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筋肉痛
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夕方、アルフィさんの奥様と息子さんが帰って来たので、紹介してくれた。
「突然押し掛けてすみません。ルーナ・クローズと申します。宜しくお願いします!」
「私はリンダよ。色々事情は聞いたわ。こちらも人手が欲しかったし、気にしないでね。」
赤毛が綺麗で背の高いリンダさん。一見きつく見えるけどそんな事はなくて、満面の笑みで私を迎えてくれた。
「ありがとうございます!!」
みんないい人だわ!
「お嬢様が畑仕事なんかできるわけねぇし。」
「こら!シュート!こっちでルーナさんに挨拶しなさい!」
「やだね。人ん家に上がり込んでんのはそっちなんだから、勝手にすればいいだろ。」
そういって、部屋に行ってしまった。
長男くんの厳しいお言葉。
きっと『遊びじゃないんだ』って事を言いたいんだよね。
「シュート君が言う事は最もだと思います。でもアルフィさんに弟子入りを認めて貰えたので、精一杯頑張ります!」
「弟子入り?」
「よくわからんが、弟子になるらしい。」
「もう、その辺は放っておいていいわよ。」
ミランダに笑いながら流されてしまった。
「……」
弟子入りに間違いないと思うのだけど…何だか恥ずかしいわ。
次の日
収穫された木の実を大きさごとに仕分けるお仕事を与えられた。
「ねぇ、ミランダ。これってオレンジ色で売り出されてるのに、青いうちに収穫していいの?」
「うん、これくらいで出荷しないと荷を運んでる間にも熟していくから。」
「そうなんだ。」
食べてる状態が全てじゃなくて、色んな工夫がされてるんだ。きっと植物1種ずつ違うんだわ。
「んな事も知らねぇのに、よく弟子入りとか言えるよな。」
「…シュート、生意気言うんじゃないの。農家の娘じゃないだけで、年齢でいけば6つも上なんだから。」
ミランダの言葉にシュート君が目を丸くした。
「…あんた20才なの?」
「うん…」
もっと老けて見えるのかな。
「ガキみてぇ」
ガキ…、子供って事…だよね。
「体とかちっこくてヒョロヒョロだし。小枝みてぇ。」
…小枝って。私そんな貧相な体型してるのかな。
兄弟子は厳しいわ。
その日1日、仕分け作業で終わった。
「う~ん…1日同じ体勢だと大して重たい物を運んでなくても結構疲れるね。」
「まぁ、明日はゆっくり休むといいわ。」
「え?私は明日も働けるよ。」
「まぁ、明日になればわかるから。」
アルフィさんもリンダさんも、クスクス笑ってるけど、何かあるのかな?
次の日、私はミランダの言ってる事がやっとわかった。
「うぅ~…ミランダ、っ体が痛くて動けない……」
昨日の夜から体が何か変だな…とは思ってたけど…。こんな風になるなんて!
「ただの筋肉痛よ。ルーナは日頃運動してないし、ここではいつもあまり使わないような筋肉も使ってるから、今日1日は痛くてたまらないわよ。下手したら明日もね。」
今日はゆっくり休む事をアルフィ師匠に命じられた。
コンコン
はなれでぐったりしてるとノック音がした。
お客様……?
「どなたですか?」
「……」
返事がない。
窓からチラリとドアの付近を見ると、ふわふわした赤毛が見える。末っ子のメレブ君だ。
ドアをあけると、ガバッと抱きついてきて一言。
「あそぼう!」
「……」
「ボールなげしよう!」
「ボール…」
室内ならまだしも、外でボール遊び…。絶対にムリ!
