28 / 38
リアム奪還作戦3
しおりを挟む
「強いって、細くてチビなのに?」
「マスターは視野が狭いなぁ。強さっていうのは、腕っぷしだけじゃないよ」
「ほう、じゃあ何だ?」
「飲み比べ勝負で、あのガラの悪いおじさん達に勝ったら飲食代は無しにしてよ。」
「おまえが負けたらどうする?」
「大丈夫だよ。あのオジサン達が僕に勝てるはずないもん」
私とマスターの会話を聞いていた男達は、ニヤニヤしながら寄ってきた。
「誰が誰に敗けるって?」
「オジサン達が、僕にだよ」
わざと聞こえるように大きな声で話していれば、乗ってくると思ったのよね。単純で扱いやすい。
「自信があるならこの勝負、受けてくれるよね?楽しみだなぁ。オジサン3人を酔い潰すだけで、ただで酒が飲めるしご飯も食べれる」
「俺達が勝ったら、テメェを売って金にする」
「そりゃいい。身形はきたねぇが、顔は可愛いから、男娼にすりゃ人気が出るぞ」
男娼……って、娼婦の男版って事?男もそういう所へ売られたりするんだ。
「別にいいよ。僕が勝つから」
ざっと見た所、棚には大してアルコール度数の高いものは置いてないわね。時間稼ぎには、ちょうどいいわ。
「おじさん達、誰から勝負するの?」
「まずは俺だ」
鼻の頭を赤くした小柄な男が前に出てきた。既にかなり酔ってるわ。フラフラだもの。
「テル、お前は止めとけ」
「うっせーっ!んなガキにオレが負けるわけねぇだろ!」
マスターの言う事を聞けばいいのに。既にこの状態なら、下手すれば死ぬわよ、この男。
倒れて意識を失ってくれれば、こちらとしては好都合だけどね。
「じゃ、僕から飲むね」
グラス一杯の酒を、私は飲み干した。
「うん、美味しいね」
さすがに、一気に飲むのはキツいけど。
「おお、なかなかいい飲みっぷりじゃねぇか」
「そうでしょ。僕、お酒大好きだから。まだまだこれからだよ」
「おい、テル!負けんなよ!」
「あったりまえだ!」
意気込んで、赤鼻の男は一気に酒を飲み干した。
「………」
「テル、大丈夫か?」
マスターが心配そうに聞いているけど、焦点もさだまってないし、あれはもう戦力外決定ね。
案の定、酔い潰れて机に突っ伏してしまった。
「まず、1人目だね」
「調子に乗るなよ。こいつは酒が弱いだけだ」
「じゃあ、次はオジサンが相手って事でいい?」
このオジサンの言う通り、残りの2人は手強そうなのよね。体格がいいから、私より酔うのは遅いはずだもの。
「じゃあ、また僕が先に飲むね」
グラスにお酒を注いで、私はそれをまた一気に飲み干した。
喉が熱い……咳が出そう。でも、弱みを見せたら付け込まれるから、平気なフリをしないと。
「次、オジサンだよ。僕が、注いであげるよ」
私がグラスに並々注いだら、文句を言われてしまった。
「てめぇ、量が全然ちげぇだろ!」
「あ、もしかして、飲めないの?この赤鼻のオジサンは僕より多い量を、文句も言わず飲んでくれたのに、オジサンは無理なの?」
「んなわけあるかっ!」
「じゃあ飲んでよ。僕は3人も相手にするんだから、これくらいいいじゃない。ケチだなぁ」
「っかせ!」
男は並々注がれたお酒を、一気に飲み干した。
赤鼻の男を馬鹿にしてたし、それより格下だと思われたくないはず。絶対に量を減らせって言わないと思ったけど、大正解。
お酒を飲んだ男は、足がフラフラしてる。
いくらお酒が強くても、一気に摂取すると耐えられない人は結構いるのよね。
リアムやこの男のように、すぐに体に異変がおこるのは、ある意味自衛なのかも。私みたいにいくら飲んでも酔わないのは、限界になったら倒れてそのまま死ぬ確率が高い。叔父がそうだったわ。
私は後何杯飲めるかわからないし、どうにかして相手にお酒を飲めない状態になってもらわないと。
誰にも気付かれないように、フラフラしている男の足をすくったら、うしろにあるテーブルに倒れた。勢いよく後頭部を打ち付けて気を失っているし、ラッキーだわ。
「あー、これはもう駄目だね。僕の勝ちだ」
喋っていると、奥から男が1人出てきた。
「うるせぇぞ……ん?テメェどこかで……」
「……っ」
あれは、馬車が襲われた時、私が木の枝で攻撃した男だわ。すぐに逃げたから顔はハッキリ見られてないと思うけど、もし気付かれたら作戦が上手くいかなくなる。
「マスターは視野が狭いなぁ。強さっていうのは、腕っぷしだけじゃないよ」
「ほう、じゃあ何だ?」
「飲み比べ勝負で、あのガラの悪いおじさん達に勝ったら飲食代は無しにしてよ。」
「おまえが負けたらどうする?」
「大丈夫だよ。あのオジサン達が僕に勝てるはずないもん」
私とマスターの会話を聞いていた男達は、ニヤニヤしながら寄ってきた。
「誰が誰に敗けるって?」
「オジサン達が、僕にだよ」
わざと聞こえるように大きな声で話していれば、乗ってくると思ったのよね。単純で扱いやすい。
「自信があるならこの勝負、受けてくれるよね?楽しみだなぁ。オジサン3人を酔い潰すだけで、ただで酒が飲めるしご飯も食べれる」
「俺達が勝ったら、テメェを売って金にする」
「そりゃいい。身形はきたねぇが、顔は可愛いから、男娼にすりゃ人気が出るぞ」
男娼……って、娼婦の男版って事?男もそういう所へ売られたりするんだ。
「別にいいよ。僕が勝つから」
ざっと見た所、棚には大してアルコール度数の高いものは置いてないわね。時間稼ぎには、ちょうどいいわ。
「おじさん達、誰から勝負するの?」
「まずは俺だ」
鼻の頭を赤くした小柄な男が前に出てきた。既にかなり酔ってるわ。フラフラだもの。
「テル、お前は止めとけ」
「うっせーっ!んなガキにオレが負けるわけねぇだろ!」
