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パーティー前夜

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ランスロット様のパーティー前夜。
トーマとミランダとマイセンの空気がピリピリしている。

「パーティーには騎士も兵士も沢山来るんだから、心配しなくても大丈夫よ。」
「俺達はルーナの心配をしているんだ。」
「私も護って貰えるのに?」
「侯爵が言いたいのは、『ルーナは勝手な行動をしそうだから心配だ』よ。」

ミランダが言うと、トーマとマイセン、部屋で護衛をしているフレッド君まで頷いた。

私、全然信用されてないわね。今までの行動を考えると当然だけど。

「危険な事をしないと約束してくれ。」
「しないわよ。トーマは心配性ね。」
「俺だけじゃなく、皆心配してる。」
「そうだけど、特にって事。忙しい時に港まで来て私を怒るんだもの。」
「案の定、無茶してただろう。」

その通りだから言い返せないわ。

皆、私に何もするなと言うけれど、何もしなくていい状況では済まないと思うのよね。

兵や護衛達が力不足だと思ってる訳じゃない。けど、辺境伯は国境を守っていたくらいだもの、戦いにはなれてるわ。どうにか隙をつく方法を考えてるはずよ。

「明日、私達の行動って制限されてるのでしょう?そういう予定みたいなの、私は何も聞いてないけどいいの?」
「ルーナは常に俺の隣にいればいい。」

トーマは教えてもらってるって事よね。ううん、きっと私だけが知らないんだわ。

「私が覚えられないと思ってるから教えないのね。」
「覚える自信があるなら教えるが。」
「『一生覚えていろ』って言われたら無理だけど、明日のパーティーの間くらいは覚えられるわよ。」
「わかった。」

トーマが答えると、マイセンが机の引き出しから分厚い封筒を持ってきて、私の前に置いた。

「それが明日の俺の予定だ。」

10㎝くらいあるんだけど…分厚すぎない?パーティーって、数時間だよね。
覚える自信がないわ。分刻みで書いてありそうだもの。

「トーマから離れなければいいのよね。」

目を通さず、そっとトーマへ封筒を返すと、部屋にいる4人にクスクス笑われた。

『覚えられない』って言ってるようなものだし、笑われても仕方ないよね…。

「まぁ、出来ればこれだけは覚えておいてくれ。」

封筒から取り出されたのは、どこかの邸の見取り図と間取り図。

「パーティー会場だ。覚えていれば、何かの役に立つだろう。」
「ええ。」

そうだ、会場はランスロット様の邸じゃないんだった。
渡された図は、想像以上にややこしい。けど、これくらい覚えられないと思われるのは癪だから、余裕なふりをしておくわ。

「覚えられるか?」
「勿論よ。」

出入口くらいならね…。
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