「メレブ君、今日はお姉ちゃんは具合がよくないから、お家の中で遊ぼうか?」
「何で?シューにいちゃんが、『ルーねえちゃんがボールで遊んでくれる』って言ってたのに…」
シュート君。なんて子なの。
「……」
「メレブくん?」
「ボールあそびするのっ!」
「……」
「ボールであそぶのっ!!」
「…うん。遊ぼうね。」
これなら仕分けしてる方がいい気がするわ…。
結局ボール投げをするんだけど、ボールがまっすぐ飛んでこないのは当然のこと…。
「ぃたた…、うぅ……」
「ルーねぇちゃん、がんばれ!」
「うん…」
それから1時間ほど遊んで、それで終わりかと思ったら今度はお絵かき。今日はシトロン君はいないの?『ごうとう』の所に可愛い弟が1人で来てるよ!
「はいこれ、ルーねえちゃんだよ。」
「私の事を描いてくれたの、嬉しい。」
受け取った絵、私の顔は緑で塗られてて、目が赤くて髪の毛は黄色い。斬新な色使いだわ。
「ありがとう、上手だね。」
「じゃあ、ここにはっておこう。」
それを…窓に。
「ほら、お姉ちゃんも描けたよ。はい。」
「あっ!!ボクだ!」
嬉しそうにニッコリ笑うメレブ君は可愛い。
「これはボクのお部屋にはる!!」
「うん。」
お昼ご飯を食べた後も、何故かメレブ君は私と一緒にいる。自由に遊んでお昼寝して…。
コンコン
「はい!」
今度は誰だろう。
ドアを開けると、そこにいたのはシトロン君。
「メレブをぬすんだな!」
「盗む…?」
鞄に筆記用具…。シトロン君は8才だから学校に行ってたのね。
「メレブ君はここでお昼寝してるんだよ。」
「…証拠をみせろ!」
「うわっ!」
私を押し退けて、寝ているメレブ君のもとへ走っていった。
ここからでも、メレブ君が寝てるのは見えるんだけど…私と仲良くなるのは嫌なのかな。
「メレブがぬすまれたら困るからオレもここにいる。」
そう言って、私のベッドにゴソゴソもぐりこんで、メレブ君と寝てしまった。
それから10分ほどしてミランダが私達の様子を見にきた。
「なに?早くも子育て?」
「これは、子守りよ…。そのつもりで残して行ったんでしょ。」
「まぁまぁ。」
「突然押し掛けてすみません。ルーナ・クローズと申します。宜しくお願いします!」
「私はリンダよ。色々事情は聞いたわ。こちらも人手が欲しかったし、気にしないでね。」
赤毛が綺麗で背の高いリンダさん。一見きつく見えるけどそんな事はなくて、満面の笑みで私を迎えてくれた。
「ありがとうございます!!」
みんないい人だわ!
「お嬢様が畑仕事なんかできるわけねぇし。」
「こら!シュート!こっちでルーナさんに挨拶しなさい!」
「やだね。人ん家に上がり込んでんのはそっちなんだから、勝手にすればいいだろ。」
そういって、部屋に行ってしまった。
長男くんの厳しいお言葉。
きっと『遊びじゃないんだ』って事を言いたいんだよね。
「シュート君が言う事は最もだと思います。でもアルフィさんに弟子入りを認めて貰えたので、精一杯頑張ります!」
「弟子入り?」
「よくわからんが、弟子になるらしい。」
「もう、その辺は放っておいていいわよ。」
ミランダに笑いながら流されてしまった。
「……」
弟子入りに間違いないと思うのだけど…何だか恥ずかしいわ。
次の日
収穫された木の実を大きさごとに仕分けるお仕事を与えられた。
「ねぇ、ミランダ。これってオレンジ色で売り出されてるのに、青いうちに収穫していいの?」
「うん、これくらいで出荷しないと荷を運んでる間にも熟していくから。」
「そうなんだ。」
食べてる状態が全てじゃなくて、色んな工夫がされてるんだ。きっと植物1種ずつ違うんだわ。
「んな事も知らねぇのに、よく弟子入りとか言えるよな。」
「…シュート、生意気言うんじゃないの。農家の娘じゃないだけで、年齢でいけば6つも上なんだから。」
ミランダの言葉にシュート君が目を丸くした。
「…あんた20才なの?」
「うん…」
もっと老けて見えるのかな。
「ガキみてぇ」
ガキ…、子供って事…だよね。
「体とかちっこくてヒョロヒョロだし。小枝みてぇ。」
…小枝って。私そんな貧相な体型してるのかな。
兄弟子は厳しいわ。
その日1日、仕分け作業で終わった。
「う~ん…1日同じ体勢だと大して重たい物を運んでなくても結構疲れるね。」
「まぁ、明日はゆっくり休むといいわ。」
「え?私は明日も働けるよ。」
「まぁ、明日になればわかるから。」
アルフィさんもリンダさんも、クスクス笑ってるけど、何かあるのかな?
