いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

文字の大きさ
上 下
7 / 57

20才の男の子

しおりを挟む
夜ご飯はアイクと王様と一緒。

カタカタと椅子をもってピッタリくっついてくる本当は20才の男の子…。

「お野菜も沢山食べなさい。」
「…嫌だ」
「だったら離婚よ。」

そういうと、すぐにパクパク食べ始める。しかめっ面が可愛い。


20時
今日もアイクは眠る時間。宿敵ノートンは私が部屋を出る前にすでにいる。

「ノートン、2人の時間を邪魔するんじゃない!」

アイクがムスっとしてたけど、すぐにうとうとし始めた。

「アイク寝ようか。」
「うん。」
「…ドロシー?」
「ん?」
「お休みのちゅーだ。」
そういって、昨日みたいにチュと口づけしてシーツに潜った。

すぐに寝息が聞こえてくる。

これから、おはようとおやすみ、2回『ちゅー』されるの…かな。

「クククッ…」
「…何を笑ってるの。子供がすることでしょ。」
「20才のアイクを知ってる俺には、笑いがとまらん。」
「…そんなに嫌な人だったの?」
「めちゃくちゃ。」
「……」
何してたんだろ、20才のこの子。
とりあえず、靴を作るよりもある程度の知識を詰め込みたいし、私は図書室に入る許可も貰ってるし、早く行こう!


ドロシーが部屋を出た30分後、ノートンは腰を抜かしそうになった。

ベッドに寝てるのが20才の姿のアイクだったからだ。

「オイっ!アイザックっ!!起きろ!!」
「…何だよ、うるさいぞノートン」
「お前…元にもどったのか…?」
「は?元にもどったって何だよ。」
「覚えてないのか?お前は子供に戻ってたんだぞ!?」
「は?何いってるんだ。いくら何でもそんな冗談…」
「お前…子供に戻る靴を履いたのを覚えてないのか?」
「履いたから、子供になったって?馬鹿らしい。今の俺は大人だ…この部屋はなんだ?玩具が山ほど…。何故もう1つベッドが…。酔って誰か連れ込んだのか?」
城に女を連れてくる事は絶対ない。
「お前が子供になった時に結婚すると言って連れてきた女のベッドだ。」
「…子供って、本気で言ってるのか?ノートン大丈夫か?」
「っなら連れて来てやる。」

バタンっ

「くそっ、あのボケナスは!女を連れ込んだとかそんな簡単な問題じゃねぇんだよ!」

ノートンは図書室まで走った。


「ええっ!!アイクが元の姿になったのっ!?…よかったぁ~。戻らなかったらどうしようかと思った。」

これで死なないよね。…こんなに簡単には戻ると、お金払ってくれなさそうよね。逃げないと…。

「ドロシー、言っておく。本当に嫌な奴だから、何を言われても放っておけばいい。」

性格の悪いノートンが言うほど…。

部屋に入っていって見たのは子供のアイク。

「貴方…嘘をつくなんて酷すぎるわ。」
「…え!?いや、嘘なんて…」
「じゃあ、このアイクにそっくりな子は誰なの?」

時間を無駄にしただけだったわ。嘘つきノートンね。

「はぁ…私は図書室へ帰るわ…」

パタンとドロシーが出ていくとまた20才の姿に戻った。

「…っ何だこれは。おい!アイク!!」
「なんだ…さっきから、人が寝てるのに。」
「お前…今また子どもになってたぞ…。」
「ノートン…頭は大丈夫か?」
「…いや、俺がおかしい…?けど、ドロシーと見た時は…」
「ドロシーって、このベッドを使ってる女か?どんな女だ、連れて来い。」
「……」

パタン

「連れていって、また子供の姿にもどってるなんて事、ないよな…。」





「図書室…本が多過すぎるわ。」

とりあえず、この『貴方にも出来る、黒魔術』って、この本から読もう。こんなのに書いてたら皆が知らないはずないけど…。

さーっと目を通していると、それらしいページがあった。

「術師は7年で死ぬ…」

これってアイクと同じだわ。こんな解りやすい本を何故読んでいないの!

「使った方だと思わないなら、こんなのすどおりするよね。」

ガチャ
「ドロシー」
「…何?まさかまたアイクがもとに戻ったって言うんじゃないでしょうね。」
「俺だって信じられないが、連れてこいと言われたら仕方ないだろ。」


仕方なくついていくと、やっぱりアイクがすやすや寝ている。

「ノートン、私は金輪際、貴方の言葉を信じないわ!!」
バタンっ
「…まぁそうなるよな。」


図書室にもどって、さっきの続きを読む。…簡単そうで難しい事が書いてあるわ。

『死ぬまでに愛する人からの口づけ…』

本格的におとぎ話…。
よく考えたら、おとぎ話だよね。

悪い魔法使いに魔法をかけられ子供に戻ってしまいました。それは好きな人からの口づけてとける…。
これは、本当だとしても難しいわ。少なくても、『おはよう、おゆすみのちゅー』では元に戻らないって事だしね。7才のアイクの『けっこん』の相手ではダメってことね。

こうなったら、他も調べるのよ。

次の日から、食事以外は図書室に行くのが日課になっている。有力情報は全く得られないし…。
古い本から読んでいってるけど、7つ道具という言葉すら出てこないわ。

やっぱりこの、『愛する人から』っていうのを挑戦してみよう。


部屋に帰るとアイクが寝ていた。

「20才の時、貴方は誰を愛していたの?」

バカみたいだけど、明日から恋人っぽい人をさがそう。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!

さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」 「はい、愛しています」 「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」 「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」 「え……?」 「さようなら、どうかお元気で」  愛しているから身を引きます。 *全22話【執筆済み】です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/09/12 ※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください! 2021/09/20  

大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた

黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」 幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。

結婚が決まったそうです

ざっく
恋愛
お茶会で、「結婚が決まったそうですわね」と話しかけられて、全く身に覚えがないながらに、にっこりと笑ってごまかした。 文句を言うために父に会いに行った先で、婚約者……?な人に会う。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...