた。彼が目を開けると、自分が宙に浮かんでいることに気づいた。驚きと喜びが入り混じり、彼は集中を維持しようと努力したが、すぐに力が抜けて地面に戻ってしまった。

老人はそれを見て微笑んだ。「よくやった、蓮。それが君の力の一端だ。これからも努力を続ければ、もっと多くのことができるようになるだろう。」

蓮は自信を深めながら頷いた。「はい、続けます。もっと強くなりたい。」

その夜、家に帰った蓮は、母親の機嫌がいつもよりも良いことに気づいた。彼女は夕食の準備をしており、蓮に向かって微笑みかけた。「今日は何かいいことでもあったの？」

蓮は驚きながらも、内心の変化が周囲に影響を与えていることを実感した。「うん、ちょっといいことがあったんだ。」

こうして、蓮は自分の力を少しずつ解放し始めた。未知なる力の片鱗を見せた彼の旅は、まだ始まったばかりだった。彼が本当にその力を使いこなせるようになるためには、さらに多くの訓練と試練が待ち受けていることを、蓮はまだ知らなかった。