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小屋3
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「口は災いの元という言葉を知っているか?」
「マドーレでは聞いた事がございませんわ。」
拗らせ男の機嫌がかなり悪い。私もムカついて言い返してしまったし、そうなるだろうけど。王子なのだから、女が少し言い返しても、笑って流せる度量はないのかしら。
「シンシア探しの為に私を呼び出されたのであれば、小説を書いている場合ではないと思うのですが…。」
結婚するまでにシアを探すのは構わないけれど、婚約者は結婚よりもかなり前に決まると思うのよね。既に、日暮の宮にはお嬢様が半年も閉じ込められているのだし…。王太子と婚約出来なかった場合、別の相手を探さないといけないしね。
コンコン
「兄上」
拗らせ男の執務室のドアの向こうから、可愛いシャト王子の声が聞こえた。
この国で、唯一の私の癒し!!
顔を見たい!
お話したい!
一緒に遊びたい!
部屋の中にいる近衛がドアを開けると、ヒョコっと中を覗くシャト王子。
可愛すぎる!
「あっ!リルっ!!」
私を見て、王子は走って抱きついてきた。
「兄上と一緒に寝てたのか?では、姉上になるのだな!」
「いえ、違います。私は」
「朝ごはんを一緒に食べるぞっ!!」
目をキラキラさせて、とても可愛い。可愛すぎる!!
いや、それよりも、早く誤解をとかないと!
「シャト王子、私は王城で王子と食事をとる事は出来ないのです。」
「何でだ?」
「家族ではないからです。」
「でも、兄上と一緒に過ごしたのだから、もうオレの姉上だし家族だぞ。」
「一緒に過ごしたわけではなく、つい先ほど、カーライル殿下に呼びたされたのです。」
「さては、愛の告白だな!」
「違いますよ。」
「リルは一昨日来たばかりなのに、もう結婚するのか。兄上の『ひとめぼれ』というやつだな!」
目がキラキラして、すごくテンションが上がってる!
ミカエラもだったけれど、自分の都合のいい方向に話が進んでいると思い込むと、なかなか『違う』と納得してくれないのよね。
早い段階で、ビシッと対処しないと。
「王太子殿下、シャト王子に兄として王族としてお話ください。」
悪役はなすりつけよう。
私が強く否定して、泣かれるのだけは嫌だもの。
「マドーレでは聞いた事がございませんわ。」
拗らせ男の機嫌がかなり悪い。私もムカついて言い返してしまったし、そうなるだろうけど。王子なのだから、女が少し言い返しても、笑って流せる度量はないのかしら。
「シンシア探しの為に私を呼び出されたのであれば、小説を書いている場合ではないと思うのですが…。」
結婚するまでにシアを探すのは構わないけれど、婚約者は結婚よりもかなり前に決まると思うのよね。既に、日暮の宮にはお嬢様が半年も閉じ込められているのだし…。王太子と婚約出来なかった場合、別の相手を探さないといけないしね。
コンコン
「兄上」
拗らせ男の執務室のドアの向こうから、可愛いシャト王子の声が聞こえた。
この国で、唯一の私の癒し!!
顔を見たい!
お話したい!
一緒に遊びたい!
部屋の中にいる近衛がドアを開けると、ヒョコっと中を覗くシャト王子。
可愛すぎる!
「あっ!リルっ!!」
私を見て、王子は走って抱きついてきた。
「兄上と一緒に寝てたのか?では、姉上になるのだな!」
「いえ、違います。私は」
「朝ごはんを一緒に食べるぞっ!!」
目をキラキラさせて、とても可愛い。可愛すぎる!!
いや、それよりも、早く誤解をとかないと!
「シャト王子、私は王城で王子と食事をとる事は出来ないのです。」
「何でだ?」
「家族ではないからです。」
「でも、兄上と一緒に過ごしたのだから、もうオレの姉上だし家族だぞ。」
「一緒に過ごしたわけではなく、つい先ほど、カーライル殿下に呼びたされたのです。」
「さては、愛の告白だな!」
「違いますよ。」
「リルは一昨日来たばかりなのに、もう結婚するのか。兄上の『ひとめぼれ』というやつだな!」
目がキラキラして、すごくテンションが上がってる!
ミカエラもだったけれど、自分の都合のいい方向に話が進んでいると思い込むと、なかなか『違う』と納得してくれないのよね。
早い段階で、ビシッと対処しないと。
「王太子殿下、シャト王子に兄として王族としてお話ください。」
悪役はなすりつけよう。
私が強く否定して、泣かれるのだけは嫌だもの。
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