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崖の上の古城2
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この状況、既視感がある。
王都でルーベンと会った時に似てるわ…
これは、嫌な予感しかしない。
「ルーナ、彼が誰だか解らないか?」
「ええ…」
「俺の友人で、ルーナに殴られた被害者だ。」
やっぱり!!
「ダズ・マンチェスター様…?」
「ようやく思い出したか。」
なんて事なの…。出席者名簿にも目を通しておくべきだったわ!
「ごめんなさい。私、貴方に酷い事を…」
「いや、子供の頃の話だし気にしなくていいけど。」
「ありがとう。」
あっさり許してくれたし、良い人かもしれないわ。
「しかし、トーマとルーナが結婚するとは…」
「意外か?」
「そりゃな。トーマは『頭が良くて物静かな女が好みだ』って言ってたし。」
そう言って、ダズがトーマを見てから私を見た。
「はぁ…、理想と現実の差って凄いな……」
前言撤回!何て失礼な男なの!!
「トーマの理想を壊してしまうくらい魅力的だったのよ、私は。」
「魅力ねぇ…」
「……」
くだらない事を言ってしまったわ。
私が男だったら、我が儘で強欲で暴力的な女を選ばないもの。
「トーマ、笑ってないで何か言いなさいよ。妻が虐められてるのに。」
また私の失態を見せる事になったけど、笑う余裕があるってわかって少し安心したわ。
「ダズ、ルーナをあまり虐めないでくれ。」
「虐めてない、むしろ尊敬してる。」
「尊敬?強いからか?」
「いや、そうじゃない。ここじゃゆっくり話も出来ないし、今度会った時に教えてやる。ルーナの面白い話もな。じゃあな、二人とも。」
「ああ。」
「また…今度。」
ついに『面白い話』まで登場するなんて…。
私の過去だけトーマに沢山知られてるのは不公平だよね。
「ダズを今度招待しましょう。トーマの情けない話を沢山知ってそうだもの。」
「何故情けない話を聞こうとするんだ…。」
「トーマの格好いい話なんて聞いても、楽しくもなんともないじゃない。そんなの、今の貴方と変わりないんだから。違う一面を知りたいのよ。」
今日1つ解った事は、トーマの好みが私と真逆という事ね。
私達は仕方なく結婚しただけだし、好みに当てはまるはずない。そんな事はわかっているけど、何だかモヤモヤするわ。
「ん?何をキョトンとしているの?」
「いや、少しは望みがあるかなと思っただけだ。」
「どんな望み?」
トーマは笑うだけで、答えてくれなかった。
パーティーは何事もなく進んで行くし、辺境伯は私達を襲う事は不可能…、そう思った時、フレッド君が息を切らして走ってきた。
王都でルーベンと会った時に似てるわ…
これは、嫌な予感しかしない。
「ルーナ、彼が誰だか解らないか?」
「ええ…」
「俺の友人で、ルーナに殴られた被害者だ。」
やっぱり!!
「ダズ・マンチェスター様…?」
「ようやく思い出したか。」
なんて事なの…。出席者名簿にも目を通しておくべきだったわ!
「ごめんなさい。私、貴方に酷い事を…」
「いや、子供の頃の話だし気にしなくていいけど。」
「ありがとう。」
あっさり許してくれたし、良い人かもしれないわ。
「しかし、トーマとルーナが結婚するとは…」
「意外か?」
「そりゃな。トーマは『頭が良くて物静かな女が好みだ』って言ってたし。」
そう言って、ダズがトーマを見てから私を見た。
「はぁ…、理想と現実の差って凄いな……」
前言撤回!何て失礼な男なの!!
「トーマの理想を壊してしまうくらい魅力的だったのよ、私は。」
「魅力ねぇ…」
「……」
くだらない事を言ってしまったわ。
私が男だったら、我が儘で強欲で暴力的な女を選ばないもの。
「トーマ、笑ってないで何か言いなさいよ。妻が虐められてるのに。」
また私の失態を見せる事になったけど、笑う余裕があるってわかって少し安心したわ。
「ダズ、ルーナをあまり虐めないでくれ。」
「虐めてない、むしろ尊敬してる。」
「尊敬?強いからか?」
「いや、そうじゃない。ここじゃゆっくり話も出来ないし、今度会った時に教えてやる。ルーナの面白い話もな。じゃあな、二人とも。」
「ああ。」
「また…今度。」
ついに『面白い話』まで登場するなんて…。
私の過去だけトーマに沢山知られてるのは不公平だよね。
「ダズを今度招待しましょう。トーマの情けない話を沢山知ってそうだもの。」
「何故情けない話を聞こうとするんだ…。」
「トーマの格好いい話なんて聞いても、楽しくもなんともないじゃない。そんなの、今の貴方と変わりないんだから。違う一面を知りたいのよ。」
今日1つ解った事は、トーマの好みが私と真逆という事ね。
私達は仕方なく結婚しただけだし、好みに当てはまるはずない。そんな事はわかっているけど、何だかモヤモヤするわ。
「ん?何をキョトンとしているの?」
「いや、少しは望みがあるかなと思っただけだ。」
「どんな望み?」
トーマは笑うだけで、答えてくれなかった。
パーティーは何事もなく進んで行くし、辺境伯は私達を襲う事は不可能…、そう思った時、フレッド君が息を切らして走ってきた。
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