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鷹狩

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 食事を終えて狩りに行くのだけど……

「リアム様、日が沈む迄には邸へ帰りますので、付いてこなくても大丈夫ですよ」
「鷹狩りは初めてですよね?弓で射る狩りとは全く違うので付き添います。それにライリーのハヤブサは、飼い主に似て気紛れなので」

え……?

「王子の……ハヤブサなのですか?」
「はい」
「……鷹狩りは止めましょう」
「何故ですか?」
「鷹狩りは高貴な方がやるものですから、没落寸前の家柄だった女には無理だと思います」
「そんな事は関係ありません」
「あるんですっ!」

 あの王子に借りを作るなんて、冗談じゃないわ。しかも、鷹狩りで扱える猛禽類って、王子と私達では違うはずだし、もし何かあったらどうするの!!

 それから1時間ほどで狩場に到着。

『鷹狩りは止める』と言ったのに、何故連れてくるの。もしかして、私をどんどん罠にはめようとしてるんじゃないでしょうね。

 チラリとリアムを見ると目があった。

「どうしたんですか?変な顔をして」
「何でもありません」

 変な顔って、女性に言う言葉じゃないよね。リアムってどんな女性にも、こんな感じなのかしら。それとも私だけ?

「義姉さん、このグローブを着けてください」
「はい…」

 これを着けてハヤブサを腕に乗せる…のよね。

 鷹匠がハヤブサをゲージから出して、止まり台に乗せた。まだフードのようなもので目隠しされているけれど、存在感が凄い。
 この鋭い爪に捕まれたら、兎や鳥なんて逃げられないよね。
 簡単に出来る気がしてたけど、ちょっと怖い。

「もしかして怖いですか?」
「全然、そんな事ないわよ……」
「じゃあ、やってみましょうか」 
「……」

 このグローブだけで大丈夫なの?この鋭い爪に肉を抉られたりしない?くちばしで突っつかれたりしないの?子供の頃、鴨にパクリと手をかまれた時は、痛かったような気がするわ。

「ククク……」
「何故笑ってるの?」
「貴女が怖がる姿を初めて見るので、面白くて」

 もっと言い方があるでしょう。
 そもそも、私の事をよく知らないのだから、全てが『初めて見る』になるよね。となると、私の一挙一動がリアムにとって『面白い』になるのかしら。

「面白い女に、伯爵代理は向いてないと思います」
「冗談の1つも言えない私より向いてますよ」

『変な顔』とか『面白い』っていうのは、本気で言ってたのね。

「私が先にやってみますね」

 そう言って、リアムは馬に乗って手にグローブを着けた。どこからか犬が吠えると、木々から鳥が飛び立って、それをハヤブサが空中で捕まえる。リアムがハヤブサが降下してくる辺りまで馬を走らせて、グローブの上に着地。

「凄い……」

 こんな連携、私には無理だわ。

リアムが私達のもとへ帰って来て、とまり台にハヤブサを乗せた。

「ねぇ、鷹狩りって騎馬でやるものなの?」
「今は騎馬の方が流行ってますが、地形にもよります」
「そう……」

 鷹が獲物を捕まえて、合図をすると勝手に戻ってくるものだと思ってたけど、違うのね。

「挑戦してみますか?」
「またの機会にするわ」

 やっぱり怖いし……。
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