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お願い3

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「…ぅえ…くる…し……」

昼食後、私はドレスの試着をしている。
昼食にしてほしかったわ…。コルセットをしめすぎると全部出るわよ。

忘れてたけど、6日後にパーティーなんだよね。

はぁ…。憂鬱でしかないわ。
きっとエリーゼも来るよね。たぶん辺境伯と一緒に。
顔を会わせないようにしないと…。

コンコン

「はい。」
「トーマだ、入ってもいいか?」
「ええ、どうぞ。」

私の返事にあわせて、メイドが内側からドアを開けた。

「……」

何故かトーマが中に入って来ない。

「どうしたの?入っても大丈夫よ。着替えは終わってるから。」

私が声をかけるとやっと入ってきた。

「何かあった?」
「別に何でもない。ただ、意外と綺麗だと思って。」

『意外と』…って、それは心の中にとどめておきなさいよ。

「試着中に悪いが、ルーナと2人になりたい。」
「畏まりました。」

トーマが言うとメイドが頭を下げて出ていった。

「食堂の件、条件を考えた。」
「出来ない事もあるわよ。」
「簡単な事だ。パーティーの日はこれをつけて欲しい。」


トーマが渡してきたのは、ブルーのケース。綺麗な細工がしてあるし、とんでもないものが入ってそうな予感がする。

「何が入ってるの?」
「見ればわかる。」

おそるとそる箱を開けると、そこには大きなエメラルドのついたイヤリングとネックレスが入っていた。
想像以上にとんでもないものだった!!
いくらするのか、考えただけで卒倒しそう。

「これはラッセン侯爵家に代々伝わる物で、国王主催の舞踏会に当主の妻が必ずつける物だ。」
「……」

それは、家宝って事だよね…。

「そんな大それた物を私がつけるなんて、絶対に駄目だわ。」

離縁前提の私がつけてしまっては、価値がさがると思う!

「ラッセン家の仕来たりみたいなものだ。つけていかなければあやしまれる。」
「そうかもしれないけど…」
「ほら、ネックレスをつけるから後ろを向いて。」

『自分でつけられる』と言いたかったけど、壊したりしたら怖いので止めておいた。

「私には重すぎるわ。」
「そんなに柔じゃないだろ。」
「そういう意味じゃないわよ。つけ忘れたって事にしましょう。」

来年、貴方の横に立つのは私じゃないもの。

「陛下に質問されたとき気圧されそうになったら、これを身に付けてる事を思い出すといい。」
「え…?」
「これは初代ラッセン侯爵が当時の王から贈られた石だ。陛下だって敵わない。」

もしかして、心配してくれてるのかしら。

「ありがとう。貴方、時々いい人ね。」
「……」
「どうしたの?変な顔して。」
「いや、別に。」

俺がいい人だと思える時があったのか…と、トーマは驚いたのだった。


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