47 / 57
別れの時3
しおりを挟む
「ドロシー、どこか痛いのか?」
「そんな事ないよ。どうして?」
「何だか元気がないように見える。夫は妻を笑顔にしないとダメだからな。」
「夫が笑ってたら、妻もずっと笑ってるよ。」
「ふむ、よろしい。」
絶対泣いてはダメ。アイクが心配するから。
いつものように、アイクはお勉強、私は靴作り。好きな人探しはもう見つかる見込みがないから、出来るだけ靴を作り続けた。
・・・・
リタンへ連れて帰られる。
私はそれを聞いてから、アイクが寝ればすぐに靴をつくりに作業部屋へいって、アイクが目覚める前に部屋に戻って朝食。
靴を作っていない時間は、アイクと過ごしている時間だけになってる。
「ドロシー、少しは休まないと駄目だ。」
「大丈夫。さっき少し寝たしね。」
時間がない。リタンから私を迎えに来る。陛下の様子だと、結構前から私が王女だと知ってたんだと思う。だったら、時間がない。
「ドロシー!」
「っっ!?」
「焦るのは解るし、頑張るのも悪くない。けど、それで体調を崩したらどうにもならない。」
「……そうなんだけど。出来るだけ多く靴を作りたいの。」
「俺の靴を作ってくれればいい。今はそれだけでいい。」
「でも、それじゃアイクが大人になれないよ。」
「大丈夫だ。俺が迎えにいく。」
「……」
「俺がチョコレート色の靴を履いてドロシーを助けに行く、それからでも遅くない。絶対にまた会える。」
「うん、ありがとう。」
「ドロシーは笑ってる方がいい。『怖いやつ』からお姫様を助けて、俺が必ず笑顔にする。」
「ふふ、アイクも同じような事を今日言ってたよ。」
「何を?」
「『夫は妻を笑顔にしないとダメだからな』って。」
「そうか。」
「マイナスに考えても仕方がないないよね。アンドリュー様がアイクとして『結婚して欲しい』ってリタンの人に言ってくれれば、すぐに帰って来れるかもしれないしね。」
そう思いたい…。でも、きっと無理。
アイクがあんなに必死に抱きついてきたのは、『私がとられる』から。
『怖いやつ』に
連れていかれたら、逃げられない。
「そんな事ないよ。どうして?」
「何だか元気がないように見える。夫は妻を笑顔にしないとダメだからな。」
「夫が笑ってたら、妻もずっと笑ってるよ。」
「ふむ、よろしい。」
絶対泣いてはダメ。アイクが心配するから。
いつものように、アイクはお勉強、私は靴作り。好きな人探しはもう見つかる見込みがないから、出来るだけ靴を作り続けた。
・・・・
リタンへ連れて帰られる。
私はそれを聞いてから、アイクが寝ればすぐに靴をつくりに作業部屋へいって、アイクが目覚める前に部屋に戻って朝食。
靴を作っていない時間は、アイクと過ごしている時間だけになってる。
「ドロシー、少しは休まないと駄目だ。」
「大丈夫。さっき少し寝たしね。」
時間がない。リタンから私を迎えに来る。陛下の様子だと、結構前から私が王女だと知ってたんだと思う。だったら、時間がない。
「ドロシー!」
「っっ!?」
「焦るのは解るし、頑張るのも悪くない。けど、それで体調を崩したらどうにもならない。」
「……そうなんだけど。出来るだけ多く靴を作りたいの。」
「俺の靴を作ってくれればいい。今はそれだけでいい。」
「でも、それじゃアイクが大人になれないよ。」
「大丈夫だ。俺が迎えにいく。」
「……」
「俺がチョコレート色の靴を履いてドロシーを助けに行く、それからでも遅くない。絶対にまた会える。」
「うん、ありがとう。」
「ドロシーは笑ってる方がいい。『怖いやつ』からお姫様を助けて、俺が必ず笑顔にする。」
「ふふ、アイクも同じような事を今日言ってたよ。」
「何を?」
「『夫は妻を笑顔にしないとダメだからな』って。」
「そうか。」
「マイナスに考えても仕方がないないよね。アンドリュー様がアイクとして『結婚して欲しい』ってリタンの人に言ってくれれば、すぐに帰って来れるかもしれないしね。」
そう思いたい…。でも、きっと無理。
アイクがあんなに必死に抱きついてきたのは、『私がとられる』から。
『怖いやつ』に
連れていかれたら、逃げられない。
1
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された王太子妃候補は第一王子に気に入られたようです。
永野水貴
恋愛
侯爵令嬢エヴェリーナは未来の王太子妃として育てられたが、突然に婚約破棄された。
王太子は真に愛する女性と結婚したいというのだった。
その女性はエヴェリーナとは正反対で、エヴェリーナは影で貶められるようになる。
そんなある日、王太子の兄といわれる第一王子ジルベルトが現れる。
ジルベルトは王太子を上回る素質を持つと噂される人物で、なぜかエヴェリーナに興味を示し…?
※「小説家になろう」にも載せています
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
死に役はごめんなので好きにさせてもらいます
橋本彩里(Ayari)
恋愛
フェリシアは幼馴染で婚約者のデュークのことが好きで健気に尽くしてきた。
前世の記憶が蘇り、物語冒頭で死ぬ役目の主人公たちのただの盛り上げ要員であると知ったフェリシアは、死んでたまるかと物語のヒーロー枠であるデュークへの恋心を捨てることを決意する。
愛を返されない、いつか違う人とくっつく予定の婚約者なんてごめんだ。しかも自分は死に役。
フェリシアはデューク中心の生活をやめ、なんなら婚約破棄を目指して自分のために好きなことをしようと決める。
どうせ何をしていても気にしないだろうとデュークと距離を置こうとするが……
お付き合いいただけたら幸いです。
たくさんのいいね、エール、感想、誤字報告をありがとうございます!
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
死に戻り王妃はふたりの婚約者に愛される。
豆狸
恋愛
形だけの王妃だった私が死に戻ったのは魔術学院の一学年だったころ。
なんのために戻ったの? あの未来はどうやったら変わっていくの?
どうして王太子殿下の婚約者だった私が、大公殿下の婚約者に変わったの?
なろう様でも公開中です。
・1/21タイトル変更しました。旧『死に戻り王妃とふたりの婚約者』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる