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ドロシーに会う条件
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「おい起きろ、アイザック。」
「…んだよノートン、人が寝てるのに。」
「ここにたった今までドロシーがいた。」
「はぁ!?何で起こさないんだよ!っていうか、何でこんな時間に俺は寝てるんだ。」
「子供だったからだ。いい加減認めろ。」
「……」
「ドロシーの前で、アイクは大人にならない。子供のお前がべったりくっついてる。」
「だが街で俺と会った時は大人だった。それは何故だ?」
「知らん。子供のアイクは毎日『おやすみのチュー』とやらをしてスヤスヤ寝てる。」
「…羨ましいぞ、子供の俺。」
「お前は…。この状況はおかしいだろ。もっと真面目に考えろ。」
「考えろって、何をどうしたらいいんだ。」
「それが解らないからドロシーが1人で調べてるんだよ。」
「何故ドロシーが出てくるんだ?」
「お前が子供になって半年ほどたつ。その日から毎日『ドロシーとけっこんする』って陛下に言い続けてた。」
「俺はドロシーに会った事はないぞ?」
「けど、7才のアイクはドロシーが何処にすんでるのかも知っていた。」
「やはりドロシーも俺を好きになる。これは運命だな。」
「お前がそんな事を言うようになるとは…。子供のアイクの影響がでてるのか…。」
「とりあえず、『俺』がドロシーに会う方法を考えるぞ。」
面倒だ…と、ノートンは思った。
「ドロシーに会った時、俺はそこにドロシーの存在があると知らなかった。ドロシーもそうだ。お互いが無意識に出会う状態なのであればいいんじゃないか?」
「確かに。ドロシーに会おうとしていたアイクは会えなかったが、曲がり角でぶつかった時は会えた。可能性はあるかもしれない。」
「だが、偶然を作る事が難しい。ドロシーを探せば会えない訳だし…。」
「アイク…何故ドロシーがいいと思うんだ?王妃様に少し似てるからか?」
「そんな事は関係ない。なんとなくだ。」
「なんとなく…。」
「お休みのチューか…、なんて可愛い発想で上手いこと口付けしてるんだ…。」
「7才に焼きもちをやくな。」
「7才の俺ならドロシーに会える…という理屈もよくわからない。20才でも俺は俺だ。」
「子供に戻る靴を履いたアイクがドロシーに会いたいと願ったからだ。何故お前はくだらない靴を履いたんだ。」
「…さぁ、あるかないかもわからない、あってもどこにあるかわからない物を俺が探すと思うか?」
「面白半分ではいたんじゃないのか?」
「もしそうなら、それは俺じゃない。その靴っていうのはこれか?ずっと頭もとにある…」
「…?どこに何があるんだ?」
「は?あるだろ、ここに。でっかい靴が。見えないのか?」
「全く。」
「なぁ…もう一回履いたら戻るんじゃないか?」
「もっと悪化したらどうする。」
「…そんな事言ってたって始まらないだろ」
「なら履いてみろ。」
「そうする。」
俺は靴を履いてみた。サイズは全く合わないし、別に何がどうって事もない。
「とりあえず、どうなってるかドロシーに会いに行けばわかるか。ドロシーは何処にいる?」
「こっちだ、連れていってやる。」
案内されたのは城で1番小さな部屋の前。
「こんな所にドロシーを…!?」
「本人の希望だ。」
「なら仕方がない。」
コンコン
ノートンがノックしたところまでは憶えてるが、それ以降の記憶はなかった。
「ノートンとアイク…どうしたの?」
「アイクがドロシーがいないって怒って走り出したから…とりあえず連れてきたけど、今また眠った。」
「そう。アイクは私の事を『お母さん』だと思ってるんじゃないかって陛下が言ってたし、いなくなったら寂しいのかもね。」
「お母さん?」
「よくわからないけど、私は似てるんだって。王妃様に雰囲気とか性格が。」
「5才の俺の記憶では、王妃は綺麗で可憐だったが…。」
「喧嘩うってるの?」
「いや、そんな訳では。」
なんとなく似てても私にその綺麗な部分がないのは何故なの。
「アイク、早く20才にもどればいいのに…。」
「戻ったら、ドロシーはどうするんだ?」
「どうする?」
「アイクと結婚するか?」
「ノートン、何いってるの。アイクにはアイクの人生があるのよ。20才になった時に私と結婚なんてするはずないでしょ。」
「20才のアイクがそのままドロシーを好きだと言ったら?」
「…?言わないわよ。今20才の記憶がないのに、もとに戻った時に7才の記憶なんてないわよ。くだらない質問しないで、早く部屋に帰りましょう。アイクが風邪ひくわ。」
アイク…これは、なかなか手強いぞ…。
ノートンは思った。
ベッドにアイクを寝かせて布団をかける。
「アイク、もうすぐ誕生日なんだね。早く20才に戻さないと…。」
「ドロシー、そこに靴があるのが見えるか?」
「見えるわよ。あれが魔術の靴でしょ?」
「…そうか。」
「なぜそんな事を聞くの?」
「俺には見えないからだ。」
「……見えないの?」
「ああ、アイクには見えていたけど、俺には全く。」
もしかして、靴が私にだけ見えるようにしたのかも。やっぱり私に何とかしろって事ね。
「…私が履いたら、アイクが戻る…なんて事はないかな?」
「それじゃ、ドロシーが子供になるだろ。」
