初恋をこじらせてる王太子の婚約者候補になりました

シンさん

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小屋2

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朝食前に拗らせ男に呼び出されたと思ったら…いきなりお説教がはじまった。

「俺を馬鹿にしているのか?」
「一体、何のお話でしょうか?」
「これだ。」

拗らせ男は、3冊目のノートを床にポイっと放り投げた。

「書き直せ。」
わたくしが書いたお話がお気に召さなかったという事でしょうか?」

まさか、シアとのハッピーエンドが気に入らないなんて思わなかったわ。一体、何を書けば満足してくれるの。

「2冊目と3冊目、どう解釈しても同じ話の続きだとは思えない。」
「そんな事はございません。」

シアと王子が結婚…という結末は同じだもの。

「1冊目と2冊目には、シアの産まれた国の情勢について少し書かれていた。」
「はい。」
「その部分が3冊目には、一切書かれていない。馬鹿みたいな恋愛話ばかり。」

シアを探してる貴方の存在が、既に馬鹿な恋愛話を体現していると思うのだけど…。

わたくしの書くお話がつまらないのであれば、お気に入りの作家に書かせて下さい。わたくしは素人ですので、王太子殿下の期待にそうお話など書けません。」
「俺はジブリール、君に書けと言っている。」
「……」

炎のように赤い瞳なのに、視線は本当に凍りつくくらい冷たいわね。子供の頃に本で読んだ、人を石にしてしまう化け物みたいだわ。
…って、言ってやりたい。

けど我慢よ。この拗らせ男は、カポネの王太子様なんだから。

「おい、聞いてるのか?」
「はい。続きですね。承知しました。でしたら、王太子様がお持ちのわたくしの2冊のノートを返して下さいますか。」
「何故だ?」
「続きを書くのに必要だからです。ご要望の、を書くために。」
「自分で書いたのだから、記憶しているだろう。」
わたくし物覚えが良くないのです。」
「そんな顔をしているな。」

そんな顔ってどんな顔よ。

「ありがとうございます。人を見た目で判断出来るのであれば、話は早いですわね。ノートを返してください。」
「嫌味か?」
「いえ、ご聡明だと申し上げているのですわ。」
「嘘だな。君は俺を褒めるような性格ではない。」
「はい、正直だけが取り柄ですので。」

貴方に褒める要素が1つも無いだけよ。
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