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「ふぎゃあふぎゃあ…」
小さく、まるで猫のような泣き声を聞く度に私は焦る。
「ミランダ!どうしよう!!何故泣いているのっ!?」
「お腹すいてるんじゃない?」
「じゃあ、アナを呼んでくるわっ!!」
「奥様、落ち着いてください。ただ眠いだけです。」
「…そうなのっ!?」
首のすわってない赤ちゃんを抱くのも怖くて出来ない私は今のところ役立たず!
ミランダは甥っ子3兄弟で結構馴れてるのよね。
「子育て要員として頑張るけど緊張し過ぎて……」
「から回りしすぎ。」
ミランダ、厳しい!!
「奥様、焦らなくて大丈夫ですから…。」
私が1人でわちゃわちゃしてるのをみてカルラさんが言った。
「…子育て要員失格よ。」
「初めは皆オロオロするものです。」
そうだよね。命を授かって産む。これは人生で沢山経験出来る訳ではないもの。だから教えて貰わないと進まないわ。
そう思うけど、教わっても教わっても抱っこするのが怖いのでした。
「はぁ…やっと寝てくれた。」
今は夜8時。疲れる…。
「またすぐに起きるわよ。」
「覚悟してます…。」
子育ての給金っていくら貰えるのかしら。
そもそもメイドっていくらくらいの給金なの?
相場なんて聞かずに吹っ掛けてやるわ!!
「ところでさ、トーマ・ラッセンはいつやって来るの。」
ここで2週間がんばって、そこから邸に戻る予定なんだけど、あの男は1度も現れない。
「トーマ様は仕事でここには来れないそうです。」
「そう、仕事ね。」
ご機嫌とりで週に1回山小屋に来ていた男なのに、ここへ来るのが出来ない訳がないわ。
…まさかもう愛人の所にいってるとか?
大いにありえるわ!
これは、私は怒ってもいいわよね。両親が大切な子供を放置してるんだからっ!
「ミランダ、1度トーマに会いに行くわ。」
「いいけど、もし愛人がいたら修羅場よ。」
「どちらかというといてくれた方がいいのよ。」
「それもそうね。面白いから。」
面白い…さすがミランダだわ。
「数日前まで私達がいた邸、トーマはきっとそこにいると思うの。」
「それは当たりよ。ここに来た時、私達と入れ代わりで馬車に誰かをせる音がしていたから、それが愛人のはず。」
ここに来た時に鋭い顔をしてたのは、それを見ていた…というか、聞いてたのかしら。
「ここ数日4頭立ての馬車が何度か走ってるのも見たわ。トーマ・ラッセンよ。」
「……」
ミランダは何でも知ってるわね。
「さて、いつ乗り込む?」
「今すぐによ!」
ガツンと言ってやるわ。
邸は500メートルもない所なので、私とミランダは歩いて行く事にした。
「女が2人は危ないかな。真っ暗だし…。」
「一本道だし、私が護衛にいてルーナが襲われる事はないわ。」
ミランダは腰にさげてる剣を見せた。
「そうね。」
ミランダが男性なら私は絶対プロポーズしてるわ。
『即刻離縁しますので、私と結婚してください!』ってね。
のんびり歩いて5分ほどで邸に着いた。
ドンドンドンッ
この辺りには人が住んでないようだし、おもいっきりドアをノック…というか、たたいた。
「はい。」
ドアを開けたメイドが私を見て目を真ん丸にしている。
わかりやすい人ね。
「トーマはどこ?」
「ここには来ていません。」
「いてもいなくても構わないわ。ここまで歩いてきて疲れたからお茶を一杯いただけないかしら。」
「あの…それは……」
よっぽど私とミランダを家に入れるなって言われてるのね。
「わかったわ。では主に伝えてくれるかしら。ルーナが足を挫いたので、そこにある馬車に乗って帰るってね。」
馬車に乗ってきて朝帰るつもりみたいだけど、その馬車がなければどうするのか見てみたいわ。
