18 / 28
食えないやつ
しおりを挟む
15時、ライリー王子と楽しいお茶会中……
リアムが同席すると思っていたのに、部屋には王子と私とスフィーだけ。
「マロンちゃん、お仕事はどう?」
「全く捗りません。栗頭の無能な私に、何が出来ると言うのでしょう?」
「栗って中身つまってるから、頭がいいでしょ?」
皮肉に嫌味で返してくるとは、さすがね。リアムは直球過ぎるし、この王子は変化球過ぎるわ。
「伯爵代理の期限は決めて頂けましたか?」
「リアムが結婚するまで…って話だけど、もう遅いかな?」
「どういう意味でしょうか?」
「狩りで負けたら、マロンちゃんは結婚するでしょ」
勝負の話は昨日決まったばかりなのに、何で伝わっているの。
「そうです。リアム様の希望するお相手と結婚します」
「じゃ、相手はリアムだよ」
「ふふ、リアム様の希望する方と結婚するのであって、リアム様と結婚ではありませんわ」
「だから、リアムでしょ」
違うと言ってるのに、何故納得しないの。
「リアム様に『伯爵家の恥』と言われている私が、妻になる事など絶対にございません」
「……じゃあ、こうしよう。俺が狩猟大会で優勝したら、リアムと結婚」
そんなの、私が不利になるだけじゃない。
「この勝負を受けなかったら、損をするのはマロンちゃんだよ」
「何故ですか?」
「絶対に俺が優勝するから。そうなった時、マロンちゃんはハリーと離婚出来ない。リアムが結婚するまで代理は続く」
「もともと、その条件だったので、文句はございません」
「最悪なのは、リアムが結婚する前に、ハリーが帰ってきた時だよね」
「……」
病が治って帰ってきたハリーに対して『最悪』なんて、おかしくない?
この人、ハリーが駆け落ちした事、知ってるんだわ。
王子の予想では、ハリーは帰ってくるって事?それなら私は伯爵代理ではなくなるし、問題ないよね。
「マロンちゃんはさ、ハリーが帰ってきたら伯爵代理をしなくていいし、楽になると思ってるかもしれないけど、そんな簡単じゃないよ」
「どうしてですか?」
「正直に言うと、ハリーなんていなくても、伯爵家の仕事は滞りなく進むんだよね。あの男は、殆どリアムに仕事を押し付けてたから。やってた事は、社交界で酒を煽って女と楽しむだけ。子供だっているよ」
「……子供?」
「そんな男が帰って来て、仕事をすると思う?面倒が増えるだけじゃない?」
王子の言う事が本当なら、ハリーが帰って来ると私はこの家に縛られる。今までリアムがやっていた仕事を、私に押し付けるよね。
「これから先、ハリーのいいように使われたままでいいの?マロンちゃんの人生は、マロンちゃんの物なのに」
そんなの、冗談じゃないわ……。
何で私を捨てた男の為に、働かないといかないのよ。本当にハリーに子供がいた場合、リアムに爵位を継がせて逃げる事は出来なくなる。
本当に好きにな人と駆け落ちしたわけじゃなく、ハリーは結婚で縛られるのが嫌だったから逃げた。それはいい。
けれど、その皺寄せが私に来るなんて、絶対に嫌よ。
働かざる者食うべからず。
好き放題して女と遊び呆けてる男に、権力も金もいらないでしょ。
「あの男を見つけ出して、伯爵家から追放しようよ」
追放……。ハリーが全ての元凶なのだから、それくらいはしてもいいわよね。
「もちろん、協力いたします」
「それは嬉しいよ」
これで狩猟大会に優勝すれば、私は2ヶ月で伯爵家とは縁が切れるし、最高だわ。
リアムが同席すると思っていたのに、部屋には王子と私とスフィーだけ。
「マロンちゃん、お仕事はどう?」
「全く捗りません。栗頭の無能な私に、何が出来ると言うのでしょう?」
「栗って中身つまってるから、頭がいいでしょ?」
皮肉に嫌味で返してくるとは、さすがね。リアムは直球過ぎるし、この王子は変化球過ぎるわ。
「伯爵代理の期限は決めて頂けましたか?」