「…そうね。それは嫌だわ。しかも、アイクと結婚!とか、王太子に言い出したら困るわよね。」
「…んだよノートン、人が寝てるのに。」
「ここにたった今までドロシーがいた。」
「はぁ!?何で起こさないんだよ!っていうか、何でこんな時間に俺は寝てるんだ。」
「子供だったからだ。いい加減認めろ。」
「……」
「ドロシーの前で、アイクは大人にならない。子供のお前がべったりくっついてる。」
「だが街で俺と会った時は大人だった。それは何故だ?」
「知らん。子供のアイクは毎日『おやすみのチュー』とやらをしてスヤスヤ寝てる。」
「…羨ましいぞ、子供の俺。」
「お前は…。この状況はおかしいだろ。もっと真面目に考えろ。」
「考えろって、何をどうしたらいいんだ。」
「それが解らないからドロシーが1人で調べてるんだよ。」
「何故ドロシーが出てくるんだ?」
「お前が子供になって半年ほどたつ。その日から毎日『ドロシーとけっこんする』って陛下に言い続けてた。」
「俺はドロシーに会った事はないぞ?」
「けど、7才のアイクはドロシーが何処にすんでるのかも知っていた。」
「やはりドロシーも俺を好きになる。これは運命だな。」
「お前がそんな事を言うようになるとは…。子供のアイクの影響がでてるのか…。」
「とりあえず、『俺』がドロシーに会う方法を考えるぞ。」
面倒だ…と、ノートンは思った。
「ドロシーに会った時、俺はそこにドロシーの存在があると知らなかった。ドロシーもそうだ。お互いが無意識に出会う状態なのであればいいんじゃないか?」
「確かに。ドロシーに会おうとしていたアイクは会えなかったが、曲がり角でぶつかった時は会えた。可能性はあるかもしれない。」
「だが、偶然を作る事が難しい。ドロシーを探せば会えない訳だし…。」
「アイク…何故ドロシーがいいと思うんだ?王妃様に少し似てるからか?」
「そんな事は関係ない。なんとなくだ。」
「なんとなく…。」
「お休みのチューか…、なんて可愛い発想で上手いこと口付けしてるんだ…。」
「7才に焼きもちをやくな。」
「7才の俺ならドロシーに会える…という理屈もよくわからない。20才でも俺は俺だ。」
「子供に戻る靴を履いたアイクがドロシーに会いたいと願ったからだ。何故お前はくだらない靴を履いたんだ。」
「…さぁ、あるかないかもわからない、あってもどこにあるかわからない物を俺が探すと思うか?」
「面白半分ではいたんじゃないのか?」
「もしそうなら、それは俺じゃない。その靴っていうのはこれか?ずっと頭もとにある…」
「…?どこに何があるんだ?」
「は?あるだろ、ここに。でっかい靴が。見えないのか?」
「全く。」
「なぁ…もう一回履いたら戻るんじゃないか?」
「もっと悪化したらどうする。」
「…そんな事言ってたって始まらないだろ」
「なら履いてみろ。」
「そうする。」
俺は靴を履いてみた。サイズは全く合わないし、別に何がどうって事もない。
「とりあえず、どうなってるかドロシーに会いに行けばわかるか。ドロシーは何処にいる?」
「こっちだ、連れていってやる。」
案内されたのは城で1番小さな部屋の前。
「こんな所にドロシーを…!?」
「本人の希望だ。」
「なら仕方がない。」
コンコン
ノートンがノックしたところまでは憶えてるが、それ以降の記憶はなかった。
「ノートンとアイク…どうしたの?」
「アイクがドロシーがいないって怒って走り出したから…とりあえず連れてきたけど、今また眠った。」
「そう。アイクは私の事を『お母さん』だと思ってるんじゃないかって陛下が言ってたし、いなくなったら寂しいのかもね。」
「お母さん?」
「よくわからないけど、私は似てるんだって。王妃様に雰囲気とか性格が。」
「5才の俺の記憶では、王妃は綺麗で可憐だったが…。」
「喧嘩うってるの?」
「いや、そんな訳では。」
なんとなく似てても私にその綺麗な部分がないのは何故なの。
「アイク、早く20才にもどればいいのに…。」
「戻ったら、ドロシーはどうするんだ?」
「どうする?」
「アイクと結婚するか?」
「ノートン、何いってるの。アイクにはアイクの人生があるのよ。20才になった時に私と結婚なんてするはずないでしょ。」
「20才のアイクがそのままドロシーを好きだと言ったら?」
「…?言わないわよ。今20才の記憶がないのに、もとに戻った時に7才の記憶なんてないわよ。くだらない質問しないで、早く部屋に帰りましょう。アイクが風邪ひくわ。」
アイク…これは、なかなか手強いぞ…。
ノートンは思った。
ベッドにアイクを寝かせて布団をかける。
「アイク、もうすぐ誕生日なんだね。早く20才に戻さないと…。」
「ドロシー、そこに靴があるのが見えるか?」
「見えるわよ。あれが魔術の靴でしょ?」
「…そうか。」
「なぜそんな事を聞くの?」
「俺には見えないからだ。」
「……見えないの?」
「ああ、アイクには見えていたけど、俺には全く。」
もしかして、靴が私にだけ見えるようにしたのかも。やっぱり私に何とかしろって事ね。
「…私が履いたら、アイクが戻る…なんて事はないかな?」
「それじゃ、ドロシーが子供になるだろ。」
「…そうね。それは嫌だわ。しかも、アイクと結婚!とか、王太子に言い出したら困るわよね。」
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