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帰したくない2
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ドロシーとの話を終えて、俺は図書室を出てすぐに父上の元へ向かった。
コンコン
「アイザックです。」
「入りなさい。」
「失礼します。」
ノートンと父の側近は部屋の外でまってもらう事にした。
「リタンの姫に縁談などはありませんか?」
「…何故?」
俺の唐突な質問に父上は顔をしかめた。この顔、きっとあるな…。
「ドロシーが思い出した事ですが『同じ顔をした女の子に川に突き飛ばされた』と。」
「ドロシーは自分で落ちたんじゃないのか?」
「違うようです。…ドロシーはノツメの第2王子と結婚させられるのでは…、俺はそう思えてなりません。」
「…何か心当たりでもあるのか?」
「ドロシーは溺れる前に、男を追いかけていたらしいんです。」
「その男がノツメの第2王子だと?」
「大人の俺には解らないのですが、7才の俺は『ドロシーが変な男にとられる、』と言っていて、その男は怖い奴で風貌を聞くと…」
「第2王子のルシアに似てるという事か…。」
「『20才の俺はチョコレート色の靴を履いて、ドロシーを助けに行く』そうも言ってたらしいんです。」
「助ける…。誰からなのかは解らなくても、ここではない何処かで危機に陥ってるのを助ける、そう7才のアイクは言ってるんだな。」
「はい。」
「確かにリタンの姫には結婚話が持ち上がっている。相手は誰なのかそこまでは解らなかったが、返事をなかなかしていないのを考えると第2王子で違いないだろう。病死だとされているが、前の婚約者を殺した男だ…。」
「今の姿の俺が直接リタンの王のもとまで行き、ドロシーと結婚したいと申し出てはいけませんか?」
「悪くはない。だが、アイクが寝てる間、しかもドロシーがある程度側にいなければ大人の姿にはなれないなら、呼ばれた日時に訪れるのは無理だろう。」
ある程度…ドロシーが城を出て行ってから帰ってくるまで、俺は大人になれなかった…。
「だとしても、どうしても帰したくないんです。」
ノツメの第2王子のルシアのもとへ行けば、殺されてしまう可能性だってある。少なくとも、普通の扱いはしてもらえない。
「ドロシーが第2王子に嫁ぐかどうか、まだわからない。完全に大人に戻らないなら様子を見るしかない。」
双子の妹だか姉だかは知らないが、ドロシーを殺そうとした女。侍女だって側にいたはずだ。なのに助けなかった。
邪魔だと思っていたからだ。根本的な性格は簡単には変わらない。必ず身代わりにする。
睡魔が襲ってきた。
「…7才の俺に戻りそうです。話は途中で…すが……しま…。」
最後まで言いきる事なく俺は眠ってしまった。
「…7才にもどるか……。」
「ノートン、入りなさい。」
「失礼します。………寝ましたか。」
「ああ、部屋へ連れて行ってくれ。」
「畏まりました。」
ノートンがアイクを抱えて出てい行くのを見ていると、親である俺も辛い。
チョコレート色の靴を履いて助けに行く…その場所は何処なのか。
もしノツメの婚約者とされてしまった場合、助けに行く場は敵対してる国になる。そこへアイクを送り出す事は出来ない。
ドロシーがいなければ、絶対にアイクは大人に戻れないし、生きてさえいられない気がする…。何故かはわからないが。
コンコン
「アイザックです。」
「入りなさい。」
「失礼します。」
ノートンと父の側近は部屋の外でまってもらう事にした。
「リタンの姫に縁談などはありませんか?」
「…何故?」
俺の唐突な質問に父上は顔をしかめた。この顔、きっとあるな…。
「ドロシーが思い出した事ですが『同じ顔をした女の子に川に突き飛ばされた』と。」
「ドロシーは自分で落ちたんじゃないのか?」
「違うようです。…ドロシーはノツメの第2王子と結婚させられるのでは…、俺はそう思えてなりません。」
「…何か心当たりでもあるのか?」
「ドロシーは溺れる前に、男を追いかけていたらしいんです。」
「その男がノツメの第2王子だと?」
「大人の俺には解らないのですが、7才の俺は『ドロシーが変な男にとられる、』と言っていて、その男は怖い奴で風貌を聞くと…」
「第2王子のルシアに似てるという事か…。」
「『20才の俺はチョコレート色の靴を履いて、ドロシーを助けに行く』そうも言ってたらしいんです。」
「助ける…。誰からなのかは解らなくても、ここではない何処かで危機に陥ってるのを助ける、そう7才のアイクは言ってるんだな。」
「はい。」
「確かにリタンの姫には結婚話が持ち上がっている。相手は誰なのかそこまでは解らなかったが、返事をなかなかしていないのを考えると第2王子で違いないだろう。病死だとされているが、前の婚約者を殺した男だ…。」
「今の姿の俺が直接リタンの王のもとまで行き、ドロシーと結婚したいと申し出てはいけませんか?」
「悪くはない。だが、アイクが寝てる間、しかもドロシーがある程度側にいなければ大人の姿にはなれないなら、呼ばれた日時に訪れるのは無理だろう。」
ある程度…ドロシーが城を出て行ってから帰ってくるまで、俺は大人になれなかった…。
「だとしても、どうしても帰したくないんです。」
ノツメの第2王子のルシアのもとへ行けば、殺されてしまう可能性だってある。少なくとも、普通の扱いはしてもらえない。
「ドロシーが第2王子に嫁ぐかどうか、まだわからない。完全に大人に戻らないなら様子を見るしかない。」
双子の妹だか姉だかは知らないが、ドロシーを殺そうとした女。侍女だって側にいたはずだ。なのに助けなかった。
邪魔だと思っていたからだ。根本的な性格は簡単には変わらない。必ず身代わりにする。
睡魔が襲ってきた。
「…7才の俺に戻りそうです。話は途中で…すが……しま…。」
最後まで言いきる事なく俺は眠ってしまった。
「…7才にもどるか……。」
「ノートン、入りなさい。」
「失礼します。………寝ましたか。」
「ああ、部屋へ連れて行ってくれ。」
「畏まりました。」
ノートンがアイクを抱えて出てい行くのを見ていると、親である俺も辛い。
チョコレート色の靴を履いて助けに行く…その場所は何処なのか。
もしノツメの婚約者とされてしまった場合、助けに行く場は敵対してる国になる。そこへアイクを送り出す事は出来ない。
ドロシーがいなければ、絶対にアイクは大人に戻れないし、生きてさえいられない気がする…。何故かはわからないが。
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