ぽっと出強者の異世界旅行譚

ゆーろー

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ハロー、異世界。これから、よろしく

Go To The Another World 略して ごっつぁん

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何処までも白い空間。
優しい笑みを浮かべた顔の知らない少女。

からのいきなりの浮遊感。
というより、下向きに上がり続ける速度。

「落ちてるじゃないですかやだぁぁぁぁぁぁぁ!」

ヒューン
バギッ
ゴヂ
「ぶへぇ」
ドゴッ
「そげぶ」
バキバキッ
ドゴォンッ

(うん、人間が発していい音じゃないと、俺は思うんだぁ。)

木々の枝を折り、巻き込みながら地面にめり込んだ体を起こして、周りを見る。

「ここ、どこ?」

見知らぬ地に落ちていた。

「とりあえず、動くか。」

服についた土埃を払いながら立ち上がる。

「ん?」

(こんな服、持ってた?)

答えは、否である。
そこで、思い出した。

(あー、あのお姉さんが装備がどうたら言ってたなぁ。持ち物を確認するか・・・)

まず、腰にある違和感に手を伸ばす。

「おっほ。こりゃいい。」

鍔は、模様がなくただ黒いだけで無骨だが、小さく『無冥』と彫られていた。これが、銘のようだ。
鯉口から僅かに覗かせた刃は、綺麗な波模様と鈍く輝きを見せ、鍔から刀背の途中まで、罅のような模様があり今にも割れそうな雰囲気を醸し出している。

ポケットは付いていたが、他に持ち物は無かった。

(う~ん、お決まりのこともやってみるか....)

今、俺がいるのは、そう異世界!(多分)
だから、魔法的なものが使える(といいな)!

(最初は、『ステータス』!)

ブォンという、パソコンが起動したような音ともに、透明なA4くらいの板が出てきた。


名前を決めてください
17 M 人族 (異界産)

特異技能
・結界術(全属性) 2048/2048
・弾幕(初級) 100%
・刀術

Lv.0
ATK  : 52
DEF  :65
VIT   :250
MP   :0
INT   :82
AGL  :68
LUCK:???


(う~ん、分からん。)
俺の名前が無いのに今更気がついた。
何て言うか、無いことに違和感が無さすぎワロタww
多分、Lv.0から下が俺の現在のスペックだろう。MPが0ってことは、俺、もしかして、魔法使えない?
ま、まぁ、いいとして次行こう。
問題が特異技能の項目。
刀術は、そのまま刀が使える証だろう。結界術(全属性)と弾幕(初級)が意味分からん。
横の2048/2048と100%は、残機ってことでいいのかな?

(ま、過ごしてるうちに分かるだろう。)

よく分からないステータスのことは置いておき、これからの事を考えよう。

(とりま、移動して町か、道か、人か、獲物を見つけよう。)

この人族(異世界産)の考えは、かなり適当だった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

最初のスポーン地点(落下地点とも言う)から、移動を初め、獣道を一時間弱(体感的に)進んだところで

「川すら見付からーん!!!!」

絶叫した。

(周りを見渡しても、木!木!草!木!草!草!)

ときどき、猿(みたいなの)と熊(多分)と(角が血に濡れた)鹿も出るよ。

(まだ、太陽みたいな物が、真上に有るとは言え、そろそろ、飯と寝床を見付けておきたい。)

そう、切に願った。


◇◇◇◇2時間後◇◇◇◇

(はーい、見つかりませんでした~)

/(^o^)\〈オワタ

ムシャクシャして、足元の石を適当に蹴る。

ヒュー
ガサッ
ガッ
「ヒィッン!?」

(あ、なんかに当たった。)

石が行った草むらから、鹿がぬっと出てきた。弱冠、涙目で。

(あ、当たった奴かな?)

「ヒィィィィィン‼‼‼‼‼」

鹿が鋭く尖った歯を剥き出しに、妖しく輝く角をこちらに向けて、突進してきた。

「ちょ、まて!」

刀を抜き、何とか角を受け止めるが、押される。

(鹿って草食だよな!?このしか、歯から見て、確実に肉食だぞ!?)

どうでもいいことを、考えながら、何とか角を弾き、横に避ける。
だが、鹿はそのまま進み、木に突っ込んだ。

ガツッ

「ヒィンッ!?」

そして、角が貫通した。

(あ。)

木を貫通した角を抜こうと、ジタバタするが、抜けない。
力んで、後ろに下がろうとするが抜けない。引いて駄目なら押してみろの精神なのか、前に進むが更に貫通しただけ。
自棄に成ったのか、木を抜こうとするがビクともせず。
後々知る事になるが、この木の種類は地球の竹と同じく全ての木が根で繋がっていて、抜くのはまず不可能らしい。

鹿があまりにもジタバタするのでボロボロと林檎みたいな赤い実がちょくちょく落ちてきた。

(あ、頭に一個当たった。)

鹿には、散々である。

(この実、食えるのかな?毒有る?)

人族(異世界産)の頭に、名案が浮かぶ。

(この鹿に食わせればいい!)

ゲスである。

(早速、実行しよう!)

林檎(仮)を一個とり、完全に泣いている鹿の顔の前に持っていく。

「ヒィン?」

何となく、頷いておく。

「ヒィン。」

鹿は手から林檎を食べ初めた。

(何となく、かわいい。)

もう一個、拾い与えてみる。
また、手から食べる。
食べ終わると手を嘗めてきた。
ここまで、来ると何となく愛着が沸いてきた。

「角を外したいよな?」
「ヒィン...」

人間の言葉を理解しているかの様に、頷く鹿。その異常さに気が付かないバカ。
だが、愛着が沸いた鹿の角を自由にすべく、刀を抜く。
そして、角が貫通している幹を斬り倒す。更に、貫通している所以外の邪魔な部分を切り飛ばす。
この間、0,1秒。

(よし!)

結果、木屑は着いているものの鹿の角は自由に成った。

「ヒィィィーン!」

鹿、自由の雄叫び。
そして、鹿は思った。
「今日はよく分からない物が当たって痛かったし、弱いはずの人族を殺そうとしたら、木に刺さったけど、この人族が赤い実を食べさせてくれて、角を外してくれた!
この人をご主人として着いていこう!」
と。
だが、石を当てたのはそのご主人だし、赤い実も毒味の為だった。
この鹿もアホである。

そんなアホな鹿が着いていこうと決意した頃、そのご主人は毒味させた林檎(仮)を食べていた。

(見た目林檎なのに、味がレモンって何なの?普通に瑞々しくて美味しいけど。)

手元に有る赤い実は、かなり酸っぱいが美味しいと感じる程度には甘味もあるという、不思議果物だった。

(ポケットに幾つか入れとくか。)

落ちているリンゴレモン(仮名称)をポケットに入れていく。

(あれ?全然、膨らまない?)

落ちていた二、三十個をポケットに入れたが一向にポケットが膨らまず、重さも全く感じなかった。

(あー、テンプレの異次元収納か~)

女神は、いたりつくせりであった。

(女神、マジ感謝。)


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