転生してスローライフ？そんなもの絶対にしたくありません！

製氷2

トーナメントだけど、どんな組み合わせだったかは伝えていないし、それぞれがどの時点で負けているのかも伝えない。

けど、テノールが一番の理由だけは言っておこう。

「テノールの優勝の理由を強いてあげるなら、この素朴なクッキーよ。」

１人３、４品を作っていて、どれも喫茶店で出すなら最高だと思う。
けれど、接客、販売業ならもう一歩踏み込まないと！

「これは商売だから、リピーターを増やす事を考えての事よ。このクッキーなら材料にそれほどコストはかからないから比較的安く売れるわ。クッキーをお店に買いに来て、『ついでにお茶していきましょう』ってお客もいるはずよ。」

それに、私の狙いの客層はお金持ちだけじゃない。

「このクッキーなら、生徒が買って寮に持って帰って食べられるでしょう？寮には特別枠で入学した庶民も住んでる。その子達もお客様よ。」

そう言うと、マスターが手を叩いて喜んでくれた。

「もし貴族の令息令嬢だけをターゲットにして店を始めるなら、私はお店を辞めようと思っていました。」
「えっ！？それは駄目よ。マスターがいて、あの紅茶があってこその喫茶店だもの。」
「ありがとうございます。」

私達を見て、ネロがグズグズ泣いている。

「ううう…っ、お嬢様…、ご立派になられましたね…。ネロは嬉しゅうございます！」

共同経営の許可を得ないまま強行したんだから、『ご立派』ではないと思う。

まぁ、いっか！
憩いの場を１つ手に入れたし、美味しい紅茶とお菓子は食べられるし！

他には何をしようかな。

転生前の私のやりたかった事の１つ、保育士になる…。
それって、仕事では出来ないけど、休みに子供と遊んだりは出来るんじゃない？
侯爵令嬢としてやらなきゃいけない事って何かあるのかな？
アレックスには『近付くな』と言ってあるし、王妃教育とかいうのもシュナは既に完璧だったみたいだから、もう教わる事は殆んどない。

自由、フリーダムよ！

今度は子供が沢山いて、私が遊びに行っても迷惑にならない所を探そう！