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本編後ストーリー
本音
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次の日、朝からミザリー様の元へ向かっている。
「ねぇ、ミランダ。ミザリー様がいなかったらどうするの?」
確認していないし、その可能性だってあるよね。
「必ずいるわよ。」
「何故言い切れるの?」
「私の思考回路を読めない伯爵夫人じゃないからよ。昨日レオンが来た事を知っていれば『ミランダが押し掛けてくる』って予想してるはずよ。お菓子を用意して待ってると思うわ。」
それを予想出来るミランダも、私から見れば凄いと思う。
護衛長の邸へ到着すると、表門の前にレオン様が立っていた。
「……やっぱりいた」
ミランダの顔が怖い!!
レオン様がいる事も予想してたんだ。
私のせいで逃げられない状況を作ってしまうなんて。
「お早うございます。お待ちしておりました。」
「レオン、伯爵夫人はいる?」
「もちろん。『ルーナちゃんのドレスを作れる日が来た』って、歓喜してるよ。」
「それは良かった。すぐに、取り次いでくれる。」
「その前に条件を1つ」
「何?」
「ルーナちゃんが採寸している間、俺とミランダは別室で待機」
「お待ち下さい、レオン様。」
これ以上、レオン様の思い通りに話を進めちゃ駄目よ。
「外出中、ミランダが私から離れる事を、トーマは許可してません。それは伯爵邸も例外ではありません。」
「ルーナちゃんが侯爵の言う事を守るなんて、珍しいですね。」
「皆に迷惑をかけたくないだけよ。」
「解りました。では、夫人も同席願います。」
「採寸したら、即帰るわ。」
「それは残念です。」
全然残念な顔をしてないのは、何か企んでるからよね。
悔しいけど、私はまだレオン様に1度も勝ててない。上手く利用されてばかりよ。この人に弱点はないの?
「では、母のもとへ案内します。どうぞ。」
笑顔で私達を案内してくれるレオン様。
性格を知らない女性なら、一目で恋に落ちるくらい完璧なのよね。でも、本当の姿を一生隠して生きていけるはずがない。
うーん、ヘンリーが心配するのも少し解る気がする。ほんの少しね。
「ルーナちゃん、ミランダ、遅かったわね。待っていたのよ!とりあえずお茶にしましょう。」
「いえ、まずドレスを……」
「侯爵がいない時にルーナちゃんを一人占め出来るなんて、嬉しいわ。」
全く聞いてもらえない。
この邸では、私のペースが完璧に崩される。
レオン様とミザリー様の勢いに負けてしまえば、ミランダの自由は取り返せないわ。
まず、今日ここで私がやる事は、完璧なドレスを作って貰う事とレオン様の本音を聞き出す事よ。
「ルーナちゃん」
「はい」
「侯爵と別れる気になったら、いつでもうちにいらっしゃい。」
「別れるつもりはありませんので。」
「あら、それは残念。」
レオン様はミランダにプロポーズしてるのだから、私が別れても結婚の話にならないよね。それとも、私が独り身だったら、結婚させようとしてたの?
……という事は、レオン様はミランダを好きな訳じゃない?
「伯爵に断られなければ、フレッドと一緒になって欲しかったのだけど、残念だわ。」
護衛長はレオン様を希望してて、ミザリー様はフレッド君を……。夫婦で意見が割れてる。
「レオン様の婚約者にしたかったと、護衛長はそう仰ってましたが…」
「もしそうなら、我が家で戦争が勃発してたわね。」
可愛い笑顔で言う事が怖いです!
