180 / 295
アーロ2
しおりを挟む
「ルーナ、風邪がうつったら困るし、手短に今日の報告をしてくれ。」
報告するほど何もしてないのよね…。
「ルーナ?」
「トーマが体調不良だと言ったら、『回復してから話そう』…って、そう言ってたわ。」
護衛長に仕事を擦り付けようとした…なんて、知られては駄目よ。絶対に怒られるもの。
「それ以外には?」
「王様は、私では力不足だと判断したのよ。だから、それ以上は何もないわ。」
「そうか。」
「ええ。じゃあ、風邪がうつらないように、そろそろ部屋を出るわ。トーマはゆっくり寝てなさい。」
トーマがまだ何か言いたそうな顔をしていたけど、これ以上突っ込まれると困るので私は急いで部屋を出た。
今日は怒られなかったけど、今度トーマが護衛長に会った時に必ず伝わるよね…。
口止めに手紙を書いておこう。
部屋に戻る途中、マイセンさんが手紙を持ってきてくれた。
「奥様、アーロ様から御手紙です。」
「…もう返事が届いたの?」
『侯爵邸に招待したい』と書いた手紙を昨日出したところなのに、もう返事がくるなんて驚いたわ。
「今ここで読むから、少し待っててくれるかしら。」
「はい。」
すぐに会えるなら、このままマイセンさんに伝えるのが手っ取り早いしね。
手紙には『3日なら会える』と書いてあった。
3日…って事は明後日よね。
「マイセンさん、今すぐ返事を書くから、届けてくれる?それから、明後日アーロを招待する準備もね。」
「畏まりました。」
「ありがとう。」
「奥様、前々から申し上げようと思っていたのですが、私の事は『マイセン』とお呼びください。敬称は必要は御座いません。」
「そうね、気を付けるわ。」
たしかに、『さん』を付けるのはおかしいよね。
一応、私は侯爵夫人だし、疑わしく思われる行動はしないよう気を付けないと。
・・・・
今日はアーロが来る日。
トーマは熱が完全に下がったので登城してしまった。
もう少し休めばいいのに、侯爵って大変なのね。
お昼を過ぎて13時頃、アーロが侯爵邸に到着した。
馬車から出てきたのは男が2人。アーロとルーベンだった。
「何故貴方がいるの、ルーベン…。」
「1度侯爵邸に入ってみたかったからだ。」
なんてくだらない理由なの…。
「貴方ね、招待されてないのに付いてくるなんて、恥ずかしくないの?」
「全然。」
…ルーベンのお父様も影響力のある人だから、軽々しく『出ていけ』と言えないわ。
前向きに考えれよう。これは最大のチャンスよ。プライドだけ高くて、柔軟性のない貴族なんかより、味方になってくれる可能性があるもの。ホイットマン家は飛ぶ鳥も落とす勢いで成長してるけど、それを持続するにはそれなりに貴族との繋がりも必要になってくるわ。その相手がラッセン家なら文句は無いはずよ。
だからこそ、後継ぎであるルーベンはここに来たかったのかも知れないしね。
「解ったわ。2人とも歓迎するわ。」
この2人、絶対に味方にしてみせるわ。
子供達を死罪にしないためにね。
報告するほど何もしてないのよね…。
「ルーナ?」
「トーマが体調不良だと言ったら、『回復してから話そう』…って、そう言ってたわ。」
護衛長に仕事を擦り付けようとした…なんて、知られては駄目よ。絶対に怒られるもの。
「それ以外には?」
「王様は、私では力不足だと判断したのよ。だから、それ以上は何もないわ。」
「そうか。」
「ええ。じゃあ、風邪がうつらないように、そろそろ部屋を出るわ。トーマはゆっくり寝てなさい。」
トーマがまだ何か言いたそうな顔をしていたけど、これ以上突っ込まれると困るので私は急いで部屋を出た。
今日は怒られなかったけど、今度トーマが護衛長に会った時に必ず伝わるよね…。
口止めに手紙を書いておこう。
部屋に戻る途中、マイセンさんが手紙を持ってきてくれた。
「奥様、アーロ様から御手紙です。」
「…もう返事が届いたの?」
『侯爵邸に招待したい』と書いた手紙を昨日出したところなのに、もう返事がくるなんて驚いたわ。
「今ここで読むから、少し待っててくれるかしら。」
「はい。」
すぐに会えるなら、このままマイセンさんに伝えるのが手っ取り早いしね。
手紙には『3日なら会える』と書いてあった。
3日…って事は明後日よね。
「マイセンさん、今すぐ返事を書くから、届けてくれる?それから、明後日アーロを招待する準備もね。」
「畏まりました。」
「ありがとう。」
「奥様、前々から申し上げようと思っていたのですが、私の事は『マイセン』とお呼びください。敬称は必要は御座いません。」
「そうね、気を付けるわ。」
たしかに、『さん』を付けるのはおかしいよね。
一応、私は侯爵夫人だし、疑わしく思われる行動はしないよう気を付けないと。
・・・・
今日はアーロが来る日。
トーマは熱が完全に下がったので登城してしまった。
もう少し休めばいいのに、侯爵って大変なのね。
お昼を過ぎて13時頃、アーロが侯爵邸に到着した。
馬車から出てきたのは男が2人。アーロとルーベンだった。
「何故貴方がいるの、ルーベン…。」
「1度侯爵邸に入ってみたかったからだ。」
なんてくだらない理由なの…。
「貴方ね、招待されてないのに付いてくるなんて、恥ずかしくないの?」
「全然。」
…ルーベンのお父様も影響力のある人だから、軽々しく『出ていけ』と言えないわ。
前向きに考えれよう。これは最大のチャンスよ。プライドだけ高くて、柔軟性のない貴族なんかより、味方になってくれる可能性があるもの。ホイットマン家は飛ぶ鳥も落とす勢いで成長してるけど、それを持続するにはそれなりに貴族との繋がりも必要になってくるわ。その相手がラッセン家なら文句は無いはずよ。
だからこそ、後継ぎであるルーベンはここに来たかったのかも知れないしね。
「解ったわ。2人とも歓迎するわ。」
この2人、絶対に味方にしてみせるわ。
子供達を死罪にしないためにね。
応援ありがとうございます!
14
お気に入りに追加
1,778
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる