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8・ぼんよよよ~んは駄目になります。
しおりを挟むリコさんの鞄。
大きめの学校指定の鞄と言ったところですか。
マリちゃんがリコさんの鞄からズルズルと何かを引っ張り出します。
「マリがとったー!」
魚でした!
いや、何処で、どうやって獲ったの、なぜ鞄の中に入れている!
そして、マリちゃんも舌足らずではありますが、ネイティブスピーカーではありませんか!
「あの~これ何ですか?」
私が問いかけると、マリちゃん自慢げに答えます。
「にじますー!」
「コレ、まぶしいのですが」
「嫌ですわ。ニジマスが光っているのは当り前ですわ」
リコさんが当たり前のように言いますが、もちろん初めて見ました、聞きました。
名前通り七色にきらめいて、私の知っているニジマスと全く違って、ものすごく狂暴そうな顔つきですし、かなり大きいです。
「うむ、美味そうだ! マリ良くやった」
えー! そこら辺の熱帯魚より色鮮やかにピカピカ光っていて、とても食用になるとは思えないのですが。
「えらい?」
マリちゃん、晴美さんに頭を撫でられて大喜びです。
「ニジマスは鮮度が命だ。早速、日向に調理して貰おう」
『調理します』などと言った覚えは無いのですが、マリちゃんが魚を掴んで重そうにしていますので、仕方ありません、取り敢えず受け取って捌いてみますか。
「日向! 危なーい!」
手を伸ばそうとしたら、リコさんにに羽交い絞めにされました。
背中に伝わる感触が、うん、これは駄目な奴です。
ぼんよよよ~ん、です。
「さすが日向、怖い物無しだな」
いや、晴美さん、そんなに感心したように言われても、そもそも貴女とはたった今、知り合ったばかりだというのに、私の何を知っているというのでしょうか。
「日向、ちゃれんじゃー!」
マリちゃん、丸い眼を更に丸くしています。
それに、何でしょう3人とも、アラサーおねいさんを急に呼び捨てにして、一足飛びに距離感を縮められた気がしました。
まあ、それは良しとしましょう。
そんな事より、このニジマスの事が気になります。
「コレ、そんなに危険なの、死んでいるのでしょう、表面に棘があるようにも見えないし、毒でもあるの?」
「迂闊に触ると、ウロコに咬みつかれるぞ」
「咬む?」
「だって、本体のニジマスより、ウロコの方が強いわ」
「え? 強いって何が?」
「キマイラと同じ様なものだ、別々の生き物の集合体だからな」
晴美さんの言葉、すべての意味が全く分かりませんので、何一つ突っ込む事すらできませんでした。
「どうやってウロコ落とすの?」
「難しい事では無い、厨房を借りても構わんか?」
「ええ、別に構わないです」
晴美さんはニジマスの頭を掴んで持ち上げました。
あぁ、ウロコに触らなければ良いという事ですか。
厨房に行ってまな板の上にニジマスを置くと、晴美さんは短剣を抜き放ち、身構えます。
短剣が白銀に輝き始めました。
恐ろしいほど真剣な眼です。
「殺れ!」
何を言っているのですか、この娘はー!
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