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思い通り3

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「ふふ、ルーナは昔から強情だね。」
「……」

今のところ、皆からの私の評価。

小枝、我が儘、強欲、強情、暴力的、騙されやすい、記憶力が良くない…。
そして、見かけは綺麗な!!

…私にはあまり良いところがないのかしら。

「ルーナは怖いから、怒られる前に率直に言おうか。」
「…お願いします。」

護衛長にいつもの笑顔がなくなった。

「ルーナ、下手に動けば殺されるよ。これは子供の喧嘩じゃないからね。」
「…っ」
「何かするのは勝手だけど、誰かに助けてもらえるなんて思わない事。」
「……」

『かもしれない』じゃなく『殺される』って言い切られるなんて。

「……私は、生きるために行動するだけです。」

自分で調べないと、誰も何も教えてはくれないもの。

「そう、ルーナらしいよ。さぁ、侯爵とミランダを探しに行こうか。」
「はい。」

もう笑顔に戻ってる。
どちらが本当の顔なのかしら。…ううん、どちらも本当ね。
ただ、人の命が失くなる瞬間を多く見すぎているから、『殺す』とか『殺される』とか誤魔化さずに言えるんだわ。

さっきの部屋の前に戻ると、トーマが凄い勢いで駆け寄ってきた。

「ルーナっ!!どこへ言っていたんだっ!!」
「それはこっちの台詞よ。」
「俺は公爵に呼ばれて…。護衛長、お忙しい中ありがとうございます。」
「いや、夫婦仲良くね。では、私は行くよ。」

護衛長は私の事をトーマに報告するわけでもなく、さっさと行ってしまった。

「頼むから、心配させないでくれ。」

トーマがぎゅっと私を抱き締めてきた。

「っここに人はいないから、上書きは必要ないわよ。」
「…そうだな。」
「そうよ。」

何だか調子が狂うんだよね。最近のトーマの行動。ラッセン家のせいで私が殺されたりしたら後ろめたいだろうし、仕方がないけど。

「ねぇ、2人きりで話があるの。ちょっと来てっ!」

さっき着替えをしようとしていた部屋に、私はトーマを押し込めた。

「トーマを呼び出した公爵…って、おでこに3本皺のあるオジサン?」
「違う。」
「そう、だったら本人に聞きに行くわ。」
「…待て…そのオジサンだ。」

やっぱり。

「あの人、私を利用して辺境伯との関係をわざと悪化させようとしてると思う。」
「何故そう思うんだ?」
「…トーマのご両親の事を考えるとね。」
「……」

これは言わない方が良かったかな。

「ねぇ、トーマは私の事を心配してくれてるの?」
「当然だろ。」
「しなくていいわよ。長い付き合いにはならないもの。貴方に巻き込まれているけど、私が実家から逃げ出せたのは貴方がいたからよ。お互い利用しあったって事でいいじゃない。」
「……」

トーマとエリーゼが私を騙して結婚した事が始まりだけど、三本皺のタヌキ公爵に付け入る隙を与えてしまったのは私だもの。
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