いきなり結婚しろと言われても、相手は7才の王子だなんて冗談はよしてください

シンさん

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20才の男の子

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夜ご飯はアイクと王様と一緒。

カタカタと椅子をもってピッタリくっついてくる本当は20才の男の子…。

「お野菜も沢山食べなさい。」
「…嫌だ」
「だったら離婚よ。」

そういうと、すぐにパクパク食べ始める。しかめっ面が可愛い。


20時
今日もアイクは眠る時間。宿敵ノートンは私が部屋を出る前にすでにいる。

「ノートン、2人の時間を邪魔するんじゃない!」

アイクがムスっとしてたけど、すぐにうとうとし始めた。

「アイク寝ようか。」
「うん。」
「…ドロシー?」
「ん?」
「お休みのちゅーだ。」
そういって、昨日みたいにチュと口づけしてシーツに潜った。

すぐに寝息が聞こえてくる。

これから、おはようとおやすみ、2回『ちゅー』されるの…かな。

「クククッ…」
「…何を笑ってるの。子供がすることでしょ。」
「20才のアイクを知ってる俺には、笑いがとまらん。」
「…そんなに嫌な人だったの?」
「めちゃくちゃ。」
「……」
何してたんだろ、20才のこの子。
とりあえず、靴を作るよりもある程度の知識を詰め込みたいし、私は図書室に入る許可も貰ってるし、早く行こう!


ドロシーが部屋を出た30分後、ノートンは腰を抜かしそうになった。

ベッドに寝てるのが20才の姿のアイクだったからだ。

「オイっ!アイザックっ!!起きろ!!」
「…何だよ、うるさいぞノートン」
「お前…元にもどったのか…?」
「は?元にもどったって何だよ。」
「覚えてないのか?お前は子供に戻ってたんだぞ!?」
「は?何いってるんだ。いくら何でもそんな冗談…」
「お前…子供に戻る靴を履いたのを覚えてないのか?」
「履いたから、子供になったって?馬鹿らしい。今の俺は大人だ…この部屋はなんだ?玩具が山ほど…。何故もう1つベッドが…。酔って誰か連れ込んだのか?」
城に女を連れてくる事は絶対ない。
「お前が子供になった時に結婚すると言って連れてきた女のベッドだ。」
「…子供って、本気で言ってるのか?ノートン大丈夫か?」
「っなら連れて来てやる。」

バタンっ

「くそっ、あのボケナスは!女を連れ込んだとかそんな簡単な問題じゃねぇんだよ!」

ノートンは図書室まで走った。


「ええっ!!アイクが元の姿になったのっ!?…よかったぁ~。戻らなかったらどうしようかと思った。」

これで死なないよね。…こんなに簡単には戻ると、お金払ってくれなさそうよね。逃げないと…。

「ドロシー、言っておく。本当に嫌な奴だから、何を言われても放っておけばいい。」

性格の悪いノートンが言うほど…。

部屋に入っていって見たのは子供のアイク。

「貴方…嘘をつくなんて酷すぎるわ。」
「…え!?いや、嘘なんて…」
「じゃあ、このアイクにそっくりな子は誰なの?」

時間を無駄にしただけだったわ。嘘つきノートンね。

「はぁ…私は図書室へ帰るわ…」

パタンとドロシーが出ていくとまた20才の姿に戻った。

「…っ何だこれは。おい!アイク!!」
「なんだ…さっきから、人が寝てるのに。」
「お前…今また子どもになってたぞ…。」
「ノートン…頭は大丈夫か?」
「…いや、俺がおかしい…?けど、ドロシーと見た時は…」
「ドロシーって、このベッドを使ってる女か?どんな女だ、連れて来い。」
「……」

パタン

「連れていって、また子供の姿にもどってるなんて事、ないよな…。」





「図書室…本が多過すぎるわ。」

とりあえず、この『貴方にも出来る、黒魔術』って、この本から読もう。こんなのに書いてたら皆が知らないはずないけど…。

さーっと目を通していると、それらしいページがあった。

「術師は7年で死ぬ…」

これってアイクと同じだわ。こんな解りやすい本を何故読んでいないの!

「使った方だと思わないなら、こんなのすどおりするよね。」

ガチャ
「ドロシー」
「…何?まさかまたアイクがもとに戻ったって言うんじゃないでしょうね。」
「俺だって信じられないが、連れてこいと言われたら仕方ないだろ。」


仕方なくついていくと、やっぱりアイクがすやすや寝ている。

「ノートン、私は金輪際、貴方の言葉を信じないわ!!」
バタンっ
「…まぁそうなるよな。」


図書室にもどって、さっきの続きを読む。…簡単そうで難しい事が書いてあるわ。

『死ぬまでに愛する人からの口づけ…』

本格的におとぎ話…。
よく考えたら、おとぎ話だよね。

悪い魔法使いに魔法をかけられ子供に戻ってしまいました。それは好きな人からの口づけてとける…。
これは、本当だとしても難しいわ。少なくても、『おはよう、おゆすみのちゅー』では元に戻らないって事だしね。7才のアイクの『けっこん』の相手ではダメってことね。

こうなったら、他も調べるのよ。

次の日から、食事以外は図書室に行くのが日課になっている。有力情報は全く得られないし…。
古い本から読んでいってるけど、7つ道具という言葉すら出てこないわ。

やっぱりこの、『愛する人から』っていうのを挑戦してみよう。


部屋に帰るとアイクが寝ていた。

「20才の時、貴方は誰を愛していたの?」

バカみたいだけど、明日から恋人っぽい人をさがそう。
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