「…っ馬車を引ける者がいませんので!」
必死に食い下がろうとするメイドにミランダが止めをさした。
「心配しないで、私が引くから。大丈夫よ、王妃殿下の馬車も何度か引いてたし。」
「…ミランダ凄いっ!?」
「まぁね。その辺の御者よりも上手よ。4頭立てでもね。」
「…シュート君が憧れて当然だわ。」
「ルーナ、話がずれてるわよ。」
「あ、そうだったわ。」
でも、どう考えてもミランダの話を聞く方が有意義だわ。
「トーマなんかどうでもいいから帰りましょう。ミランダの話を聞きたいわ。」
「…どうでもよくなったの?」
「ええ。」
「さっきまでの勢いは何処へいったの?」
私達がごちゃごちゃ言ってたのが聞こえたのか、トーマ本人が出てきた。
「ルーナ、話がある。中へ入れ。」
「いえ、もう結構よ。貴方と話してもつまらないと思うので。」
「…つまらない?談笑でもしに来たのか?」
そんな訳ないでしょう。面倒だと言いたいのよ。
「徒歩5分圏内にある邸に娘がいるのに、会いにも来ない薄情者と話が噛み合う訳がないと気がついたのよ。」
「明日、午後から会いにいくつもりだった。」
つもりって何…。
「愛人にはしっかり会いに来るのに、今日は子供に会えないの?その神経疑うわ。貴方もだけど女の方もね。」
「…彼女は関係ない。」
「ではエミリーにも関係ないわね。2度と会いに来ないで。不愉快よ。」
「そんな事をいう権利はない。」
何いってるのかしら、この人。
「マイセンさんが私に言ってくれたわ。エミリーは私の子だと。母親として子供に悪影響を与える人物には会わせられないわね。」
「……」
「今なら許すわ。明日、その女もエミリーのもとへ連れてきなさい。離縁の話もそこでするから。帰りましょう、ミランダ!」
「そうね。」
スタスタ歩くルーナから少し遅れてミランダは出ていく。
「執事長、藪をつついて蛇がでたようですよ。明日、楽しみですね。」
ミランダは笑いを堪えて言った。
小さく、まるで猫のような泣き声を聞く度に私は焦る。
「ミランダ!どうしよう!!何故泣いているのっ!?」
「お腹すいてるんじゃない?」
「じゃあ、アナを呼んでくるわっ!!」
「奥様、落ち着いてください。ただ眠いだけです。」
「…そうなのっ!?」
首のすわってない赤ちゃんを抱くのも怖くて出来ない私は今のところ役立たず!
ミランダは甥っ子3兄弟で結構馴れてるのよね。
「子育て要員として頑張るけど緊張し過ぎて……」
「から回りしすぎ。」
ミランダ、厳しい!!
「奥様、焦らなくて大丈夫ですから…。」
私が1人でわちゃわちゃしてるのをみてカルラさんが言った。
「…子育て要員失格よ。」
「初めは皆オロオロするものです。」
そうだよね。命を授かって産む。これは人生で沢山経験出来る訳ではないもの。だから教えて貰わないと進まないわ。
そう思うけど、教わっても教わっても抱っこするのが怖いのでした。
「はぁ…やっと寝てくれた。」
今は夜8時。疲れる…。
「またすぐに起きるわよ。」
「覚悟してます…。」
子育ての給金っていくら貰えるのかしら。
そもそもメイドっていくらくらいの給金なの?
相場なんて聞かずに吹っ掛けてやるわ!!
「ところでさ、トーマ・ラッセンはいつやって来るの。」
ここで2週間がんばって、そこから邸に戻る予定なんだけど、あの男は1度も現れない。
「トーマ様は仕事でここには来れないそうです。」
「そう、仕事ね。」
ご機嫌とりで週に1回山小屋に来ていた男なのに、ここへ来るのが出来ない訳がないわ。
…まさかもう愛人の所にいってるとか?
大いにありえるわ!
これは、私は怒ってもいいわよね。両親が大切な子供を放置してるんだからっ!
