いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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両親3

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城に来て2日目の夜、今日も私はアンドリュー様と図書室でお茶をしている。
『息抜きも必要だ』って言って、お茶と一緒に甘いお菓子を持ってきてくれるんだよね。

「ここにいて大丈夫なの?アイクの代わりを努めるんだし、お仕事もあるでしょ?」
「ああ、それならお昼に終わらせてるから。」
「そう、ならいいけど。」

ここに来ても面白い事なんてない気がするけど、アンドリュー様は何だか嬉しそう。

「どうしたんだ?」
「え?」
「俺の顔をじっと見てるから。さては俺の事好きになったんだな。」
「……」
「…ちょっと言ってみただけだから!気にしないでくれ。」
「……」
「ドロシー?聞いてるか?」
「え?あ、うん。気にしないよ。」

アイクに初めて会った日、同じ事を言われた。
『さてはオレのこと好きになったんだな』って。そのあと私が泣きそうなアイクに『言ってみただけよ』って返したの。それをまるで知ってるみたいだよね。

「アンドリュー様は、私とアイクが初めて会った時の会話をノートンかダージリンさんから聞いてたりするんですか?」

「いや、詳しくは聞いてない。アイクが連れてきたっていうのは聞いてるけど。」

「そう…」

発想が似てるわ。会話を知ってるとしか思えないくらい。影としてアイクと一緒にいたんだから、そうなるのかもしれないけど…

「ドロシー?」

「何でもないの。アイクに似てると思って。」

「似てる?まぁ俺は影だから。いや、でも実際似てるかはわからないな。俺は俺だし。いや、俺だから俺なのか?」

「…何を言ってるの?」

「…何でもない。それより、本当に手伝わなくてもいいのか?1人じゃ大変だろ?」

「大丈夫。これは私の仕事だから。」

子供に戻る方法を探す。それを本格的に手伝って貰ってもいいのか微妙だし、それが理由でアイクの体調が悪くなったりしたら困るしね。

「…そうか、なら俺はそろそろ退室しよう。気が散るだろうし。片付けておくから本を探してきていいぞ。」

「ありがとう。」

早く探さないと。
靴は家で作れても、調べるのはここでしか出来ないんだから。闇雲に靴を作っても何の変化もないなら、この3日は貴重だわ。
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