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言い訳2

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「シャト、勉強があるだろう。部屋へ戻れ。」
「イヤです!リルといますっ!!」
「ジブリールにはメイドがついてる。」
「イヤだっ!!」

……シャトはこの女の何がそんなに気に入ったのだろう。

「何故ジブリールに姉上になって欲しいんだ?」
「だって、ニセモノの笑顔じゃないから…。兄上と結婚するためにオレと仲よくしようとする女は嫌いです。」
「そうか。」

シャトは鋭いな。
ジブリールは俺と結婚するつもりなど全くない。
あわよくば、王太子妃になれるかもしれない…なんて欲もない。
伝わってくるのは、俺が嫌いだという空気だけだ。

「ジブリールだけがそうなのか、解らないだろう?話した事がないんだから。」
「……」

俺が言うと、シャトがプイっと顔をそらした。

肌で感じるものがあるんだろう。

「今日1日だけジブリールの側にいるのを許可する。明日は勉強するんだぞ。」
「はいっ!!」

とりあえず、ジブリールと結婚などしないと両親に伝えなければ。

…いや、少し様子を見た方がいいな。
今ここでジブリール以外の女と結婚すると言えば、候補の中から誰かを選べと言われる。
もし、ベアトリスに決められた場合、後から断る事は出来ない。

女なら誰でも良いと言われている今が好機だ。ジブリールとなら、いつでも婚約破棄は出来る。

俺が自由に動く為に、ジブリールが最有力という事にしておこう。

・・・・

「……ん…」

目をあけると、真っ白な部屋にいた。

天国?
少なくとも、私の部屋ではないわ。

「リルっ!!」

横を向くと、目と鼻を真っ赤にして泣いているシャト王子がいた。

これは天国に違いないわ。可愛すぎる、天使だもの。
でも、王子にギュっと握られている手は暖かいし、そう考えると現実よね。

「王子、何故泣いてるのですか?」
「リルが死にそうだったからだぞっ!オレの姉上になったんだから、死んだらダメだ!」
「姉上にはなってないかな…。」

私だって昔は優しいお兄様が欲しいと思った事もある。きっと、シャト王子も暫くすれば落ち着くよね。

「父上と母上が兄上とリルの結婚を許可したぞ!うれしいか?」
「いくら姉上がほしくても、嘘はよくないですよ。」
「む、本当だぞ!」
「どうして許してくれたのですか?」
「『このさい女なら誰でもいい』…と言っていた。」

シャト王子が嘘をついてるようには見えない。緊急事態だわ。

女なら……?
男が好きなの?あの拗らせ男。
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