51 / 57
チョコレート色の靴をはいて2
しおりを挟む
リタンに来て幽閉されていたけど、靴を作る事は出来るから構わない。『靴を履いて大人になった』と、アイクから文が届く時がくるなら他に何もいらない。
何故かこの城でも靴を作るのに普通より時間がかからない。
王妃様は空いている時間に必ず来てくれる。
「キアラ…ごめんなさい。私が目を離さなければ。」
そういって、ずっと泣いている。全く彼女のせいじゃないのに。
「泣かないで下さい。私は生きていますし。」
それに、嫌な事は沢山あったけど、アイクにも…アンドリュー様にも会えた。これが私の人生の中できっと1番の幸せ。
「ノツメの第2王子は本当に恐ろしい男なの。何かあれば私宛に手紙を送ると約束して。」
「ええ。そうします。」
王妃様の顔を見れば、どれほど恐ろしい男なのか伝わってくる。
「それから、もしアイザック様とやり取りするのであれば、何か暗号のような物で…まずは、あぶり出しの手紙を私宛に送ってくれれば、アイザック様へ渡します。」
「ありがとうございます。…お母様」
「キアラにお母様と呼んでもらえる日が来るだなんて…。本当に幸せだわ。」
恥ずかしいけど、私を心配してくれるのはとても分かる。きっと私が欲しかった母親というのはこういう人。
それ以外の時間を狙って必ず来る女がいる。
私の姉だという女だ。同じ顔をしてる事に嫌気がさす。
バタン
大きな音をたてて、キラという女が私の部屋に入ってきた。
「あんたが生きててくれて助かったわ。私が殺人王子の所に嫁がなくていいように神様が守ってくれたんだわ。」
「そうね。」
いつもいつも何をしに来るのかしら。この人は私に何をしたいのかしら。
「アイザック様にお会いした事があるけど、素敵な人ね。お父様は私が彼と結婚できるようにするって言ってくれたわ。」
「…あなた本当に昔から馬鹿よね。」
「何ですって!!」
「アイクと結婚?出来るわけないじゃない。ノツメという国はルートニアと敵対してるのでしょう。リタンの女と敵国の王子との縁談がすんでるのに、アイクと結婚する事なんて出来るはずないでしょう。」
「そんな事ないわ!お父様は何でもできるんだから!」
「…この国はノツメとかいう国に乗っ取られるわね。」
「っ貧乏な生活してた女に何がわかるのよっ!」
「その貧乏の女でさえ解る事が解らないから、第2王子との縁談しかこないのよ。完全になめられてるじゃない。」
「フフ、強がってられるのも今のうちよ!あの男は以前決まっていた婚約者を殴り殺したのよ。あんたもそうなるのよ。」
この国の姫なら殺しても問題ないと思われている。だから婚約をしようとしているのよ。何故解らないのか、それこそ解らないわ。
「ノツメの第1王位継承権をもつ王子は貴女を選ばなかった。リタンなんて2番目でも十分だって思われたのよ。」
「…っ」
「アイクは王太子よ、他の国の姫と結婚しようと思えばいくらでも出来るわよ。なのに、貴女なんか選ぶわけないでしょう。何の得にもならない。他の国の姫と結婚して国の力を強めるわよ。」
パチンッ
「…っ」
私の話を聞くのが耐えられなかったのか、姉だという女におもいきり右頬を打たれた。
「そうやって、気に入らなければすぐに暴力をふるう。私を突き飛ばしたのも、メイドを蹴っていたのを止めたのが気に入らなかったのでしょう。」
だんだん、忘れていた事を思い出してきた。
「ムカつくのよ!昔からまわりはあんたばっかり贔屓して!!」
「…あんたが暴力を振るわなければ、私より可愛がられてたわよ。何でも出来る頭のいい姫だったんだから。今は全てにおいて残念な子ね。何故そんな風になってしまったの…。」
何故かこの城でも靴を作るのに普通より時間がかからない。
王妃様は空いている時間に必ず来てくれる。
「キアラ…ごめんなさい。私が目を離さなければ。」
そういって、ずっと泣いている。全く彼女のせいじゃないのに。
「泣かないで下さい。私は生きていますし。」
それに、嫌な事は沢山あったけど、アイクにも…アンドリュー様にも会えた。これが私の人生の中できっと1番の幸せ。
「ノツメの第2王子は本当に恐ろしい男なの。何かあれば私宛に手紙を送ると約束して。」
「ええ。そうします。」
王妃様の顔を見れば、どれほど恐ろしい男なのか伝わってくる。
「それから、もしアイザック様とやり取りするのであれば、何か暗号のような物で…まずは、あぶり出しの手紙を私宛に送ってくれれば、アイザック様へ渡します。」
「ありがとうございます。…お母様」
「キアラにお母様と呼んでもらえる日が来るだなんて…。本当に幸せだわ。」
恥ずかしいけど、私を心配してくれるのはとても分かる。きっと私が欲しかった母親というのはこういう人。
それ以外の時間を狙って必ず来る女がいる。
私の姉だという女だ。同じ顔をしてる事に嫌気がさす。
バタン
大きな音をたてて、キラという女が私の部屋に入ってきた。
「あんたが生きててくれて助かったわ。私が殺人王子の所に嫁がなくていいように神様が守ってくれたんだわ。」
「そうね。」
いつもいつも何をしに来るのかしら。この人は私に何をしたいのかしら。
「アイザック様にお会いした事があるけど、素敵な人ね。お父様は私が彼と結婚できるようにするって言ってくれたわ。」
「…あなた本当に昔から馬鹿よね。」
「何ですって!!」
「アイクと結婚?出来るわけないじゃない。ノツメという国はルートニアと敵対してるのでしょう。リタンの女と敵国の王子との縁談がすんでるのに、アイクと結婚する事なんて出来るはずないでしょう。」
「そんな事ないわ!お父様は何でもできるんだから!」
「…この国はノツメとかいう国に乗っ取られるわね。」
「っ貧乏な生活してた女に何がわかるのよっ!」
「その貧乏の女でさえ解る事が解らないから、第2王子との縁談しかこないのよ。完全になめられてるじゃない。」
「フフ、強がってられるのも今のうちよ!あの男は以前決まっていた婚約者を殴り殺したのよ。あんたもそうなるのよ。」
この国の姫なら殺しても問題ないと思われている。だから婚約をしようとしているのよ。何故解らないのか、それこそ解らないわ。
「ノツメの第1王位継承権をもつ王子は貴女を選ばなかった。リタンなんて2番目でも十分だって思われたのよ。」
「…っ」
「アイクは王太子よ、他の国の姫と結婚しようと思えばいくらでも出来るわよ。なのに、貴女なんか選ぶわけないでしょう。何の得にもならない。他の国の姫と結婚して国の力を強めるわよ。」
パチンッ
「…っ」
私の話を聞くのが耐えられなかったのか、姉だという女におもいきり右頬を打たれた。
「そうやって、気に入らなければすぐに暴力をふるう。私を突き飛ばしたのも、メイドを蹴っていたのを止めたのが気に入らなかったのでしょう。」
だんだん、忘れていた事を思い出してきた。
「ムカつくのよ!昔からまわりはあんたばっかり贔屓して!!」
「…あんたが暴力を振るわなければ、私より可愛がられてたわよ。何でも出来る頭のいい姫だったんだから。今は全てにおいて残念な子ね。何故そんな風になってしまったの…。」
1
お気に入りに追加
549
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる