いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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好きな人探し

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「ノートン、アイクの好きな人を知っていたりしない?」
「ドロシーだろ。」
「そうじゃなくて、20才の方よ。それが大人になる鍵かもしれないの。」
「…あの男に特定の女はいない。」
「軟派な男だという事?」
「硬派ではない。」
「少しだけでも気に入ってる子とか…。それくらいいるでしょ?」
「みんな平等に好きじゃない。」
「最悪な男ね。」

って、それじゃ困るのよ!愛する人からの口づけよ!いないとどうなるの?

「ノートン、ドロシーと仲良くするな。オレの妻だぞ。」

こんなに可愛い子が、最低な男になるなんて…。
パジャマに着替えて私をひっぱるアイク。

「もう寝ようか。」
「…寝たらノートンがドロシーと話をするから寝ない。」
「喋らないよ。」
「…じゃあ、『やくそくのちゅー』だ。」

今日はおやすみじゃなくて、約束…。どんどんバリエーションが増える。

「もうそのままでいた方が真っ直ぐに育つ気がする。」
「…でも、20才に戻すわ。どんなに嫌な人だったとしてもね。じゃあ、図書室に行ってくるわ。」

パタン

ドロシーがいなくなると、とたんに20才のアイクに戻る。

ゴスッ
「イテっ!?…何すんだよ、ノートン!」
「何…だと…?こっちの台詞だ!!なんでドロシーの前でだけ子供なんだっ!!」
「だから、子供って何をいってる…、ドロシーって女も、いるなら会いにくればいいだろ。」
「…会いに……そうだ、お前から行ってみろ。」
「は?ちょっと、ふざけんな!」
「ふざけてねぇよ!」

ノートンはずるずるとアイク(20)を連れて図書室まで連れていった。

「見ろ、あれがドロシーだ。少し王妃に似て…」
「かわいい…」
「は?」
「ノートン、俺はあの女と結婚すると父上に伝えろ。」
「…は?」
「何て顔してるんだ、特定の女をつくれと言ってたのはお前だろ。」
「もしかして、子供の記憶があるのか?」
「何の話だ。とりあえず、俺はあの子と話をして…」

ドサっ
「ノートン?どうしたの?……アイクの我儘?」
「…ああ。会いたいって言って走り出したから。」
「そう、じゃあ部屋にもどろう。私も今日はこれで切り上げるから。」
私はアイクを抱っこ…してたけど、途中でノートンに変わってもらった。


…こいつ、ドロシーの前じゃ元の姿になれないのか。
そうノートンは確信した。


・・・・



アイクの好きな人探しと並行に、もちろん靴も作ってるんだけど、これも難航してるのよね。
靴自身が『靴を作らせる為に私を呼んだ』と言ってたんだから、これは最有力。でもこれって子供のアイクに合わせた靴を作るの?
大人になった時の靴を作るの?

魔術とか出来ない…。
ってなると、口づけ説が有望な気もするし…。


「アイザック王太子の好きな女性をどなたかご存知ありませんか?」

城中でいろんな人に聞いたけど、誰も知らないってどうなの…。髭眼鏡さんもしらないなんて…。やっぱりいないのかな…。だとしたら『好きな人からの口づけ説』だと絶対にもとに戻せない事になってしまうよね。

「ドロシー、お腹痛いのか?」
「ん?違うよ。元気だよ。どうして?」
「あまりご飯を食べてない。オレは夫だから、ドロシーのたいちょうかんりもするんだ。」

難しい言葉を使うアイクが可愛い。

「アイク、人参残さないように食べなさい。」
「むむ…」

本当に可愛い。絶対死なせたりしない!



「離せノートン!今日こそはドロシーと街に遊びに行くんだ!」
「駄目です。」

私はノートンと髭眼鏡さんに『暫くアイクと遊んであげられない』と言ってある。なので食事の後はいつもこうなる。

「じゃ、いってくるね。」
「…『いってきますのちゅー』をしたら行ってもいいぞ!」
「……」

毎日チュっと口づけされるけど、自分からしろと言われると…。これって恥ずかしい…。だってこの子20才だしね。

「行ってらっしゃいのチューにしようか。」
「む、俺はドロシーから『ちゅー』されたことないぞ。」
「女の子は恥ずかしいの」
「ふむ、しかたがない。」

そういって、チュとしてアイクは走って行ってしまった。

「ドロシー…大変だな、お前も。」
「私の初めての口づけは、20才のアイザック王太子殿下としてカウントされるの?」
「…どうだろう。」
「本当に、あの子は誰が好きなの…。この際、婚約者とかそんなのでもいいわ。」
「…あの男には最近好きな女が出来た。」
「何その有力情報っ!初めにいってよっ!!」
「…つい最近知ったんだ。」
「で、だれ?」
「名前は…ど…この誰だかまでは知らん。」
「…何それ、それじゃ探せないよね。」

ん~、難しいわ。けど、口づけ説でもなんとかなる可能性は出てきたわ!

もしかして、20才のアイクの好きな人の靴を作る…とかかもしれないよね。
親子でもいいかもしれない。一度靴を作らせて貰えるか聞いてみよう。
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