上 下
14 / 20

13話

しおりを挟む
第13話:崩壊する迷宮

---

グランドたちは迷宮の崩壊から逃れるため、全速力で走り続けた。後ろで崩れる音が響き渡り、彼らの背中に迫ってくる。

「こんな状況、聞いてないぞ!」カインが叫びながら、足を止めずに走った。

「落ち着いて、出口はきっと近いはず!」エリナがグランドの隣で叫び返した。

「皆、分かれないように!俺たちなら必ず脱出できる!」グランドは冷静に指示を出し、仲間たちを励ました。

---

崩れる石の欠片が次々と彼らの前に降り注ぎ、進路を塞いでいく。しかし、グランドは自分の体を盾にし、仲間を守りながら進んでいった。彼の心には、昔のヒーローたちの勇姿がよぎる。

(この力を、皆のために使うんだ…)

グランドは自らの決意を再確認し、全身に力を込めた。

---

突然、エリナが足を滑らせて転んだ。彼女が倒れた瞬間、巨大な石の塊が彼女に向かって落下してきた。

「エリナ!」グランドは迷うことなく彼女の元へ駆け寄り、自分の体で彼女を守った。

---

「グランド!大丈夫か?」カインが心配そうに叫んだ。

「俺なら大丈夫だ、エリナも無事だ。」グランドは痛みをこらえながら答えた。

「すまない…私のせいで。」エリナが涙ぐみながら謝った。

「気にするな、仲間だろう?さあ、行こう。」グランドは優しく微笑み、エリナを立ち上がらせた。

---

再び走り出した彼らは、やがて明るい光が見えてくるのを感じた。それは出口に続く光だった。彼らは最後の力を振り絞り、その光に向かって突進した。

---

迷宮を抜け出した瞬間、グランドたちは大きく息をついた。外の新鮮な空気が彼らの肺に流れ込み、全員が生き延びたことに安堵した。

「やった、脱出成功だ!」カインが勝利の叫びを上げた。

「皆、お疲れ様。無事で本当によかった。」エリナも笑顔で答えた。

---

しかし、グランドの表情はまだ険しかった。彼は後ろを振り返り、崩壊していく迷宮をじっと見つめた。

「グランド、どうしたの?」エリナが心配そうに尋ねた。

「まだ、終わっていない。この迷宮が崩れる理由を突き止めなければ、同じような被害が再び起こるかもしれない。」グランドは固い決意を込めて答えた。

---

グランドたちは次の行動を決めるため、一旦都市に戻ることにした。彼らがギルドに戻ると、先ほどの迷宮で得た情報を元に、次の調査を始める計画を立てた。

---

「これで一件落着じゃない。まだまだ、やるべきことが山ほどあるんだな。」カインが冗談混じりに言った。

「そうだね。でも、これが冒険者の仕事だから。」エリナが微笑んで返した。

---

「次の目的地は決まった。次こそは、この謎を解き明かす。」グランドは力強く宣言し、仲間たちに新たな決意を示した。

こうして彼らの次の冒険が始まる。迷宮の奥に潜む真実を暴き出すため、グランドたちはさらなる試練に挑むことを決意したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

【短編】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
 もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。  誕生を祝いに、領地から父の辺境伯が訪ねてくるのを心待ちにしているアリシア。 でも、夫と赤髪メイドのメリッサが口づけを交わしているのを見てしまう。 「なぜ、メリッサもお腹に赤ちゃんがいるの!?」  アリシアは夫の愛を疑う。 小説家になろう様にも投稿しています。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

処理中です...