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魔術
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朝、綺麗な服を着せら馬車が待つ所へ向かった。
「いやだぁぁぁっ!!ドロシーはずっとオレと一緒にいるんだぁぁっー!けっこんしたんだぁーーっうわあああん!」
「アイク…」
「どろしぃぃぃぃー」
「帰ってくるから泣かないで。」
「わぁぁあーんっ!!」
「絶対に帰ってくるから」
「ぅぅ…っほっんとか?…夫にっウソはダ…メなんだぞっ!」
「アイク、こっち向いて。」
「かえってくるのか…?」
「うん、約束する。」
私はアイクの唇にチュと口づけた。
「『特別な約束のちゅー』だよ。何があっても絶対帰ってくるからね」
「ぜったい…だぞ!!」
「うん。」
「皆さん、今日までありがとうございました。」
「…やっぱりいったらダメだ…。怖いやつの所にいったらダメだ…」
「大丈夫、怖いやつの所じゃないよ…」
「違うっ!アイツは怖いやつなんだ!!」
「…アイザック、ドロシーから離れなさい。」
私に抱きついていたアイクを陛下が引き離した。
いつまでも馬車にのらない訳にもいかないよね。
「アイク、行ってくるね。」
「うわあああっ!!いやだーーっ!!どろしぃぃー!!」
「ごめんなさい。もう出発してください。……うぅ……っ…アイ…ク……」
絶対帰ってこれるかなんてわからない。
ううん、多分帰ってこれない。
だって、もしこれが魔術だったとしたなら、私とアイクを会わせてくれるわけがない。
魔術の7つ道具は諸刃の剣
同じ傷をおう。
幸せになるために…不幸を振り払おうと刃を向ければ、その刃は私にもまた傷をつける。幸せにだけなる、そんな事は出来ないのよ。
忘却…
思い出さなくてよかったのに
真実…
こんなものいらなかったのに
諸刃の剣…
不幸にしかなれないなら。
靴を作ろう。何があっても…アイクが大人になれるまで…。指がとれたって、腕がなくなったって、例えどんな事があっても…。
アンドリュー様は私を迎えに来る事は出来ない。影であっても、アイクが子供の姿の間は『アイザック王太子』だしね。それは仕方ない事、最初から解ってたけど『迎えに来てくれる』っていう希望がなければやっていけない。
靴は完成しなかったけど…。
……見送りにくらいは来て欲しかったかな。
城の殆どの人が見送りに来てくれたけど、アンドリュー様は来てくれなかった。
馬車の中で言われた。私は『キアラ』という名前らしい。
しっくりこない。
あの人達につけられた『ドロシー』という名前なんて捨てたいと思っていたけど、呼ぶ人が違えば全然違うものに聞こえた。だからこれからも、私の名前はドロシー。『キアラ』じゃない
15日ほどでリタンにはついた。
そこには王妃様がいて、その隣には私と同じ顔をした子が、気持ち悪い笑顔をうかべていた。
「キアラっ!!生きていて本当に良かった!!」
王妃様は泣いて喜んでいるように見える。
けれど、これも本心なのか分からない。信じられるものなんて、この国に何1つない。
「王妃様、これを陛下に渡していただけますか…?」
帰り際、陛下に渡された書状。何が書いてるのか、それは教えて貰うことはできなかった。
それはそうだよね。王様どうしでやり取りする内容を、私が知れるはずがない。
「いやだぁぁぁっ!!ドロシーはずっとオレと一緒にいるんだぁぁっー!けっこんしたんだぁーーっうわあああん!」
「アイク…」
「どろしぃぃぃぃー」
「帰ってくるから泣かないで。」
「わぁぁあーんっ!!」
「絶対に帰ってくるから」
「ぅぅ…っほっんとか?…夫にっウソはダ…メなんだぞっ!」
「アイク、こっち向いて。」
「かえってくるのか…?」
「うん、約束する。」
私はアイクの唇にチュと口づけた。
「『特別な約束のちゅー』だよ。何があっても絶対帰ってくるからね」
「ぜったい…だぞ!!」
「うん。」
「皆さん、今日までありがとうございました。」
「…やっぱりいったらダメだ…。怖いやつの所にいったらダメだ…」
「大丈夫、怖いやつの所じゃないよ…」
「違うっ!アイツは怖いやつなんだ!!」
「…アイザック、ドロシーから離れなさい。」
私に抱きついていたアイクを陛下が引き離した。
いつまでも馬車にのらない訳にもいかないよね。
「アイク、行ってくるね。」
「うわあああっ!!いやだーーっ!!どろしぃぃー!!」
「ごめんなさい。もう出発してください。……うぅ……っ…アイ…ク……」
絶対帰ってこれるかなんてわからない。
ううん、多分帰ってこれない。
だって、もしこれが魔術だったとしたなら、私とアイクを会わせてくれるわけがない。
魔術の7つ道具は諸刃の剣
同じ傷をおう。
幸せになるために…不幸を振り払おうと刃を向ければ、その刃は私にもまた傷をつける。幸せにだけなる、そんな事は出来ないのよ。
忘却…
思い出さなくてよかったのに
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こんなものいらなかったのに
諸刃の剣…
不幸にしかなれないなら。
靴を作ろう。何があっても…アイクが大人になれるまで…。指がとれたって、腕がなくなったって、例えどんな事があっても…。
アンドリュー様は私を迎えに来る事は出来ない。影であっても、アイクが子供の姿の間は『アイザック王太子』だしね。それは仕方ない事、最初から解ってたけど『迎えに来てくれる』っていう希望がなければやっていけない。
靴は完成しなかったけど…。
……見送りにくらいは来て欲しかったかな。
城の殆どの人が見送りに来てくれたけど、アンドリュー様は来てくれなかった。
馬車の中で言われた。私は『キアラ』という名前らしい。
しっくりこない。
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けれど、これも本心なのか分からない。信じられるものなんて、この国に何1つない。
「王妃様、これを陛下に渡していただけますか…?」
帰り際、陛下に渡された書状。何が書いてるのか、それは教えて貰うことはできなかった。
それはそうだよね。王様どうしでやり取りする内容を、私が知れるはずがない。
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