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父親似3

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人がいるところで叫ばれても困るので、私の部屋にエリーゼを案内してもらった。

「俺も一緒に話を聞く。」
「…ううん。今回は2人にしてほしいの。」

この件にトーマが入ってくると面倒だもの。


部屋に入ると、途端に罵声を浴びせられた。

「この卑怯者っ!よくも嘘をついたわねっ!貴女みたいな酷い女、死ねばいいのよっ!!」

思った通りの反応ね。

「エリーゼ様、一体何に腹を立てているのかしら?」
「何ですって…、貴女が手紙で私を呼び出したんじゃない。」

やっぱり、護衛長は何かするつもりだったのね。

「私は呼び出してないわ。」
「じゃあこれは何なのよっ!」

エリーゼに丸められた紙を投げつけられた。
それを拾って広げてみると、待ち合わせ場所と時刻と私の名が書いてあった。

「これだけで私だと判断したの?」
「名前が書いてあるし、実際にあの場にいたじゃないっ!!」

…この人、自分の事ばかり考えてて何も解ってないわね。

「私が貴女を呼び出して何の得があるの?」
「え?」
「得をするのは貴女だけよね。『辺境伯と結婚したくない』って言ってたもの。」
「そうよ、あんな変態と結婚したくないわ!」

変態、みんな知ってるのね。一体なんなのかしら。

「私は貴女が誰と結婚しようと構わないわ。」
「酷いっ!」

それはこちらの台詞よ。

「ねぇ、貴女の今の行動はエミリーにとって最善の策なの?」
「エミリー?そんなの、今関係ないじゃない。」

そんなの…って何?
関係ない…って、嘘でしょ。何を考えていたらそんな事が言えるのかしら。

「貴方達が何を私に隠しているのかは知らないけど、エミリーの事が辺境伯に知られたらどうしよう…って、そんな風に考えないの?事を荒立てずに耐えようとは思わないの?」
「相手があの男じゃなきゃ我慢するわよっ!貴女はいいわよね、相手がトーマなんだから。」

貴方達が勝手に私を選んだのに、何故私が憎まれるのかしら。

「貴女にとって大事なものは何なの?私がトーマと結婚しても、婚約の話が無くならないのは解っていた事でしょう。」
「…結婚…したくないの…!嫌なものは嫌なのっ!」

そう言ってエリーゼは泣き出してしまった。

…この子、もう末期だわ。

「辺境伯が捕まれば全て上手くいくと思ってるなら大間違いよ。捕まえる事をしたくない人もいるから、私は陛下達に呼び出されたの。」
「…意味が…解らないわ」

「結論から言えば、私には何も…」

ちょっと待って、これはいい機会だわ。この女は直情的だもの、何かあればすぐボロを出しそう。もう爆発してるけど、まだ大爆発はしていない。この爆弾をどこに向けて放り投げるか。
あの使用人と対面させてみたら、面白い事になるかもしれない。上手くいけば使用人がどこの誰だか解るし、怒りの矛先を少しはラッセンからそらせる。

「エリーゼ様、このお話は明後日ラッセンの本邸で続けましょう。解決策が見つかるかもしれませんよ。」

これはとても楽しみだわ。
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