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帰したくない3
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「む……」
朝から人参が出て来て、アイクが固まっている。
「今日は人参を食べなくていい日じゃないよ。」
「……」
「アイク、夫は妻のお手本になるんだぞ。」
「父上もそうしてきたのですか?」
「そうだ。」
陛下にそう言われて決心したみたい。
「………むぐ」
なかなか喉の奥には進まなくて、涙が出てきてる。早く飲み込まないと、よけいに辛いのに。
「はい、オレンジジュース。」
渡すとゴクゴクのんで、人参を押し流した。
「うぅ~…今日は大きな人参を食べた日にしよう。」
「ふふ、そうだね。」
アイクが側にいるととても落ち着く。20才になって私を忘れる日が来ても、私は忘れない。
その日、私はチョコレート色の靴を作ってる。小さなアイクの靴は完成間近。この城だと何故か靴が完成するまで時間がかからない。魔術はこの城にも関係あるのかも。
大人のサイズもこれからは沢山作っていこう。
『靴を履いて迎えに行く、助けに行く。』
もう助けてもらったから、今度は私が頑張る番。
お昼寝の時間、私も眠くてアイクと一緒にゴロンとしていた。
「…どうしたの?」
私から抱きついて離れないし、いつもより力が強い気がする。
「ドロシーが変な男にとられる。だからつかまえておく。」
「誰にもとられないよ?」
「怖いやつがドロシーをつかまえようとする。だから、とられないようにしないと。」
「何があっても絶対側にいるから大丈夫。」
「やっぱりドロシーもオレのこと好きなんだな!」
「うん。」
この言葉に安心したのか、すぐにアイクは寝てしまった。アイクといるといつもよりよく寝てる気がする。私も知らない間に寝ていた。
「アイザック、起きろ」
「…ん……」
ノートンにいつも通り起こされた。
ドロシーの顔が10cmほどの所にある。『おはようのちゅー』ってやつが簡単に出来てしまう。
「変な気おこすなよ。」
「……おすわけないだろ。」
「残念なお知らせと良いお知らせ、どちらから聞きたい?」
「残念から…」
「もうドロシーを捕まえるのは金髪の男じゃない。『怖いやつ』の方らしい。」
「…って事は」
「お前は現時点で負けてる。」
「……っ」
「良い方は『何があっても絶対側にいる…』とドロシーが言い切ってた。アイクにあわせてただ返事をしたような言い方には感じなかった。」
「気持ちは俺にあるのか?」
「アンドリューじゃないけどな。」
「本当に嫌な奴だな。」
「けど、ドロシーが頼りにしてるのはアンドリューで間違いない。何かあれば必ずお前を探してる。案外本人が気づいてないだけかもな。」
「そうなら嬉しいが。」
7才の俺の夢は当たる。ドロシーが怖い男にとられるのは間違いない。
『助けにいく』
父上には悪いが、相手が敵国の第2王子のルシアだった場合でも、俺は引く気はない。
朝から人参が出て来て、アイクが固まっている。
「今日は人参を食べなくていい日じゃないよ。」
「……」
「アイク、夫は妻のお手本になるんだぞ。」
「父上もそうしてきたのですか?」
「そうだ。」
陛下にそう言われて決心したみたい。
「………むぐ」
なかなか喉の奥には進まなくて、涙が出てきてる。早く飲み込まないと、よけいに辛いのに。
「はい、オレンジジュース。」
渡すとゴクゴクのんで、人参を押し流した。
「うぅ~…今日は大きな人参を食べた日にしよう。」
「ふふ、そうだね。」
アイクが側にいるととても落ち着く。20才になって私を忘れる日が来ても、私は忘れない。
その日、私はチョコレート色の靴を作ってる。小さなアイクの靴は完成間近。この城だと何故か靴が完成するまで時間がかからない。魔術はこの城にも関係あるのかも。
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もう助けてもらったから、今度は私が頑張る番。
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「何があっても絶対側にいるから大丈夫。」
「やっぱりドロシーもオレのこと好きなんだな!」
「うん。」
この言葉に安心したのか、すぐにアイクは寝てしまった。アイクといるといつもよりよく寝てる気がする。私も知らない間に寝ていた。
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「…ん……」
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「……おすわけないだろ。」
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「残念から…」
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「…って事は」
「お前は現時点で負けてる。」
「……っ」
「良い方は『何があっても絶対側にいる…』とドロシーが言い切ってた。アイクにあわせてただ返事をしたような言い方には感じなかった。」
「気持ちは俺にあるのか?」
「アンドリューじゃないけどな。」
「本当に嫌な奴だな。」
「けど、ドロシーが頼りにしてるのはアンドリューで間違いない。何かあれば必ずお前を探してる。案外本人が気づいてないだけかもな。」
「そうなら嬉しいが。」
7才の俺の夢は当たる。ドロシーが怖い男にとられるのは間違いない。
『助けにいく』
父上には悪いが、相手が敵国の第2王子のルシアだった場合でも、俺は引く気はない。
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