いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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チョコレート色の靴をはいて2

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リタンに来て幽閉されていたけど、靴を作る事は出来るから構わない。『靴を履いて大人になった』と、アイクから文が届く時がくるなら他に何もいらない。

何故かこの城でも靴を作るのに普通より時間がかからない。


王妃様は空いている時間に必ず来てくれる。

「キアラ…ごめんなさい。私が目を離さなければ。」
そういって、ずっと泣いている。全く彼女のせいじゃないのに。

「泣かないで下さい。私は生きていますし。」

それに、嫌な事は沢山あったけど、アイクにも…アンドリュー様にも会えた。これが私の人生の中できっと1番の幸せ。

「ノツメの第2王子は本当に恐ろしい男なの。何かあれば私宛に手紙を送ると約束して。」

「ええ。そうします。」

王妃様の顔を見れば、どれほど恐ろしい男なのか伝わってくる。

「それから、もしアイザック様とやり取りするのであれば、何か暗号のような物で…まずは、あぶり出しの手紙を私宛に送ってくれれば、アイザック様へ渡します。」

「ありがとうございます。…お母様」

「キアラにお母様と呼んでもらえる日が来るだなんて…。本当に幸せだわ。」

恥ずかしいけど、私を心配してくれるのはとても分かる。きっと私が欲しかった母親というのはこういう人。


それ以外の時間を狙って必ず来る女がいる。
私の姉だという女だ。同じ顔をしてる事に嫌気がさす。

バタン
大きな音をたてて、キラという女が私の部屋に入ってきた。

「あんたが生きててくれて助かったわ。私が殺人王子の所に嫁がなくていいように神様が守ってくれたんだわ。」

「そうね。」

いつもいつも何をしに来るのかしら。この人は私に何をしたいのかしら。

「アイザック様にお会いした事があるけど、素敵な人ね。お父様は私が彼と結婚できるようにするって言ってくれたわ。」

「…あなた本当に昔から馬鹿よね。」

「何ですって!!」

「アイクと結婚?出来るわけないじゃない。ノツメという国はルートニアと敵対してるのでしょう。リタンの女と敵国の王子との縁談がすんでるのに、アイクと結婚する事なんて出来るはずないでしょう。」

「そんな事ないわ!お父様は何でもできるんだから!」

「…この国はノツメとかいう国に乗っ取られるわね。」

「っ貧乏な生活してた女に何がわかるのよっ!」

「その貧乏の女でさえ解る事が解らないから、第2王子との縁談しかこないのよ。完全になめられてるじゃない。」


「フフ、強がってられるのも今のうちよ!あの男は以前決まっていた婚約者を殴り殺したのよ。あんたもそうなるのよ。」

この国の姫なら殺しても問題ないと思われている。だから婚約をしようとしているのよ。何故解らないのか、それこそ解らないわ。


「ノツメの第1王位継承権をもつ王子は貴女を選ばなかった。リタンなんて2番目でも十分だって思われたのよ。」

「…っ」

「アイクは王太子よ、他の国の姫と結婚しようと思えばいくらでも出来るわよ。なのに、貴女なんか選ぶわけないでしょう。何の得にもならない。他の国の姫と結婚して国の力を強めるわよ。」

パチンッ
「…っ」
私の話を聞くのが耐えられなかったのか、姉だという女におもいきり右頬を打たれた。

「そうやって、気に入らなければすぐに暴力をふるう。私を突き飛ばしたのも、メイドを蹴っていたのを止めたのが気に入らなかったのでしょう。」

だんだん、忘れていた事を思い出してきた。

「ムカつくのよ!昔からまわりはあんたばっかり贔屓ひいきして!!」

「…あんたが暴力を振るわなければ、私より可愛がられてたわよ。何でも出来る頭のいい姫だったんだから。今は全てにおいて残念な子ね。何故そんな風になってしまったの…。」
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