いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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初めてあった日3

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「どうしてドロシーは靴を街で作るんだ?前はお城で作ってたのに…。」

アイクがブツブツ顔をしかめて言ってるのが可愛い。

「お城で靴を作ると、靴を売ったり出来ないから。沢山の人に履いてもらいたいの。」
「む~。」

拗ねてる。

「そうだっ!ドロシーがいない間も寂しくないように、絵にしておこう!ノートン、ドロシーの絵をかけ!」
「……」

ノートン…『なぜ俺が…』って顔に書いてある。

「そうだ!オレの誕生日パーティーで『けっこんした』と言わなくては。ドレスをつくるぞ!う~ん、水色がいいな。」
「そんな事、まだ発表しちゃ駄目だよ。秘密ね。」
「じまんしようと思ったのに。」
「自慢?」
「ドロシーは可愛いからな。誰にもとられないようにしなくては。」

そんな事言ってくれるのはアイクだけなんだけどね。
ノートンは『普通』って言いきったし。
私がギロっと睨むと、ノートンは視線をそらした。

アイクはお勉強の時間もあるから、その間にまた図書室へ。
有力な情報は何もない。
魔術の靴が求めているものは何なの?
『アイザックを殺したい訳でも、殺したくない訳でもない。』
賭けをしてる…靴は生きる方に賭けた…。




3日目の夜。
またアンドリュー様が来た。

「いつも1人だけど護衛はいないの?それに、メイドさんにお茶を運んで貰えばいいのに…。」
「これくらいなら自分で出来るし。」
「そう。」

何だか2人きりだと思うと恥ずかしいんだよね。

「あの…」
「ん?」

ずっと私の顔を見てるのは何故なの?それに、今日は何故横に座るの。アイクほどではないけど、同じように椅子を寄せてくる。近い…。

「あの…そんなに気を使わなくても大丈夫だよ。」
「いや、俺が来ないと休まず本を調べるだろう。それは効率的じゃない。」
「そうかな?」
「アイクが勉強してる間もここにいると聞いた。ここに来るのさえ嫌になってしまったら、作業も進まない。俺とお茶をする時間を楽しめばいい。」
「そうだね。」

綺麗な笑顔…。この人、凄く女の人に馴れてるわ…。
露骨に逃げるのもどうかと思うんだけど、プロポーズしてきた人な訳だし、あまり近付かないようにしないと。
もうアンドリュー様は紅茶も飲み終わってるし、仕事に戻ってもいいよね!

「あのっ…私そろそろ…っ!」
席を立とうとすると、腕を掴まれグイッ引っ張られた。

「ドロシー、靴を作れる君とアイク、2人だからこそ出来る事があるんじゃないか?ドロシーだけが頑張れば何とかなる…っという答えではないかもしれない。靴を履いたのは俺なんだから。」
「え…?」
「あ、いや、うん。何でもない!…それじゃ、俺はこれで!」
「はい…。」
アンドリュー様はあっという間に部屋を出ていってしまった。

今、『靴を履いたのは俺なんだから』って言わなかった?
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