次の日、私はミランダの言ってる事がやっとわかった。
「うぅ~…ミランダ、っ体が痛くて動けない……」
昨日の夜から体が何か変だな…とは思ってたけど…。こんな風になるなんて!
「ただの筋肉痛よ。ルーナは日頃運動してないし、ここではいつもあまり使わないような筋肉も使ってるから、今日1日は痛くてたまらないわよ。下手したら明日もね。」
今日はゆっくり休む事をアルフィ師匠に命じられた。
コンコン
はなれでぐったりしてるとノック音がした。
お客様……?
「どなたですか?」
「……」
返事がない。
窓からチラリとドアの付近を見ると、ふわふわした赤毛が見える。末っ子のメレブ君だ。
ドアをあけると、ガバッと抱きついてきて一言。
「あそぼう!」
「……」
「ボールなげしよう!」
「ボール…」
室内ならまだしも、外でボール遊び…。絶対にムリ!
「メレブ君、今日はお姉ちゃんは具合がよくないから、お家の中で遊ぼうか?」
「何で?シューにいちゃんが、『ルーねえちゃんがボールで遊んでくれる』って言ってたのに…」
シュート君。なんて子なの。
「……」
「メレブくん?」
「ボールあそびするのっ!」
「……」
「ボールであそぶのっ!!」
「…うん。遊ぼうね。」
これなら仕分けしてる方がいい気がするわ…。
結局ボール投げをするんだけど、ボールがまっすぐ飛んでこないのは当然のこと…。
「ぃたた…、うぅ……」
「ルーねぇちゃん、がんばれ!」
「うん…」
それから1時間ほど遊んで、それで終わりかと思ったら今度はお絵かき。今日はシトロン君はいないの?『ごうとう』の所に可愛い弟が1人で来てるよ!
「はいこれ、ルーねえちゃんだよ。」
「私の事を描いてくれたの、嬉しい。」
受け取った絵、私の顔は緑で塗られてて、目が赤くて髪の毛は黄色い。斬新な色使いだわ。
「ありがとう、上手だね。」
「じゃあ、ここにはっておこう。」
それを…窓に。
「ほら、お姉ちゃんも描けたよ。はい。」
「あっ!!ボクだ!」
嬉しそうにニッコリ笑うメレブ君は可愛い。
「これはボクのお部屋にはる!!」
「うん。」
お昼ご飯を食べた後も、何故かメレブ君は私と一緒にいる。自由に遊んでお昼寝して…。
コンコン
「はい!」
今度は誰だろう。
ドアを開けると、そこにいたのはシトロン君。
「メレブをぬすんだな!」
「盗む…?」
鞄に筆記用具…。シトロン君は8才だから学校に行ってたのね。
「メレブ君はここでお昼寝してるんだよ。」
「…証拠をみせろ!」
「うわっ!」
私を押し退けて、寝ているメレブ君のもとへ走っていった。
ここからでも、メレブ君が寝てるのは見えるんだけど…私と仲良くなるのは嫌なのかな。
「メレブがぬすまれたら困るからオレもここにいる。」
そう言って、私のベッドにゴソゴソもぐりこんで、メレブ君と寝てしまった。
それから10分ほどしてミランダが私達の様子を見にきた。
「なに?早くも子育て?」
「これは、子守りよ…。そのつもりで残して行ったんでしょ。」
「まぁまぁ。」
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