いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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別れの時2

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「私からの話はここまでだ。後は2人で話すといい。」

「はい。では、これで失礼します。」
「………」

部屋を出てすぐに泣いてしまった。我慢できなかった。
「…うう…っやだぁぁ!行き…たくないっ……!」
これなら、あの両親といてアイクの靴を作り続ける方がよかった!この前まで、とても嬉しかったのに、今は前より不幸になるなんて。これも魔術?
『私はどこかのお姫様で王子様が助けてくれる。』
そんなくだらない願望があったから?その王子がアイクなら、なぜ今離れないといけないの?
『20才になったら靴を履いて迎えにいく。』
アイク…貴方は私がいないと20才になれないの。
もし私が側にいられたら、どんな事をしても大人にもどすのに。

「アンドリュー様。私は貴方の為に靴を作るわ。……迎えにきて。」

アイクが言ってた『金髪で碧い目の嫌なやつ』それがアンドリュー様ならよかったのに。私をとろうとする、捕まえようとする人は、なんでそっちにならなかったんだろう。『怖いやつ』の方になってしまったんだろう。

プロポーズされて困ってたのに、都合の良い事ばかり考えてしまう…。

「ドロシー…」
アンドリュー様が抱き締めてくれた。
…甘い香りがする。そういえば、アイクも甘い匂いがしてた。チョコレートみたいに甘い香り。
「…今日もチョコを持ってるの?」
「いや、持ってない。…こんな時こそあれば良かったな。」
「ううん、違うの。アンドリュー様もアイクに似た香りがするから。顔が似てると、全部似るのかな?」
「……そう…なんだろうな。」

泣いたら少しだけ楽になった。
「アンドリュー様、私は作業場にもどるね。…いつもありがとう。」

頭を下げて、すぐに作業部屋まで走った。止まってたと思った涙はすぐに溢れてきた。

今日から私は寝ない。時間はない。

・・・・



「おはようございます。アイザック様。」
「んん…ドロシー?…ノートン、ドロシーはどこだ?おはようのちゅーをしてないのにいないぞ。」

「もう靴を作ってますよ。」
「む、俺を置いてきぼりにするなんて。」
「すぐに呼んできますので、朝食にしましょう。」
「ふむ。今日はオレがドロシーを迎えにいくぞ。」

「……そうしましょう。」



元気なアイクを見ていると、もうすぐドロシーと別れる時が来るなんて考えたくない。
そうノートンは思った。
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