今は話を変えよう。レオン様は壁際にいて話に入って来る事はないから、気持ちも聞けないしね。
「ミザリー様、パーティーで着るドレスを作って欲しいのですが、構いませんか?」
「もちろんよ。希望の色はある?『緑のドレスを着ると早死にする』と言われてるから、侯爵の瞳の色に合わせる事は出来ないけど。」
「そうなんですか?」
「ええ」
そんな噂のある物を着てしまったら、トーマを心配させてしまうよね。
「解りました。色もデザインも全てお任せします。私が最強になれるドレスを作ってください!」
「腕が鳴るわ。けど、どこに何を仕込んでいるかは極秘よ。」
「はい」
一体どんなドレスが出来上がるんだろう。結構楽しみなのよね。
お茶を終えてドレスの採寸を始めたけど、これは普通じゃないわ。
私の掌の大きさや厚み、手の指と足首の周囲、他にも色々、最終的に車椅子に座った時の足の角度まで測ってる。
何処にどれだけ武器を仕込もうと考えていたら、こんな事になるのかしら…。
側で見ているミランダも唖然としてるし、予想以上って事だよね。
「ルーナちゃん、体を動かすのに何か不都合な事はない?」
「はい」
「太ももに傷があるのね。」
「もう、それほど痛くはありません。」
「……目は?左はあまり見えていないでしょう。」
「そんな事はありません。」
視力が落ちた事は誰にも言ってないのに、何故わかるの。
「ほんの少し、左目を細める時があるのは、すぐに焦点が合わない時があるからでしょう?侯爵邸には知り合いしかいないし、慣れてるからそんな事はしてない。けど、他人の邸だとどこに何があるか解らないから、おそらく無意識ね。」
「……」
「正直に言いなさい。ミランダがルーナちゃんに武器の扱いを教えるのでしょう?左からの攻撃に対処できないなら、教え方は変わるのよ。」
「……両目だとボヤけて見える事があります。左目だけだと、50㎝くらいの距離に来てくれなければ、相手の顔もハッキリ見えません。」
「ねぇ、ミランダ。ミザリー様がいなかったらどうするの?」
確認していないし、その可能性だってあるよね。
「必ずいるわよ。」
「何故言い切れるの?」
「私の思考回路を読めない伯爵夫人じゃないからよ。昨日レオンが来た事を知っていれば『ミランダが押し掛けてくる』って予想してるはずよ。お菓子を用意して待ってると思うわ。」
それを予想出来るミランダも、私から見れば凄いと思う。
護衛長の邸へ到着すると、表門の前にレオン様が立っていた。
「……やっぱりいた」
ミランダの顔が怖い!!
レオン様がいる事も予想してたんだ。
私のせいで逃げられない状況を作ってしまうなんて。
「お早うございます。お待ちしておりました。」
「レオン、伯爵夫人はいる?」
「もちろん。『ルーナちゃんのドレスを作れる日が来た』って、歓喜してるよ。」
「それは良かった。すぐに、取り次いでくれる。」
「その前に条件を1つ」
「何?」
「ルーナちゃんが採寸している間、俺とミランダは別室で待機」
「お待ち下さい、レオン様。」
これ以上、レオン様の思い通りに話を進めちゃ駄目よ。
「外出中、ミランダが私から離れる事を、トーマは許可してません。それは伯爵邸も例外ではありません。」
「ルーナちゃんが侯爵の言う事を守るなんて、珍しいですね。」
「皆に迷惑をかけたくないだけよ。」
「解りました。では、夫人も同席願います。」
「採寸したら、即帰るわ。」
「それは残念です。」
全然残念な顔をしてないのは、何か企んでるからよね。
悔しいけど、私はまだレオン様に1度も勝ててない。上手く利用されてばかりよ。この人に弱点はないの?
「では、母のもとへ案内します。どうぞ。」
笑顔で私達を案内してくれるレオン様。
性格を知らない女性なら、一目で恋に落ちるくらい完璧なのよね。でも、本当の姿を一生隠して生きていけるはずがない。
うーん、ヘンリーが心配するのも少し解る気がする。ほんの少しね。
「ルーナちゃん、ミランダ、遅かったわね。待っていたのよ!とりあえずお茶にしましょう。」
「いえ、まずドレスを……」
「侯爵がいない時にルーナちゃんを一人占め出来るなんて、嬉しいわ。」
全く聞いてもらえない。
この邸では、私のペースが完璧に崩される。
レオン様とミザリー様の勢いに負けてしまえば、ミランダの自由は取り返せないわ。
まず、今日ここで私がやる事は、完璧なドレスを作って貰う事とレオン様の本音を聞き出す事よ。
「ルーナちゃん」
「はい」
「侯爵と別れる気になったら、いつでもうちにいらっしゃい。」
「別れるつもりはありませんので。」
「あら、それは残念。」
レオン様はミランダにプロポーズしてるのだから、私が別れても結婚の話にならないよね。それとも、私が独り身だったら、結婚させようとしてたの?
