いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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ドロシー2

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「カーテンを持ってきたんだ。着替えたりする時は困るだろ?」  
「ありがとうございます。」
「ノートン、ありがとう。」

あの人達のいる空間へは入りたくないから、これは嬉しい。

「ドロシー、俺に敬語はいらない。」
「ですが…」
身分が高い人だと思うし。
「ノートンには敬語じゃない。」

それは初対面で敵だと思ってたから…。ダージリンさんの事も最初は『髭眼鏡さん』って心の中で呼んでたし…。

「…時々、普通に話してる時もあった気がしますけど。」
「時々では駄目だ。いつも敬語は禁止だ。そういうのは友達になれば必要無いものだ。」
「お友達…」
「友でも駄目なのか!?プロポーズは保留にしたのに…。」
「プロポーズは無効です。」
「…承知した。……今は。」
最後の方はよく聞こえなかったけど、諦めてくれてよかった。
「お友達になれるかはわからないけど、ノートンと同じ感覚であれば。」
「どういう事だ?」
「……」
仕事の付き合いや知り合い程度ならいい。けど友達も恋人も、私は作らない。迷惑になるし、仲良くなっても借金だらけになって逃げないといけなくなる。

別れるのは辛いから。
1人で生きるほうが楽だって、嫌というほどわかった。
アイクは20才になれば私を忘れる。私も20才のアイクを知らない。だから今だけは仲良く出来る。他の人はそうはいかない。私は誰かと一緒にいても、先のない未来しか描けない。

「…ノートンと同じは駄目だ。さっきドロシーは約束した。『辛い事があれば俺に言う』と。それは友だから言うんだ。」
「じゃあ、約束はなし。」
「約束は破る為にあるんじゃない。守るためにあるんだ。だから、無しは無効だ。」
「…ノートン、何とか言ってよ。」
「仲良くすればいいだろ。」
「そうだぞ!」
何なの、この2人は…。

「『ノートン…眠くなってきた。そろそろ俺が起きる。』」
「…っ、ドロシー。俺達は城に戻る時間だ。また4日後っ!」
私が返事をする前に、2人は行ってしまった。

カーテン、取られないように城に行く時は持っていかなきゃ。


・・・・


アイザックは1時間ほどして目を覚ました。

「ん…?ノートン…」
「アイザック様、お早うございます。」
「ドロシーは?」
「もう帰りましたよ。もうすぐ日がくれるので。」
「う~ん、沢山寝てしまった。『おはようのちゅー』をするはずだったのに。」
「……」

次にドロシーが来るまでは、我が儘な7才のアイクか…。20才でも我が儘だな。
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