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失礼な王子2

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日暮の宮には、既に婚約者候補っぽいお嬢様が何人かいる。
服装から察するに3人ね。
くつろいでる所を見ると、結構前から住んでそうよね。

「ねぇ、私以外の候補者でここに来ていない人は何人いるの?」
「いません。マカロン様が最後の1人でございます。」

と言うことは、既に仲良しグループが出来ている…。

「皆さん、いつからここに?」
「半年ほど前です。」
「……」

結構前から集められてるよね。
もう、拗らせ男の意思など無視して決めちゃえばいいのに。

「貴女がマドーレから来た婚約者候補?」

前髪パッツンのお嬢様に話しかけられた。

「はい、ジブリール・マカロンと申します。よろしくお願いいたします。」

虐められないためには、毎日平凡に過ごす。それが、最重要事項よ。

「マカロン様、カーライル殿下にお渡しするノートはこちらで間違いありませんか?」
「……ええ。」

ターセル…この男……絶対にわざとだわ。
確認しなくても、持ち物は肖像画とそれしか無いのだから解るはず。それを、今ここで言う必要はないよね。
さっきの言葉で怒ってるのかしら。騎士のくせに小さい男ね。

「貴女、カーライル様に何かお渡しするの?」
「私達は全て断られているのに…」
「ノートって、まさか日記のやり取りに使うのかしら。」

あぁ…、これは虐めの標的決定だわ。
婚約有力候補の派閥に属せばいいと思っていたのに、特別扱いのような事をされている女だと知れば許すはずがない。

「ノートには何が書いてあるのですか?」

前髪パッツンの隣にいる金髪ツインテールが不機嫌そうに聞いてきた。

小説だなんて、恥ずかしくて言えない。
ここで言ってしまえば、拗らせ男が私の書いた小説を読む事を教えるのと同じ。
そうなると、殺される可能性もある。

「内容は他言無用と命じられていますので…。」
「貴女、もしかしてカーライル様と直接お話をしたの?」
「はい。挨拶しました。」

それくらい皆するでしょ。
団体か個人かはわからないけれど、私は最後の1人だから必然的に1人で挨拶になってしまったけれど。


「ここにカーライル殿下が来…」

る事はありますよね?…と聞こうとしたけれど、候補者達の顔を見て途中で止めた。

来ないんだ…。
駄目だ…、全然前向きに生きてない。子供の頃の初恋の女を諦められない男。
想像はるかに越える拗らせ具合…。
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