マスターの言う事を聞けばいいのに。既にこの状態なら、下手すれば死ぬわよ、この男。
倒れて意識を失ってくれれば、こちらとしては好都合だけどね。
「じゃ、僕から飲むね」
グラス一杯の酒を、私は飲み干した。
「うん、美味しいね」
さすがに、一気に飲むのはキツいけど。
「おお、なかなかいい飲みっぷりじゃねぇか」
「そうでしょ。僕、お酒大好きだから。まだまだこれからだよ」
「おい、テル!負けんなよ!」
「あったりまえだ!」
意気込んで、赤鼻の男は一気に酒を飲み干した。
「………」
「テル、大丈夫か?」
マスターが心配そうに聞いているけど、焦点もさだまってないし、あれはもう戦力外決定ね。
案の定、酔い潰れて机に突っ伏してしまった。
「まず、1人目だね」
「調子に乗るなよ。こいつは酒が弱いだけだ」
「じゃあ、次はオジサンが相手って事でいい?」
このオジサンの言う通り、残りの2人は手強そうなのよね。体格がいいから、私より酔うのは遅いはずだもの。
「じゃあ、また僕が先に飲むね」
グラスにお酒を注いで、私はそれをまた一気に飲み干した。
喉が熱い……咳が出そう。でも、弱みを見せたら付け込まれるから、平気なフリをしないと。
「次、オジサンだよ。僕が、注いであげるよ」
私がグラスに並々注いだら、文句を言われてしまった。
「てめぇ、量が全然ちげぇだろ!」
「あ、もしかして、飲めないの?この赤鼻のオジサンは僕より多い量を、文句も言わず飲んでくれたのに、オジサンは無理なの?」
「んなわけあるかっ!」
「じゃあ飲んでよ。僕は3人も相手にするんだから、これくらいいいじゃない。ケチだなぁ」
「っかせ!」
男は並々注がれたお酒を、一気に飲み干した。
赤鼻の男を馬鹿にしてたし、それより格下だと思われたくないはず。絶対に量を減らせって言わないと思ったけど、大正解。
お酒を飲んだ男は、足がフラフラしてる。
いくらお酒が強くても、一気に摂取すると耐えられない人は結構いるのよね。
リアムやこの男のように、すぐに体に異変がおこるのは、ある意味自衛なのかも。私みたいにいくら飲んでも酔わないのは、限界になったら倒れてそのまま死ぬ確率が高い。叔父がそうだったわ。
私は後何杯飲めるかわからないし、どうにかして相手にお酒を飲めない状態になってもらわないと。
誰にも気付かれないように、フラフラしている男の足をすくったら、うしろにあるテーブルに倒れた。勢いよく後頭部を打ち付けて気を失っているし、ラッキーだわ。
「あー、これはもう駄目だね。僕の勝ちだ」
喋っていると、奥から男が1人出てきた。
「うるせぇぞ……ん?テメェどこかで……」
「……っ」
あれは、馬車が襲われた時、私が木の枝で攻撃した男だわ。すぐに逃げたから顔はハッキリ見られてないと思うけど、もし気付かれたら作戦が上手くいかなくなる。
12
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説

【完結】私との結婚は不本意だと結婚式の日に言ってきた夫ですが…人が変わりましたか?
まりぃべる
ファンタジー
「お前とは家の為に仕方なく結婚するが、俺にとったら不本意だ。俺には好きな人がいる。」と結婚式で言われた。そして公の場以外では好きにしていいと言われたはずなのだけれど、いつの間にか、大切にされるお話。
☆現実でも似たような名前、言葉、単語、意味合いなどがありますが、作者の世界観ですので全く関係ありません。
☆緩い世界観です。そのように見ていただけると幸いです。
☆まだなかなか上手く表現が出来ず、成長出来なくて稚拙な文章ではあるとは思いますが、広い心で読んでいただけると幸いです。
☆ざまぁ(?)は無いです。作者の世界観です。暇つぶしにでも読んでもらえると嬉しいです。
☆全23話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
☆感想ありがとうございます。ゆっくりですが、返信させていただきます。
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
『白い結婚』が好条件だったから即断即決するしかないよね!
三谷朱花
恋愛
私、エヴァはずっともう親がいないものだと思っていた。亡くなった母方の祖父母に育てられていたからだ。だけど、年頃になった私を迎えに来たのは、ピョルリング伯爵だった。どうやら私はピョルリング伯爵の庶子らしい。そしてどうやら、政治の道具になるために、王都に連れていかれるらしい。そして、連れていかれた先には、年若いタッペル公爵がいた。どうやら、タッペル公爵は結婚したい理由があるらしい。タッペル公爵の出した条件に、私はすぐに飛びついた。だって、とてもいい条件だったから!

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月
りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。
1話だいたい1500字くらいを想定してます。
1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。
更新は不定期。
完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。
恋愛とファンタジーの中間のような話です。
主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる