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お仕事
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帰りの馬車の中、結婚相手が誰なのか聞いてもリアムは答えなかった。
「ねぇ、イエナ、スフィー、リアム様は私を誰と結婚させたいのだと思う?」
「リアム様ご本人に聞いてください。私達にはわかりかねます」
「だよね」
あの流れなら、リアム本人が私にプロポーズしてるのかとも思えるけど、それは絶対にありえない。何の得にもならないもの。
ハリーとの結婚が決まるまで、私はリアムと話した事もないし。
その日の夕飯に、リアムは顔を出さなかった。伯爵家の仕来たりとやらは、意外と簡単に破られるのね。
次の日は朝から土砂降り、髪の毛が湿気でボサボサになった。
髪の毛が短いと束ねる事も出来ない。今日一日、この邸で仕事をするだけだし問題ないか。
「クレア様、その格好はなんです。ボサボサの鳥の巣頭に、シャツと紺色のロングスカート。今時、王都でそんな格好をしてる女性はいませんよ」
私を叱るのは、イエナじゃなくスフィー。
「この格好が、一番仕事がしやすいし」
「駄目です。リアム様がガッカリなさるでしょう」
リアムは関係ないと思うけど、スフィーの圧が凄くて言い返せない。
「イエナはファッションには疎いので、私が指導します」
「よろしくおねがいします……」
結局、スフィーの用意した服に着替えさせられたのだけど、リアムから大変不評です。
「胸元を露出しすぎでは?」
「……」
仰ると通りです。
仕事をするのに、大きく襟の開いた服なんて着る必要は全くないもの。
「貴女が選んだ服ですか?」
「いいえ、スフィーよ。着替えてきますね」
リアムに怒られたと言えば、スフィーも諦めるでしょう。
「今日はそのままで構いません」
「そうですか……」
「至急とりかかるべき仕事を幾つかありますので、こちらに目を通してください」
リアムに渡されたのは大量の書類。
10㎝程の束が5つも机においてあるのだけど、まさかこれを私がやるの?
嫌だと言っても始まらないよね。
手に取った書類は河川の氾濫について……。
「これは、川の事をよく知ってる人と一緒に解決すべきではないかしら」
「私達がやる事は、費用の申請です」
「だったら、私じゃなくリアム様が纏めた方がいいと思います。何も解らない私が申請しても話にならないでしょう。」
「もう少し、目を通してください」
……何かおかしな所でもあるのかしら。
「毎年、雨期になると川が氾濫してるのね」
「はい。その被害は甚大で、近辺の住人は全てを流され、暮らせない状況に陥ります」
「それを私にどうしろというのですか?」
「明日から川へ視察に行きますので、付いてきて下さい」
視察って、そんなに色々な所に行くものなの?一昨日も王都に来る途中に何処かに寄っていたよね。
「川の管轄の……部下はいるのでしょう?その人達から報告を受けて予算を決めるのだし、私達が行く必要はないと思います」
伯爵家の仕事に深く関わりたくないのが本音だし。
「その部下が安い木材や土を仕入れて、予算を誤魔化している可能性があるので、私と貴女で調査に行きます」
「それなら、私一人で行きます。リアム様は顔を知られているのだから、意味がないでしょう」
「何をどう見ればいいか、わかるんですか?」
わからないわよ。
「一緒に行きますが、仕事はリアム様に任せます。私は何もしませんからね」
「期待していません」
この人、視察とか向いてなさそう……。
もう1つの書類に目を通すけれど、これを私が処理する理由が解らない。
『王都の連続刺殺事件の誤認逮捕について……』
こんなの、明らかに私がやる仕事ではないよね。
「誤認逮捕した人達に解決させたらいいと思うわ」
「逮捕されたのが庶民ではなく貴族なので、うちに回ってきました」
貴族だから?庶民なら放置って事?意味がわからないわ。
「相手が貴族なのであれば、金も権力もあるのでしょう?自分達で何とかすればいいのよ。この仕事は断るわ」
次!
『星花祭の準備』
『領内の大規模修繕工事』
まぁ、この2つは伯爵家の仕事よね。
けど……
『ライリー王子と楽しいお茶会』って何?何故私が、あの王子の相手をしなきゃいけないの?
「ライリー様に会う時間など、私にはございません」
「それは断われません」
「相手が王子だから?」
「いいえ、本日15時の予定です」
今日…?
昨日、イエナに貰った予定表には無かったと思うけど。
「昨日も来たのに、今日も来るのですか?」
「『マロンちゃんに大切な話がある』との事です」
絶対に何か企んでるわね、あの王子。
「ねぇ、イエナ、スフィー、リアム様は私を誰と結婚させたいのだと思う?」
「リアム様ご本人に聞いてください。私達にはわかりかねます」
「だよね」
あの流れなら、リアム本人が私にプロポーズしてるのかとも思えるけど、それは絶対にありえない。何の得にもならないもの。
ハリーとの結婚が決まるまで、私はリアムと話した事もないし。
その日の夕飯に、リアムは顔を出さなかった。伯爵家の仕来たりとやらは、意外と簡単に破られるのね。
次の日は朝から土砂降り、髪の毛が湿気でボサボサになった。
髪の毛が短いと束ねる事も出来ない。今日一日、この邸で仕事をするだけだし問題ないか。
「クレア様、その格好はなんです。ボサボサの鳥の巣頭に、シャツと紺色のロングスカート。今時、王都でそんな格好をしてる女性はいませんよ」
私を叱るのは、イエナじゃなくスフィー。
「この格好が、一番仕事がしやすいし」
「駄目です。リアム様がガッカリなさるでしょう」
リアムは関係ないと思うけど、スフィーの圧が凄くて言い返せない。
「イエナはファッションには疎いので、私が指導します」
「よろしくおねがいします……」
結局、スフィーの用意した服に着替えさせられたのだけど、リアムから大変不評です。
「胸元を露出しすぎでは?」
「……」
仰ると通りです。
仕事をするのに、大きく襟の開いた服なんて着る必要は全くないもの。
「貴女が選んだ服ですか?」
「いいえ、スフィーよ。着替えてきますね」
リアムに怒られたと言えば、スフィーも諦めるでしょう。
「今日はそのままで構いません」
「そうですか……」
「至急とりかかるべき仕事を幾つかありますので、こちらに目を通してください」
リアムに渡されたのは大量の書類。
10㎝程の束が5つも机においてあるのだけど、まさかこれを私がやるの?
嫌だと言っても始まらないよね。
手に取った書類は河川の氾濫について……。
「これは、川の事をよく知ってる人と一緒に解決すべきではないかしら」
「私達がやる事は、費用の申請です」
「だったら、私じゃなくリアム様が纏めた方がいいと思います。何も解らない私が申請しても話にならないでしょう。」
「もう少し、目を通してください」
……何かおかしな所でもあるのかしら。
「毎年、雨期になると川が氾濫してるのね」
「はい。その被害は甚大で、近辺の住人は全てを流され、暮らせない状況に陥ります」
「それを私にどうしろというのですか?」
「明日から川へ視察に行きますので、付いてきて下さい」
視察って、そんなに色々な所に行くものなの?一昨日も王都に来る途中に何処かに寄っていたよね。
「川の管轄の……部下はいるのでしょう?その人達から報告を受けて予算を決めるのだし、私達が行く必要はないと思います」
伯爵家の仕事に深く関わりたくないのが本音だし。
「その部下が安い木材や土を仕入れて、予算を誤魔化している可能性があるので、私と貴女で調査に行きます」
「それなら、私一人で行きます。リアム様は顔を知られているのだから、意味がないでしょう」
「何をどう見ればいいか、わかるんですか?」
わからないわよ。
「一緒に行きますが、仕事はリアム様に任せます。私は何もしませんからね」
「期待していません」
この人、視察とか向いてなさそう……。
もう1つの書類に目を通すけれど、これを私が処理する理由が解らない。
『王都の連続刺殺事件の誤認逮捕について……』
こんなの、明らかに私がやる仕事ではないよね。
「誤認逮捕した人達に解決させたらいいと思うわ」
「逮捕されたのが庶民ではなく貴族なので、うちに回ってきました」
貴族だから?庶民なら放置って事?意味がわからないわ。
「相手が貴族なのであれば、金も権力もあるのでしょう?自分達で何とかすればいいのよ。この仕事は断るわ」
次!
『星花祭の準備』
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まぁ、この2つは伯爵家の仕事よね。
けど……
『ライリー王子と楽しいお茶会』って何?何故私が、あの王子の相手をしなきゃいけないの?
「ライリー様に会う時間など、私にはございません」
「それは断われません」
「相手が王子だから?」
「いいえ、本日15時の予定です」
今日…?
昨日、イエナに貰った予定表には無かったと思うけど。
「昨日も来たのに、今日も来るのですか?」
「『マロンちゃんに大切な話がある』との事です」
絶対に何か企んでるわね、あの王子。
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