いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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アンドリュー2

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「アイク、眠いの?」
「ん~」
時々あるんだよね。朝眠そうにして私に抱きついて離れない事。
「もう少し寝てようか。」
「ぅん」
「ダージリンさん、もう少しここに残りますね。」
「はい、ではそのようにお伝えします。」
「お願いします。」
もぞもぞと布団に入ってアイクを撫でると、スヤスヤ寝息が聞こえてくる。
「ドロシー、本当に母親みたいになってきてるぞ。」

私達の側にいるノートンに言われた。

「私はまだ18才よ。いくらなんでも…」
「じゃなくて、母性本能というやつだ。」
「……それは良い事ではないの?」
「良い事だな。アイクはいつも寂しそうにしていたから。」
「そうだよね。」

…サラサラの金髪で、目が少し緑っぽい青い瞳。

「アイクは素敵な王子様になるんだろうね。」
「いや、全然。」
「貴方、お友達を酷く言い過ぎよ。」
「まぁ、ドロシーの好みの顔にはならないけどな。」
「…アンドリュー様から聞いたの?」
「さぁ?」

ノートン…やっぱり敵だわ…。

「好みは誰にでもあるものでしょう。金髪碧眼は素敵だけどね。」
「それはアイクだろ。」
「アイクは可愛い。アンドリュー様は綺麗すぎて冷たく見えるしね。」
「綺麗なのに駄目なのか…?」
「別に内面は否定しないわよ。優しいしね。」
「……」
「どうしたの?」
「いや、何でもない。」
「そう…、私も少し寝るわ…。」

そういって、すぐにドロシーは眠った。

「寝るの早すぎだろ…。」
とりあえず、アイクを起こすか。

「アイク、起きろ。」
「るさい、まだ寝…ドロシー?」
「今日もアイクが起きなかったから一緒に寝てる。」

俺はがっつりドロシーを抱き締めている。

「……この時間に起きるのが1番いいな。」
「何を言ってるんだ…。それより、ドロシーがアンドリューを好きになる可能性はありそうだぞ。」
「…本当か?」
「外見は好みじゃないが、内面はいいんだと。優しいから。」
「無防備なドロシーにそろそろ本気で迫ってもいいと思うか?」
「別にいいだろ。愛だの恋だの、始まりにルールなんて無いんだから。」
「お前、なかなか良い事を言うな。」
「さっさと大人にもどれ。」
「明日にでもなってみせる。……ああ、眠くなってきた…。」

そしてそこから俺の記憶は途切れた。


「ん?ドロシー、朝だぞ。ノートン今何時だ?」

「朝の10時です。」

「今日は2人でおねぼうさんだな。ドロシーが寝てるから、オレもここにいよう。」

・・・・

ここはきっと夢の中だ、うっすらアイクの声が聞こえる。

『けっこん』
アイクが靴を履いたのは、私を助けてくれる魔法だったのかもしれない。だからアイクは術師で7年で死んじゃうのかもしれない。
早く何とかしないと…会えなくなる気がする。
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