「リアムが結婚するまで…って話だけど、もう遅いかな?」
「どういう意味でしょうか?」
「狩りで負けたら、マロンちゃんは結婚するでしょ」
勝負の話は昨日決まったばかりなのに、何で伝わっているの。
「そうです。リアム様の希望するお相手と結婚します」
「じゃ、相手はリアムだよ」
「ふふ、リアム様の希望する方と結婚するのであって、リアム様と結婚ではありませんわ」
「だから、リアムでしょ」
違うと言ってるのに、何故納得しないの。
「リアム様に『伯爵家の恥』と言われている私が、妻になる事など絶対にございません」
「……じゃあ、こうしよう。俺が狩猟大会で優勝したら、リアムと結婚」
そんなの、私が不利になるだけじゃない。
「この勝負を受けなかったら、損をするのはマロンちゃんだよ」
「何故ですか?」
「絶対に俺が優勝するから。そうなった時、マロンちゃんはハリーと離婚出来ない。リアムが結婚するまで代理は続く」
「もともと、その条件だったので、文句はございません」
「最悪なのは、リアムが結婚する前に、ハリーが帰ってきた時だよね」
「……」
病が治って帰ってきたハリーに対して『最悪』なんて、おかしくない?
この人、ハリーが駆け落ちした事、知ってるんだわ。
王子の予想では、ハリーは帰ってくるって事?それなら私は伯爵代理ではなくなるし、問題ないよね。
「マロンちゃんはさ、ハリーが帰ってきたら伯爵代理をしなくていいし、楽になると思ってるかもしれないけど、そんな簡単じゃないよ」
「どうしてですか?」
「正直に言うと、ハリーなんていなくても、伯爵家の仕事は滞りなく進むんだよね。あの男は、殆どリアムに仕事を押し付けてたから。やってた事は、社交界で酒を煽って女と楽しむだけ。子供だっているよ」
「……子供?」
「そんな男が帰って来て、仕事をすると思う?面倒が増えるだけじゃない?」
王子の言う事が本当なら、ハリーが帰って来ると私はこの家に縛られる。今までリアムがやっていた仕事を、私に押し付けるよね。
「これから先、ハリーのいいように使われたままでいいの?マロンちゃんの人生は、マロンちゃんの物なのに」
そんなの、冗談じゃないわ……。
何で私を捨てた男の為に、働かないといかないのよ。本当にハリーに子供がいた場合、リアムに爵位を継がせて逃げる事は出来なくなる。
本当に好きにな人と駆け落ちしたわけじゃなく、ハリーは結婚で縛られるのが嫌だったから逃げた。それはいい。
けれど、その皺寄せが私に来るなんて、絶対に嫌よ。
働かざる者食うべからず。
好き放題して女と遊び呆けてる男に、権力も金もいらないでしょ。
「あの男を見つけ出して、伯爵家から追放しようよ」
追放……。ハリーが全ての元凶なのだから、それくらいはしてもいいわよね。
「もちろん、協力いたします」
「それは嬉しいよ」
これで狩猟大会に優勝すれば、私は2ヶ月で伯爵家とは縁が切れるし、最高だわ。
6
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪
桐生桜月姫
ファンタジー
愛良と晶は仲良しで有名な双子だった。
いつも一緒で、いつも同じ行動をしていた。
好き好みもとても似ていて、常に仲良しだった。
そして、一緒に事故で亡くなった。
そんな2人は転生して目が覚めても、またしても双子でしかも王族だった!?
アイリスとアキレスそれが転生後の双子の名前だ。
相変わらずそっくりで仲良しなハイエルフと人間族とのハーフの双子は異世界知識を使って楽しくチートする!!
「わたしたち、」「ぼくたち、」
「「転生しても〜超仲良し!!」」
最強な天然双子は今日もとっても仲良しです!!
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる