いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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貴方に勝利の口づけを3

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鍔迫り合い。

「やっぱり、魔術ってやつは俺にはきかない。」
「なら、お前も化け物か?」

鉄がぶつかり合うような音がする。
魔術は無くても、ルシアは強いのは見てればわかる。

「くっ!!」
アイクがおされてる。
シュっとルシアが払った剣の切っ先がアイクの左腕をかすった。
白い上着に、血の赤が目立つ。

剣をはらってるけど、アイクは攻撃は出来てない…っ!
このままじゃ駄目!!アイクが死んじゃうっ!!

ルシア…
この男を剣で触れても大丈夫なら、後ろから刺したい。
けど、それが出来るくらいなら、ノートンがしてる。
…皆、あまり自由に動けないんだ。


私は魔術をとく靴を履いていないし、ルシアに触ったら死ぬかもしれない。
けど、アイクだっていつまでももちそうにない!

この男は私の髪を切った。ナイフは腰についてる。懐に隠さずベルトに。

「……くっ」
「…そろそろ最後だ。」

アイクが死ぬくらいなら、私がこの男を殺す!もし一瞬で自分が死んでしまって役にたたなくても、私は後悔しない!

私を迎えに、『怖いやつ』から助けに来てくれた。もう、それだけでいい!!

私の大切な人は私が助ける!


2人が剣を押し合ってる時に、ナイフを奪おうとベルトに手をかけた。
ドンッ
「…っ!?」
それに気がついたルシアに、私は5メートルほど突き飛ばされた。

触れられたところが熱い。魔術?魔力?よくわからないけど、人間の力じゃない。
お腹が熱い。煮えたぎったみたいに熱いっ!!
でもナイフはとれた…
体を起こして、薄くなる視界に入るのは、アイクの剣がルシアの体を突き刺しているところ。

私に気をとられた隙に刺したんだ…。
よかった…アイクが生きてる……。
「ドロシーっ!!」
「……」
アイクに名前を呼ばれたけど、すぐに目の前が真っ暗になって意識がなくなった。



「ドロシーっ!目を覚ませっ!!」
ルシアを殺すと、城は真っ白に戻ったのに、ドロシーだけは目覚めない。

俺が履いてるのは魔術をとく靴。

誰にも何も言われないけれど、この靴を履かせればいい。そうすればドロシーは目覚める。そう思った。

「ドロシー」

俺が履いてた靴をドロシーに履かせると、何故かぴったりサイズがあった。


「……?」
「ドロシーっ!」
「アイク…」
「『怖いやつ』は倒したぞ。俺と城に帰ろう。」

そう言って、アイクはゆっくり私を起こしてくれた。

「……」

「返事は?」

少しムスっとしてる顔が子供のアイクみたいで可愛い。

「ふふ…」

顔を覗きこんでるアイクに私は軽く口づけした。

「助けてくれてありがとう。」

「…え……あ…はい。」

「何、その反応。」

「いや、だってドロシーが俺に口付けすると思わないから…。」

アイクならきっと言う。

「勝ったから、『おめでとうのちゅー』だ。」

「それは…子供の俺は言いそうだな。」

「絶対言うよ。」

「だな。」

そう言って、私達は顔を見合わせて笑った。



「2人の世界に浸るのもいいが、傷の手当てもあるから、そろそろ現実に戻ってくれるか?」
「…っ!?」
そうだった、ここには皆いるんだった。
「ノートン、本当に嫌な奴だな。せっかくドロシーが口づけしてくれたのに…」

「では言っておく。ドロシーの顔は早く冷やさないとかなり腫れるぞ。いいのか?」
「っそれは駄目だ!!」
「わっ!?」

アイクが勢いよく私を抱えた。

「おろして!私は歩けるよ!!」

私が言っても無視して、部屋まで運ばれた。
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