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本編後ストーリー
オープン当日2
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応接室に入ると、アーロとアイリス様が駆け寄ってきた。
「お姉様!!」
「ルーナ、怪我は大丈夫か!?」
「ええ、心配してくれてありがとう。私は元気よ。それより、2人が結婚したって聞いたわ。アーロ、アイリス様、おめでとう。」
お祝いすると、2人が視線を合わせて笑っている。
新婚ってこういう物だよね。私とトーマには無かった、甘い新婚生活……。今更だけど、見てると少し羨ましい。
「お姉様に祝って貰えるなんて、幸せです。これで、私達も必ず幸せになれますわ。」
必ず幸せになれる…?
それは私と何か関係あるのかしら。
「最近『侯爵夫人に祝って貰うと幸せになれる』……みたいな噂が出回ってるんだ。」
私が不思議に思っているのに気がついたのか、アーロかボソっと教えてくれた。
「何故、そんな噂が……?」
「女の噂の真相なんて、知るわけ無いだろ。」
「だよね。」
過去に誰かを幸せにした覚えはないけど、不幸になるって噂されるよりマシよね。
「アーロ、アイリス様、お茶の用意が出来たみたいだし、座って話しましょう。」
私は車椅子から下りて、ミランダに支えられてソファーに座った。
「お姉様、足の怪我は大丈夫なのですか?」
「ええ、杖があれば少しは歩けますし、不自由はありません。」
私がそう言っても、2人は辛そうな顔をしてる。重苦しい雰囲気になる前に、早く話題を変えないとね。
「公爵夫人の具合はどうですか?トーマからは落ち着いていると聞いていますが。」
「はい。最近は午前中に外を歩けるくらい回復しています。これも全部、お姉様から頂いたお花のおかげです。」
「クラリス様や側にいる方達の努力の結果ですよ。」
お花は絶対に関係ないです!
アーロが笑ってるのは『お花』を見たからだよね。私の恥ずかしい過去ばかり、皆に広まっていくのは何故なの。
とりあえず、この話題は終了よ。
「アーロ、あれから港はどう?」
「ああ、治安は良くなってる。」
「そう。北の港は衰退していたりしない?」
「問題ない。今は警備もしっかりしてるし。」
「よかった。」
南の港ばかり心配していたけど、北の港に異変があれば、漁師達は職を失ってたかもしれないしね。
「お姉様、北の港の管理も伯爵家に任される事になるんです!」
「アイリスっ!!それはまだ正式に決まってないから、言っちゃ駄目だろ!」
アイリス様が私に嬉しそうに教えてくれたけど、アーロは焦ってる。
「港の全てがアーロの領地になるなんて、凄いわね。」
「いや、運営を任されるだけで、領地になるわけじゃない。運営費は国から支払われるから、損はしないけどな。……この話はまだ決定じゃないし他言無用で頼む。」
「解ったわ」
私の強行作戦が無駄に終わらなくて良かった。
さて、港の話に上手く誘導出来たし、本題はここからよ。ミランダとレオン様の婚約破棄のために、私はしっかり情報収集しなきゃね。
「アイリス様、レオン様に結婚の話が浮上していたりしませんか?」
「レオンに?聞いた事がありません。あの男が真剣に女性を好きになるとも思えませんし。政略結婚でもするのですか?」
アイリス様でも知らないなら、他の令嬢は絶対に知らないわね。話が広まっていない今なら、破談させられる可能性はある。
「お相手はミランダなんです。」
私の言葉に、アーロとアイリス様がキョトンとしてる。
「冗談なんだろ?」
「そうなら良かったのだけど、王妃様からの許可が出てるの。」
「ミランダは護衛騎士にまで昇進したくらいだし、少し小細工をすれば不可能ではないのか。」
ミランダとレオン様の婚約を進める方法なら、アーロにも解るよね。
「私は、この婚約を破談にしたいの。」
「どうやって?」
「その方法を、貴方達に探って欲しいの。」
「さすがに無理だろ……」
「アーロ、貴方はやる前から『無理』だと言い過ぎよ。何でもやってみてから判断しなさい。」
「そうじゃなくて、王妃の許可が出てるんだろ?簡単に会える相手じゃないから理由も聞けないし、どうする事も出来ない。」
「私から見れば王妃様だけど、アイリス様との続柄は叔母でしょう。」
「だからと言って、会えるような相手じゃ」
「お手伝いします!!」
断ろうとするアーロを遮って、私の手を握ってアイリス様か答えた。
「私がお姉様のお役に立てる日がくるなんて、幸せです!!」
「ありがとうございます。」
私の周りには、男勝りな女性が多くて助かるわ。
「無茶を言ってごめんなさい。難しいのはわかっているけど、私は簡単に王妃様に会う事は出来ないから。」
「お姉様、私にお任せください。お姉様と王妃様が会えるよう、ライラと計画を立てます。」
「ライラ様の許可なく、私と約束をして大丈夫ですか?」
従姉妹でも、相手は王女だし……
「問題ありません。ライラはお姉様に相談したい事があるみたいなので。」
「私に?」
「はい、恋愛相談です。」
恋愛…。
そういえば、緑の宮にいた時も色々聞かれたわね。
私に恋愛の相談をしても何のアドバイスも出来ないとは思うけど、この機会は逃せない。ミランダの婚約破棄の為に、恋愛相談くらい何とかしてみせるわ!!
「お姉様!!」
「ルーナ、怪我は大丈夫か!?」
「ええ、心配してくれてありがとう。私は元気よ。それより、2人が結婚したって聞いたわ。アーロ、アイリス様、おめでとう。」
お祝いすると、2人が視線を合わせて笑っている。
新婚ってこういう物だよね。私とトーマには無かった、甘い新婚生活……。今更だけど、見てると少し羨ましい。
「お姉様に祝って貰えるなんて、幸せです。これで、私達も必ず幸せになれますわ。」
必ず幸せになれる…?
それは私と何か関係あるのかしら。
「最近『侯爵夫人に祝って貰うと幸せになれる』……みたいな噂が出回ってるんだ。」
私が不思議に思っているのに気がついたのか、アーロかボソっと教えてくれた。
「何故、そんな噂が……?」
「女の噂の真相なんて、知るわけ無いだろ。」
「だよね。」
過去に誰かを幸せにした覚えはないけど、不幸になるって噂されるよりマシよね。
「アーロ、アイリス様、お茶の用意が出来たみたいだし、座って話しましょう。」
私は車椅子から下りて、ミランダに支えられてソファーに座った。
「お姉様、足の怪我は大丈夫なのですか?」
「ええ、杖があれば少しは歩けますし、不自由はありません。」
私がそう言っても、2人は辛そうな顔をしてる。重苦しい雰囲気になる前に、早く話題を変えないとね。
「公爵夫人の具合はどうですか?トーマからは落ち着いていると聞いていますが。」
「はい。最近は午前中に外を歩けるくらい回復しています。これも全部、お姉様から頂いたお花のおかげです。」
「クラリス様や側にいる方達の努力の結果ですよ。」
お花は絶対に関係ないです!
アーロが笑ってるのは『お花』を見たからだよね。私の恥ずかしい過去ばかり、皆に広まっていくのは何故なの。
とりあえず、この話題は終了よ。
「アーロ、あれから港はどう?」
「ああ、治安は良くなってる。」
「そう。北の港は衰退していたりしない?」
「問題ない。今は警備もしっかりしてるし。」
「よかった。」
南の港ばかり心配していたけど、北の港に異変があれば、漁師達は職を失ってたかもしれないしね。
「お姉様、北の港の管理も伯爵家に任される事になるんです!」
「アイリスっ!!それはまだ正式に決まってないから、言っちゃ駄目だろ!」
アイリス様が私に嬉しそうに教えてくれたけど、アーロは焦ってる。
「港の全てがアーロの領地になるなんて、凄いわね。」
「いや、運営を任されるだけで、領地になるわけじゃない。運営費は国から支払われるから、損はしないけどな。……この話はまだ決定じゃないし他言無用で頼む。」
「解ったわ」
私の強行作戦が無駄に終わらなくて良かった。
さて、港の話に上手く誘導出来たし、本題はここからよ。ミランダとレオン様の婚約破棄のために、私はしっかり情報収集しなきゃね。
「アイリス様、レオン様に結婚の話が浮上していたりしませんか?」
「レオンに?聞いた事がありません。あの男が真剣に女性を好きになるとも思えませんし。政略結婚でもするのですか?」
アイリス様でも知らないなら、他の令嬢は絶対に知らないわね。話が広まっていない今なら、破談させられる可能性はある。
「お相手はミランダなんです。」
私の言葉に、アーロとアイリス様がキョトンとしてる。
「冗談なんだろ?」
「そうなら良かったのだけど、王妃様からの許可が出てるの。」
「ミランダは護衛騎士にまで昇進したくらいだし、少し小細工をすれば不可能ではないのか。」
ミランダとレオン様の婚約を進める方法なら、アーロにも解るよね。
「私は、この婚約を破談にしたいの。」
「どうやって?」
「その方法を、貴方達に探って欲しいの。」
「さすがに無理だろ……」
「アーロ、貴方はやる前から『無理』だと言い過ぎよ。何でもやってみてから判断しなさい。」
「そうじゃなくて、王妃の許可が出てるんだろ?簡単に会える相手じゃないから理由も聞けないし、どうする事も出来ない。」
「私から見れば王妃様だけど、アイリス様との続柄は叔母でしょう。」
「だからと言って、会えるような相手じゃ」
「お手伝いします!!」
断ろうとするアーロを遮って、私の手を握ってアイリス様か答えた。
「私がお姉様のお役に立てる日がくるなんて、幸せです!!」
「ありがとうございます。」
私の周りには、男勝りな女性が多くて助かるわ。
「無茶を言ってごめんなさい。難しいのはわかっているけど、私は簡単に王妃様に会う事は出来ないから。」
「お姉様、私にお任せください。お姉様と王妃様が会えるよう、ライラと計画を立てます。」
「ライラ様の許可なく、私と約束をして大丈夫ですか?」
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「問題ありません。ライラはお姉様に相談したい事があるみたいなので。」
「私に?」
「はい、恋愛相談です。」
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