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不愉快3
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「昨日からフェルト様は別人のようですね。」
「何が違う。生意気で自分勝手で可愛げがない、いつもと同じだ。」
本当にそうだろうか。昨日から殿下を冷めた目で見ているように思う。
今までのフェルト様なら、アレックス様が労働者階級の娘に名前を呼ぶ許可を出した事を怒ったはずだ。
だが、ミネルバという女の身が危険だと察して『演技をしている』と周りが解釈するように機転を利かせた。
これに、どれだけの意味があるのか、殿下は理解してない。
アレックス様には弟が2人いるのだから、貴族から反発が大きくなれば第二王子が王位を継ぐ事もありえる。
フェルト様がアレックス様に固執しないのであれば、婚約者を第二王子にすると言っても侯爵は受け入れるだろう。
護衛である俺には口出しする事は出来ないが、俺の将来に関わる事だ。無視はしていられない。
これから、フェルト様の動向を探らせよう。
「スクリュー、何をしている。席に行くぞ。」
「はい。」
・・・・
食堂を出て教室に帰る途中、またキルテが話かけてきた。
「何故あの女を追い払わなかったのですか?」
「あの状況で追い払ったとしても、アレックス様を怒らせるだけだわ。そうなると、更に面倒になっていたのではないかしら?」
「ですが、あの女は明らかにフェルト様を悪者にしようと動いています。」
ミネルバがおかしな行動をしていると、気付く人もいるのね。
小説では誰もミネルバの言う事を疑わないし、全てシュナが悪い事になっていたのに、意外だわ。
「私とアレックス様の事は貴方に関係ない事よ。放っておいてくれるかしら。」
この人、色々と面倒そうだから逃げよう。
私は自分のやる事が正しいと、誰かに理解してもらいたいわけじゃない。最後まで悪役でいい。
ただ、不安はある。
この小説は魔王を退治して平和になって、ミネルバとアレックスが結婚。めでたしめでたし…で終わる。
この世界にその先はあるの?
無ければ、結局世界は終わるよね。
もしそうだとすれば、魔王が出てこない限り世界は続くのかもしれない。小説の結末が訪れないんだから。
私、結構重要な任務背負ってるんじゃないだろうか…。
「何が違う。生意気で自分勝手で可愛げがない、いつもと同じだ。」
本当にそうだろうか。昨日から殿下を冷めた目で見ているように思う。
今までのフェルト様なら、アレックス様が労働者階級の娘に名前を呼ぶ許可を出した事を怒ったはずだ。
だが、ミネルバという女の身が危険だと察して『演技をしている』と周りが解釈するように機転を利かせた。
これに、どれだけの意味があるのか、殿下は理解してない。
アレックス様には弟が2人いるのだから、貴族から反発が大きくなれば第二王子が王位を継ぐ事もありえる。
フェルト様がアレックス様に固執しないのであれば、婚約者を第二王子にすると言っても侯爵は受け入れるだろう。
護衛である俺には口出しする事は出来ないが、俺の将来に関わる事だ。無視はしていられない。
これから、フェルト様の動向を探らせよう。
「スクリュー、何をしている。席に行くぞ。」
「はい。」
・・・・
食堂を出て教室に帰る途中、またキルテが話かけてきた。
「何故あの女を追い払わなかったのですか?」
「あの状況で追い払ったとしても、アレックス様を怒らせるだけだわ。そうなると、更に面倒になっていたのではないかしら?」
「ですが、あの女は明らかにフェルト様を悪者にしようと動いています。」
ミネルバがおかしな行動をしていると、気付く人もいるのね。
小説では誰もミネルバの言う事を疑わないし、全てシュナが悪い事になっていたのに、意外だわ。
「私とアレックス様の事は貴方に関係ない事よ。放っておいてくれるかしら。」
この人、色々と面倒そうだから逃げよう。
私は自分のやる事が正しいと、誰かに理解してもらいたいわけじゃない。最後まで悪役でいい。
ただ、不安はある。
この小説は魔王を退治して平和になって、ミネルバとアレックスが結婚。めでたしめでたし…で終わる。
この世界にその先はあるの?
無ければ、結局世界は終わるよね。
もしそうだとすれば、魔王が出てこない限り世界は続くのかもしれない。小説の結末が訪れないんだから。
私、結構重要な任務背負ってるんじゃないだろうか…。
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