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黒髪
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「あれ…?ノートン。ごめんなさい、アイクと一緒になって寝てたわ。」
「いや、それは構わない。疲れたんだろう。」
…おかしい…ノートンが優しいわ。
「何だ、その疑いの眼差しは。」
「…そんな事ないわよ。あ、そうだ。相談したい事があるの。アンドリュー様はいる?」
私はアイクが起きないように、ゆっくりベッドから離れた。
「どうして、アンドリューを?」
「アイクの説得を手伝ってもらえればと思ったの。私の両親が来た時にノートンとアンドリュー様がいたしね。」
「アンドリューは城を離れてるから、すぐには会えないかもしれない。」
「そう、なら仕方ないよね。」
大人のアイクと同じ容姿だからかな、何となく一緒にいて欲しかったけど。
「ねぇ…ノートン。国王様から聞いてるかもしれないけど、私には借金があったの。親のつくった借金よ。お金があっても無くても、あの人達は湯水のごとく使ってしまう。ここにいては迷惑になるの。だから、アイクの説得を手伝ってほしいの。」
「わかった。」
「ありがとう。」
「ドロシー、1つ聞いていいか。祖父母に黒髪の者はいるか?」
「いないわ。」
「どこで産まれた?」
「知らない。教えてくれないの。『そんな事知ってどうする。親が目の前にいるのに』って言われるのよ。」
「……そうか。」
「本当の親じゃなければよかったのにね…。子供の時に思ってたの。『本当は私はどこかのお姫様で、誘拐されてこき使われて大変だった所を王子様が助けに来てくれる…』って。馬鹿みたいな現実逃避よ。」
「……」
「そうだ、せっかくだから図書室に行ってみるわ。ダージリンさんに伝えておいて。」
時間は無駄に出来ないわ。今日は徹夜になるわね。1冊、それっぽいのも見つけてたんだよね。
『靴は主を選ぶ』
これって、普通の靴の事じゃないよね。…靴の主って、アイクは選ばれたの?主に選ばれなかったら、あの靴はただの靴って事だよね。本人も知らずに衣装棚にあれば履いてしまう可能性だってあるわ。
無意識に呼び寄せられる…って事もあるし。
靴が1番危険…。履く人を選んでるから、主になれなかった人は死ぬ。
『履く馬鹿がいなかった』と靴は言っていたけど、アイク以外は誰も履けなかったのかもしれない
何故アイクなんだろう、何故私なんだろう。
・・・・
ドロシーの両親は別にいるな…。だから隠してる。
誘拐かどうかはわからないが、黒髪の女は高く売れると知っていて、15才になるまで育てていた可能性が高い。花街にも規則がある。14才までの女を店側が買えば罰せられる。だから15才まで育ててたんだ。
『私はどこかのお姫様で、王子さまが助けてくれました。』
ドロシーが何気なく言った、これは正解なんじゃないのか?
ダージリン様に報告して、陛下に伝えて貰おう。
「いや、それは構わない。疲れたんだろう。」
…おかしい…ノートンが優しいわ。
「何だ、その疑いの眼差しは。」
「…そんな事ないわよ。あ、そうだ。相談したい事があるの。アンドリュー様はいる?」
私はアイクが起きないように、ゆっくりベッドから離れた。
「どうして、アンドリューを?」
「アイクの説得を手伝ってもらえればと思ったの。私の両親が来た時にノートンとアンドリュー様がいたしね。」
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「そう、なら仕方ないよね。」
大人のアイクと同じ容姿だからかな、何となく一緒にいて欲しかったけど。
「ねぇ…ノートン。国王様から聞いてるかもしれないけど、私には借金があったの。親のつくった借金よ。お金があっても無くても、あの人達は湯水のごとく使ってしまう。ここにいては迷惑になるの。だから、アイクの説得を手伝ってほしいの。」
「わかった。」
「ありがとう。」
「ドロシー、1つ聞いていいか。祖父母に黒髪の者はいるか?」
「いないわ。」
「どこで産まれた?」
「知らない。教えてくれないの。『そんな事知ってどうする。親が目の前にいるのに』って言われるのよ。」
「……そうか。」
「本当の親じゃなければよかったのにね…。子供の時に思ってたの。『本当は私はどこかのお姫様で、誘拐されてこき使われて大変だった所を王子様が助けに来てくれる…』って。馬鹿みたいな現実逃避よ。」
「……」
「そうだ、せっかくだから図書室に行ってみるわ。ダージリンさんに伝えておいて。」
時間は無駄に出来ないわ。今日は徹夜になるわね。1冊、それっぽいのも見つけてたんだよね。
『靴は主を選ぶ』
これって、普通の靴の事じゃないよね。…靴の主って、アイクは選ばれたの?主に選ばれなかったら、あの靴はただの靴って事だよね。本人も知らずに衣装棚にあれば履いてしまう可能性だってあるわ。
無意識に呼び寄せられる…って事もあるし。
靴が1番危険…。履く人を選んでるから、主になれなかった人は死ぬ。
『履く馬鹿がいなかった』と靴は言っていたけど、アイク以外は誰も履けなかったのかもしれない
何故アイクなんだろう、何故私なんだろう。
・・・・
ドロシーの両親は別にいるな…。だから隠してる。
誘拐かどうかはわからないが、黒髪の女は高く売れると知っていて、15才になるまで育てていた可能性が高い。花街にも規則がある。14才までの女を店側が買えば罰せられる。だから15才まで育ててたんだ。
『私はどこかのお姫様で、王子さまが助けてくれました。』
ドロシーが何気なく言った、これは正解なんじゃないのか?
ダージリン様に報告して、陛下に伝えて貰おう。
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