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22・これ以上お付き合いしたくはありません。
しおりを挟む「それで貴女たちは何者なのですか」
「地方公務員だ」
「国家公務員ですわ」
「マリは?……がっきゅういいん」
「ちゃんと話してくれるよう念を押しましたよね!」
「奨学生だ」
「交換留学生ですわ」
「マリは?……せんしゅせんせい」
ムッキー! 食べるもの食べたらこれですか。
しかもマリは『将来はラッパー』などと言われたものだから、ただ韻を踏みたいだけのようです。
「なあ、日向」
ハルが私の肩に、そっと手を乗せ言いました。
何ですか、この人を憐れむような、仕草、目付き、物言いは!
「日向が自己紹介するときに、まず何を言う」
「名前……出身地かな? 年齢、趣味、職業?」
「嫌ですわ、中高生では無いのですから良い大人が。社会通念上、まずは肩書を名乗るのが一般的ではございませんか」
「常識的だな。例えば日向であれば『料理店を営んでおります山背日向と申します』こうなる筈だ。だから私も地方公務員と告げたのだ、何か間違っているか?」
へーへー、さようでございますか、正論でございますね。
「日向は、もー。ふすん!」
ク―ッ! マリにまで上から目線で鼻で笑われるとは、調子に乗って意味も分からずに言っているに違いありませんが、何という屈辱。
「貴女たちは身分や地位を、秘密にしておく必要があるという事なの?」
「いや、別に」
ハルも鼻で笑って答えました、鼻で笑ってです!
「昨日の一連の事を誰かに話しても良いという事なの?」
「フフッ、誰が信じます。中二病を発症した痛い人か、電波を受信できる人だと思われるのがオチですわ」
「ああ、そうだな。やはり秘密厳守だ。日向が入院させられ料理が食べられ無くなるのは困るぞ」
何と可愛げのない! 無我夢中で食事をしている時とは大違いで、一瞬でも心を許した私が馬鹿みたいです。
「昨日のニジマスは何なの」
残ったアラはウロコも含めて、この娘たちが持ち帰ってしまっているので、食べたという事実しか残っていませんので、誰にも信じてもらえないのは同じ事なのですが、食い下がらずにはいられません。
「美味しかっただろう」
平然と答える憎たらしたと言ったら、つい、声を荒げてしまいます。
「そう言う事じゃなくて!」
「ハル、あんまり面白いからと言ってからかってばかりいたら可哀想だわ、その辺りはちゃんと話しておかないと、料理を作ってくれなくなってしまうわ」
「そうだな、何しろこれから長い付き合いになるのだからな」
なんですとー!
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