52 / 57
チョコレート色の靴をはいて3
しおりを挟む
あれから、キラという女は来なくなった。
お母様は、『キアラは絶対に助けるから待っていて欲しい』…と毎日言ってくれる。手紙の書き方や暗号を教えてくれた。アイクにも暗号表を渡しておく…と。
無理だろうけど、その気持ちは嬉しかった。
ルートニアを離れてから今日で21日。明日ノツメの王子が来るらしい。
そんな事は関係ない。私は今日も靴を作る。
型も何もないから、頭に入ってる物を作る。
魔術の靴。あの靴は物凄く難しかった。だけど何足も作った。色を変えてみたり素材を変えてみたり。
だから、もう感覚で作れる。
・・・・
ドロシーが国を出て22日たっている。
俺が15日寝ていた。そして今日リタンに着いたのは7日たってからだ。
「アイク、城に正面から突っ込むのか?」
「当然だろ。俺達は国王からの遣いだ。何のためにこんな堅苦しい服に着替えたと思ってる。」
リタンの城に近付く前に、国からの遣いと思わせる為に服を着替え、確認の為の札も用意した。
「誰だお前は。」
「ルートニアからの使者だ。我が国の王から至急に伝えたい事がある。」
「今日は駄目だ。何があっても取り次ぐなと言われている。」
「……」
ルシアが来てる。だから取り次がない。今ならまだドロシーを取り戻せる!!
・・・・
何を考えたら黒のドレスを着せて異国に送ろうと思うんだろう。この国の人のセンスを疑うわ。
支度が出来たらすぐに綺麗な部屋に案内された。
ここは謁見の間…というものなのかもしれないわね。
そこにいた男はアイクが言ってた『怖いやつ』と同じ、茶色の長髪の男。
その男は私を笑顔で迎えた。
「君がキアラ?随分悲惨な目にあっていたらしいね。今日からノツメで幸せに暮らそう。」
「初めまして、キアラです。こちらこそよろしくお願いします。」
バチンッ
「痛っ…」
普通に挨拶したのが気に食わなかったのか、私はいきなり殴られた。平手でも男は痛いわね。
まぁ、借金取りに殴られた時の方が痛かったのを考えれば、手加減はしてるんでしょうけど。
「反応が薄い。それはそれで面白いかもしれない。」
「…」
「誰が返事をしなくていいと言った?」
「…っ!?」
シュッと音がしたと思ったら、ナイフを抜いた音だった。
「っっ!?」
何をされたか、床に髪の毛が落ちてやっとわかった。
髪を切られた。
「ちょうど髪を切ろうと思っていたのです。ルシア様、ありがとうございます。感想を述べましたので、これで満足いただけましたか?」
どうせ何をしても気に食わないんでしょうけどね。
バキッ
「っっ!!」
「生意気だな。」
「…その女と結婚するのでしょう。奇特な方ですわね。」
まさか、ここでこんなに殴られるなんて。
久しぶりに鼻と口から血が出たわ。ハンカチなんて持ってないし、血はドレスの袖ふけばいいか。
駄目だ、結構口が切れてる…血が口にたまる。
「ぺっ!」
この感じ、久しぶりだわ。
借金取りに死ぬほど殴られて、今度は金持ちに殴られるなんて、笑える。
何が気に食わないのか、また殴ろうとしてきたからかわした。
「はぁ…。痛いので止めていただけますか。こういうくだらない事は。」
さっさと話しを進めなさいよ。これ以上殴られるのはごめんだわ。
ああ…、この様子だと国は本当に乗っ取られるわね。
王様、震えて真っ青じゃない。
なんて情けない男なの。
お母様は、『キアラは絶対に助けるから待っていて欲しい』…と毎日言ってくれる。手紙の書き方や暗号を教えてくれた。アイクにも暗号表を渡しておく…と。
無理だろうけど、その気持ちは嬉しかった。
ルートニアを離れてから今日で21日。明日ノツメの王子が来るらしい。
そんな事は関係ない。私は今日も靴を作る。
型も何もないから、頭に入ってる物を作る。
魔術の靴。あの靴は物凄く難しかった。だけど何足も作った。色を変えてみたり素材を変えてみたり。
だから、もう感覚で作れる。
・・・・
ドロシーが国を出て22日たっている。
俺が15日寝ていた。そして今日リタンに着いたのは7日たってからだ。
「アイク、城に正面から突っ込むのか?」
「当然だろ。俺達は国王からの遣いだ。何のためにこんな堅苦しい服に着替えたと思ってる。」
リタンの城に近付く前に、国からの遣いと思わせる為に服を着替え、確認の為の札も用意した。
「誰だお前は。」
「ルートニアからの使者だ。我が国の王から至急に伝えたい事がある。」
「今日は駄目だ。何があっても取り次ぐなと言われている。」
「……」
ルシアが来てる。だから取り次がない。今ならまだドロシーを取り戻せる!!
・・・・
何を考えたら黒のドレスを着せて異国に送ろうと思うんだろう。この国の人のセンスを疑うわ。
支度が出来たらすぐに綺麗な部屋に案内された。
ここは謁見の間…というものなのかもしれないわね。
そこにいた男はアイクが言ってた『怖いやつ』と同じ、茶色の長髪の男。
その男は私を笑顔で迎えた。
「君がキアラ?随分悲惨な目にあっていたらしいね。今日からノツメで幸せに暮らそう。」
「初めまして、キアラです。こちらこそよろしくお願いします。」
バチンッ
「痛っ…」
普通に挨拶したのが気に食わなかったのか、私はいきなり殴られた。平手でも男は痛いわね。
まぁ、借金取りに殴られた時の方が痛かったのを考えれば、手加減はしてるんでしょうけど。
「反応が薄い。それはそれで面白いかもしれない。」
「…」
「誰が返事をしなくていいと言った?」
「…っ!?」
シュッと音がしたと思ったら、ナイフを抜いた音だった。
「っっ!?」
何をされたか、床に髪の毛が落ちてやっとわかった。
髪を切られた。
「ちょうど髪を切ろうと思っていたのです。ルシア様、ありがとうございます。感想を述べましたので、これで満足いただけましたか?」
どうせ何をしても気に食わないんでしょうけどね。
バキッ
「っっ!!」
「生意気だな。」
「…その女と結婚するのでしょう。奇特な方ですわね。」
まさか、ここでこんなに殴られるなんて。
久しぶりに鼻と口から血が出たわ。ハンカチなんて持ってないし、血はドレスの袖ふけばいいか。
駄目だ、結構口が切れてる…血が口にたまる。
「ぺっ!」
この感じ、久しぶりだわ。
借金取りに死ぬほど殴られて、今度は金持ちに殴られるなんて、笑える。
何が気に食わないのか、また殴ろうとしてきたからかわした。
「はぁ…。痛いので止めていただけますか。こういうくだらない事は。」
さっさと話しを進めなさいよ。これ以上殴られるのはごめんだわ。
ああ…、この様子だと国は本当に乗っ取られるわね。
王様、震えて真っ青じゃない。
なんて情けない男なの。
1
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された王太子妃候補は第一王子に気に入られたようです。
永野水貴
恋愛
侯爵令嬢エヴェリーナは未来の王太子妃として育てられたが、突然に婚約破棄された。
王太子は真に愛する女性と結婚したいというのだった。
その女性はエヴェリーナとは正反対で、エヴェリーナは影で貶められるようになる。
そんなある日、王太子の兄といわれる第一王子ジルベルトが現れる。
ジルベルトは王太子を上回る素質を持つと噂される人物で、なぜかエヴェリーナに興味を示し…?
※「小説家になろう」にも載せています
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。
克全
恋愛
「余はカチュアとの婚約を破棄する」
王太子殿下に一方的に婚約を破棄されたのは、公爵家令嬢のカチュア・サライダだった。
彼女は前世の記憶を持って転生した、水乙女という、オアシス王国にはなくてはならない存在だった。
精霊に祈りを捧げ、水を湧かせてもらわないと、国が亡ぶのだ。
だが事情があって、カチュアは自分は水乙女であることを黙っていた。
ただ、愛する人や民の為に祈り続けていた。
カチュアとの婚約解消を言い放った王太子殿下は、自分に相応しい相手は水乙女しかいないと、一人の女性を側に侍らせるのだった。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
死に戻り王妃はふたりの婚約者に愛される。
豆狸
恋愛
形だけの王妃だった私が死に戻ったのは魔術学院の一学年だったころ。
なんのために戻ったの? あの未来はどうやったら変わっていくの?
どうして王太子殿下の婚約者だった私が、大公殿下の婚約者に変わったの?
なろう様でも公開中です。
・1/21タイトル変更しました。旧『死に戻り王妃とふたりの婚約者』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる