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初めてあった日
しおりを挟む「ドロシー!!」
「……」
「ご飯だぞ!」
「…もう少し寝る。」
「ドロシーは、おねぼうさんだな。」
「アイザック様、ドロシー様は疲れているようなので、もう少し寝かせてあげましょう。」
「ふむ、そうだな。目の下が黒いからそれが消えるまでは寝てよう。」
「寝てよう?」
「そうだぞ。しんどい妻を1人にさせたりしないんだ。」
「朝食はいかがなさいますか?」
「ドロシーと食べる。」
そういって、アイクはもぞもぞとベッドに戻った。
しばらくするとアイクの寝息が聞こえてくる。ノートンは部屋に誰もいないのを確認してから、アイクを起こした。
「おい、アイク。目を覚ませ。」
「…ノートン、ドロシーがいるぞ。もう昼寝してるのか?」
「違う。ドロシーの体調がよくないから、一緒になって寝てるんだ。『妻を1人にさせないんだ』って言ってな。」
「体調って、ドロシーは大丈夫なのか?」
「おそらく寝不足だ。」
「無理しているからな…。」
俺はドロシーの頭を撫でた。
それくらいでは起きないのは、今までの経験で既にわかっている。
「しかし、7才でも俺は俺だな。今の俺でも一緒の事をする。」
「ただ単に成長していないって事だろ。」
なんて生意気な護衛なんだ…
「同じような行動をとったり言ったりして、ドロシーに疑われるような事はするなよ。」
「7才の俺が何を言ってるか知らないし逆もそうなんだから、そういわれても困る。」
「そうだが…、ドロシーに好きな食べ物は何か?と聞いていただろ。俺がすぐに間に入ったが、7才のアイクも出会った日に同じ事を聞いたんだ。」
「出会った日…」
そういえば昨日の夜『初めて会った時の会話を聞いてたりするのか?』と俺に聞いてきた。それは、何か同じような事を言ってたのか?
「ノートン、出会った日に『俺の事好きになったんだな』とか言ってたりするか?」
「全く同じ事を言ってる。」
「ちょっと言っただけだから」とも言っていたか?
「それはドロシーが言った。」
「……俺はその言葉をどちらも言った気がする…。」
「いつ!?」
「昨日の夜…」
「ドロシーの反応は?」
「驚いてるというか、何とも言えない顔をしていた。」
「…そりゃそうなるだろ。お前はアイクじゃない設定なんだから。」
「バレたらどうなると思う?」
「もうドロシーの前で絶対大人になれなくなるんじゃないか?一度騙されていたとわかったら、次はもうないだろ。しかも、自分の前で以外は大人になってるっていうのも分かるかもしれない。」
「それは駄目だ。」
「大人のアイクが気を付けるしかない。」
「気を付けるといわれても…7才の俺がいたから20才の俺がいる。どちらかが違う事をいうのは難しいぞ…。」
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