初恋をこじらせてる王太子の婚約者候補になりました

シンさん

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シアを探せ3

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「クララ、城内のどこまでなら自由に出歩いても大丈夫なの?」

城に勝手に入る事は許されないけれど、宮の外に出ちゃ駄目って事はないよね。

「四方に木の柵が立ててありますので、そこまででしたら可能です。」
「城外に出たい時は、自由に出られるの?」
「許可が出れば可能です」
「そうなの。」

宮に戻ったら申請してみよう。

「少し散歩をするわ。」
「はい。」

暫く歩いていると、木が沢山生えている。

「ここも、日暮の宮の庭なの?」
「はい。」

この城ってどれだけ広いのかしら…。


5分ほど歩いているけど、私達はまだ木々の中にいた。

結構深い森だわ。奥に進むにつれて木や土の匂いが濃くなるし、ひんやりしてて気持ちが良い。

そばに咲いている青い花を触ろうとすると、クララにガシッと手首を掴まれた。

「触るとかぶれます。」
「そうなの?」
「はい。」
「こっちは?」

隣にも似たような花がある。

「それは問題ありません。」

クララ、よく知ってるわね。植物が好きなのかしら。

「もう少し奥に進むと白い花が咲いています。花粉を大量に吸い込むと危険ですので、ここから奥へは行かないようお願いします。」
「その花粉を吸い込んだら、どんな風になるの?」
「欲求を満たそうとする気持ちが強くなるらしいです。」
「自分を抑えられなくなるという事?」
「はい。」

誰かを憎んでる人が手に入れると危ないわよね。

「女性がわざとこの花粉を男性に吸わせる事がある…と聞いた事がございます。」
「なぜ?」

こんなものを何に使うのかしら。

「好きでない女性相手でも、距離をつめられれば性的欲求は多少出てきますので、それを利用するのだと思われます。」

まぁ、触れたり触れられたりすると欲情する男はいるでしょうね。だからこそ、女を売る商売を規制してもなくならないんだもの。

「……まさか、既成事実を作って無理矢理嫁ぐという事?」
「そのようです。」
「その花、放置しておいていいの?王太子様が狙われるわよ。」

妻としか閨を過ごさないって言ってたし、なら既成事実を作られればいくらでも脅せるよね。

「宮にいるお嬢様の中に、この森に来る方はいませんので。」
「そうね…」

2日目にして森に踏み込んでる私に対しての嫌味なのかしら。
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