「ミランダ、1度トーマに会いに行くわ。」
「いいけど、もし愛人がいたら修羅場よ。」
「どちらかというといてくれた方がいいのよ。」
「それもそうね。面白いから。」
面白い…さすがミランダだわ。
「数日前まで私達がいた邸、トーマはきっとそこにいると思うの。」
「それは当たりよ。ここに来た時、私達と入れ代わりで馬車に誰かをせる音がしていたから、それが愛人のはず。」
ここに来た時に鋭い顔をしてたのは、それを見ていた…というか、聞いてたのかしら。
「ここ数日4頭立ての馬車が何度か走ってるのも見たわ。トーマ・ラッセンよ。」
「……」
ミランダは何でも知ってるわね。
「さて、いつ乗り込む?」
「今すぐによ!」
ガツンと言ってやるわ。
邸は500メートルもない所なので、私とミランダは歩いて行く事にした。
「女が2人は危ないかな。真っ暗だし…。」
「一本道だし、私が護衛にいてルーナが襲われる事はないわ。」
ミランダは腰にさげてる剣を見せた。
「そうね。」
ミランダが男性なら私は絶対プロポーズしてるわ。
『即刻離縁しますので、私と結婚してください!』ってね。
のんびり歩いて5分ほどで邸に着いた。
ドンドンドンッ
この辺りには人が住んでないようだし、おもいっきりドアをノック…というか、たたいた。
「はい。」
ドアを開けたメイドが私を見て目を真ん丸にしている。
わかりやすい人ね。
「トーマはどこ?」
「ここには来ていません。」
「いてもいなくても構わないわ。ここまで歩いてきて疲れたからお茶を一杯いただけないかしら。」
「あの…それは……」
よっぽど私とミランダを家に入れるなって言われてるのね。
「わかったわ。では主に伝えてくれるかしら。ルーナが足を挫いたので、そこにある馬車に乗って帰るってね。」
馬車に乗ってきて朝帰るつもりみたいだけど、その馬車がなければどうするのか見てみたいわ。
「…っ馬車を引ける者がいませんので!」
必死に食い下がろうとするメイドにミランダが止めをさした。
「心配しないで、私が引くから。大丈夫よ、王妃殿下の馬車も何度か引いてたし。」
「…ミランダ凄いっ!?」
「まぁね。その辺の御者よりも上手よ。4頭立てでもね。」
「…シュート君が憧れて当然だわ。」
「ルーナ、話がずれてるわよ。」
「あ、そうだったわ。」
でも、どう考えてもミランダの話を聞く方が有意義だわ。
「トーマなんかどうでもいいから帰りましょう。ミランダの話を聞きたいわ。」
「…どうでもよくなったの?」
「ええ。」
「さっきまでの勢いは何処へいったの?」
私達がごちゃごちゃ言ってたのが聞こえたのか、トーマ本人が出てきた。
「ルーナ、話がある。中へ入れ。」
「いえ、もう結構よ。貴方と話してもつまらないと思うので。」
「…つまらない?談笑でもしに来たのか?」
そんな訳ないでしょう。面倒だと言いたいのよ。
「徒歩5分圏内にある邸に娘がいるのに、会いにも来ない薄情者と話が噛み合う訳がないと気がついたのよ。」
「明日、午後から会いにいくつもりだった。」
つもりって何…。
「愛人にはしっかり会いに来るのに、今日は子供に会えないの?その神経疑うわ。貴方もだけど女の方もね。」
「…彼女は関係ない。」
「ではエミリーにも関係ないわね。2度と会いに来ないで。不愉快よ。」
「そんな事をいう権利はない。」
何いってるのかしら、この人。
「マイセンさんが私に言ってくれたわ。エミリーは私の子だと。母親として子供に悪影響を与える人物には会わせられないわね。」
「……」
「今なら許すわ。明日、その女もエミリーのもとへ連れてきなさい。離縁の話もそこでするから。帰りましょう、ミランダ!」
「そうね。」
スタスタ歩くルーナから少し遅れてミランダは出ていく。
「執事長、藪をつついて蛇がでたようですよ。明日、楽しみですね。」
ミランダは笑いを堪えて言った。
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