……という事は、レオン様はミランダを好きな訳じゃない?
「伯爵に断られなければ、フレッドと一緒になって欲しかったのだけど、残念だわ。」
護衛長はレオン様を希望してて、ミザリー様はフレッド君を……。夫婦で意見が割れてる。
「レオン様の婚約者にしたかったと、護衛長はそう仰ってましたが…」
「もしそうなら、我が家で戦争が勃発してたわね。」
可愛い笑顔で言う事が怖いです!
今は話を変えよう。レオン様は壁際にいて話に入って来る事はないから、気持ちも聞けないしね。
「ミザリー様、パーティーで着るドレスを作って欲しいのですが、構いませんか?」
「もちろんよ。希望の色はある?『緑のドレスを着ると早死にする』と言われてるから、侯爵の瞳の色に合わせる事は出来ないけど。」
「そうなんですか?」
「ええ」
そんな噂のある物を着てしまったら、トーマを心配させてしまうよね。
「解りました。色もデザインも全てお任せします。私が最強になれるドレスを作ってください!」
「腕が鳴るわ。けど、どこに何を仕込んでいるかは極秘よ。」
「はい」
一体どんなドレスが出来上がるんだろう。結構楽しみなのよね。
お茶を終えてドレスの採寸を始めたけど、これは普通じゃないわ。
私の掌の大きさや厚み、手の指と足首の周囲、他にも色々、最終的に車椅子に座った時の足の角度まで測ってる。
何処にどれだけ武器を仕込もうと考えていたら、こんな事になるのかしら…。
側で見ているミランダも唖然としてるし、予想以上って事だよね。
「ルーナちゃん、体を動かすのに何か不都合な事はない?」
「はい」
「太ももに傷があるのね。」
「もう、それほど痛くはありません。」
「……目は?左はあまり見えていないでしょう。」
「そんな事はありません。」
視力が落ちた事は誰にも言ってないのに、何故わかるの。
「ほんの少し、左目を細める時があるのは、すぐに焦点が合わない時があるからでしょう?侯爵邸には知り合いしかいないし、慣れてるからそんな事はしてない。けど、他人の邸だとどこに何があるか解らないから、おそらく無意識ね。」
「……」
「正直に言いなさい。ミランダがルーナちゃんに武器の扱いを教えるのでしょう?左からの攻撃に対処できないなら、教え方は変わるのよ。」
「……両目だとボヤけて見える事があります。左目だけだと、50㎝くらいの距離に来てくれなければ、相手の顔もハッキリ見えません。」
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おもしろそう…で一気に読み、ページが進まず⁉️完結しか読まない私が、まさかの連載に手を出したのか( 。゚Д゚。)って悲しくなりました。単なる私のわがままです😣
それだけ引き込まれておもしろかったです。もちろん先の話も気になります。更新お待ちしております(/_;)/~~
本編終了後、一度完結設定にしたのですが、本編後ストーリーを新作で出すのも変かな…と悩んだ末、連載に戻しました💦
引き続きよろしくお願いします。
すごく楽しかったです。続きが気になってしかたなかったよー。😽どんどんよみました。成長したエミリーきになる。あの夫婦のその後もきになる。続きお願いします。
ありがとうございます。
完結後のお話を少しずつ書いてますので、明日から公開していきます。
ひきつづき、よろしくお願いします。
本当に好きで、続きが待ち遠しくて、やっと続きがと思ったら終わってしまって、ちょっと悲しい。登場人物のキャラが立っていて、各々のエピソード等、もっと読みたかった。ラッセン夫妻のその後やエミリーが、どうなったかも、もっと知りたい。幼少期の武勇伝とかも読みたい。(笑) 最初から読みなおそうと思います。面白かったです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。長い間待ってくださっていたなんて、嬉しいです✨
今、本編後を書いてますので、少しずつ公開していきます。
王都を旅行した時の小話など、それも公開予定です。
一度完結設定しているので、本編後で新しい作品にするかもしれませんが、水曜日からスタートします。
よろしくおねがいします(*´ω`*)